小1体育「投の運動遊び(走・跳の運動遊び)」指導アイデア

執筆 /熊本県公立小学校教諭・宮部健太
編集委員/前スポーツ庁政策課教科調査官・高田彬成、熊本県公立小学校教頭・村上剛史

授業づくりのポイント

ボールを遠くに投げるためには、
①横向きになる(投げる手と逆の足が前方)
②両腕を左右に開いて肘を上げる、
③体重を後ろ足に移動した後、前方の足を1歩前に踏み出しながら、
④スナップを利かせて腕を振り下ろす(視線と投げる方向は斜め45度)、
といった一連の動きが必要です。

一年生は、それらを一度に教えてもなかなか身に付きません。よって、「遠くに力一杯投げることを楽しむ」ことができる場をつくり、何度も投げて経験を積んだり、友達と楽しんでゲームに取り組んだりすることで、自然と投の粗形態を身に付けられるように授業を進めていきましょう。

小1体育「投の運動遊び(走・跳の運動遊び)」指導のポイント

単元計画(例)

単元計画(例)
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※オリエンテーション1時間を含む2時間を個人の力を伸ばす時間、3・4時間目をみんなで投の運動遊びを楽しむ時間として想定しています。

楽しむ① 投の運動遊びを楽しもう

「投の運動遊び」で、ただ繰り返し投げるだけのトレーニング的な活動をしても、単調な運動となり、投げる楽しさを味わうことができず、技能の向上も期待できません。様々な場をつくって関心を高めることで、「投げてみたい」と意欲がわき、ボールを投げることが楽しくなります。

また、様々な場は、前述の①~④の要素を1つ以上含んでいるものを工夫してつくります。そうすることで、投の粗形態の形成に役立ち、ボール投げそのものが、さらに好きになっていきます。

【学習1】投の運動遊びを楽しもう

様々な場でいろいろなものをたくさん投げよう

3人組のグループをつくって、各コーナーにこれらの場を設けます。いずれの場でも「膝立ちで投げてみよう」や「正面を向いて投げよう」など、様々な体勢で投げてみることで、子どもが「遠くに投げるこつに気付くことができるようにしましょう。

紙鉄砲

紙鉄砲

様々な大きさや厚さの紙で紙鉄砲をつくっておき、「音が大きくなるように振る」ことを意識して取り組みます。小さく厚い紙鉄砲になると、腕の振りやスナップが重要になってきます。

ハイバウンド

「やったあ。5点だ」

ティーボールやハンドボール等軽めのボールを使って行います。ボールは片手で投げ、1バウンドさせて障壁を越えたら、成功です。より遠いところから投げると高得点になるように、投げる位置が1m下がると、もらえる得点が1点増える設定にします。

シューティング

シューティング

壁などの地面から2.5m~3mのところに画用紙を横並びに数枚貼ります。そこを目がけてボールなどを投げ、より多く当てることを競います。視線と肘の高さ、腕の振りが重要になってきます。

投げるものは、丸めた新聞紙や結んだタオル、ポンポンなど、様々に工夫するとよいでしょう。

たまちゃん救出

たまちゃん救出

半径1mと半径5mの二重円を描きます。内側の円の中から外側の円より遠くに向かってボールなどをどんどん投げていきます。外側の円を越えなかったら失敗、越えたら救出成功です。何個救出できるかを競います。

運動が苦手な子、意欲的でない子への配慮について
投げる経験を多くするために「友達と競争コース」「自分にチャレンジコース」の2つのコースをつくり、自分に合ったコースを選ぶようにするとよいでしょう。

楽しむ② みんなで投の運動遊びを楽しもう

ここでは、チームを編成して投の運動遊びをメインとするゲームを行います。「投げる」という個人的な運動は、個々の力が違うことが多く、チームを編成する場合は、編成の仕方やルールなど、色々と工夫する必要があります。

【学習1】での子どもの様子から実態を把握し、チーム力が均等になるように配慮してチーム編成をしましょう。チームで対戦することで、勝つために共に考え、教え合ったり工夫したりしながら、投の粗形態を身に付けていきましょう。

【学習2】「種まきゲーム」を楽しもう

行くぞ!やったあ!

楽しみながら投げることができるゲームです。運動場で行うときはラインを引きましょう。体育館で行うときは床のラインを利用するとよいでしょう。

ゲームを開始する前に安全に行うためのルール(例えば、顔に向かって投げない、蹴らないなど)を話し合うと、けがなく、みんなが楽しむことができ、ルールを守ることの大切さを学ぶこともできます。

ルール

  • 1チーム3人
  • コートの広さは縦10m、横5m。コートの中央に線を引き、陣地を分ける。
  • 準備として、コート内にボールなどをたくさんばらまいておく。
  • スタートの合図とともに、自分の陣地にあるボールを拾い、相手コートのエンドラインの外へどんどん投げる。(サイドには投げない)
  • 必ず拾った場所から投げること。
  • 制限時間は、1分間。
  • 相手コートのエンドラインを越えたボールなどの数が得点になる。より多くのボールなどを相手コート外に投げたチームが勝ちとする。
  • コートの中に落ちたボールは、投げ返してよい。

<段階的な楽しみ方>

イラスト/たなかあさこ、横井智美

『教育技術 小一小二』2019年10月号より

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