小3・4外国語活動:お気に入りの時刻を伝え合うアクティビティのポイント解説
お気に入りの時刻とその理由を伝え合うアクティビティ。なかなかお気に入りを決められない子供への支援はどうすればいいのでしょうか。小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生がポイント解説してくれました。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子
目次
Q1 好きなものについて紹介するアクティビティで、少し難しい表現を使った紹介になってもいいのでしょうか。
(3年 『Let’s try 1』P.17)
A. 多少難しい表現でも、言いたいことを伝える場になることが大切です。
このアクティビティのねらいには、自分の気持ちを表現する楽しさや友達の一面を知る面白さがあります。
子供が本当に紹介したいという気持ちが強いならば、活動のねらいに一致します。難しい表現になっても、ぜひ表現できるようにサポートしてください。
ただし、聞き慣れない英語の表現は、聞き手に負担を生みます。聞き取れないこともあるでしょう。
そのため、先生が途中に入って
もう一度、聞いてみようか。
と聞き返したり、
何が聞き取れた?
と確認するなどして、聞き手へのサポートを工夫してみてください。
補足ですが、ここまで子供は、色、食べ物、スポーツなどの単語に触れてきています。そのため、これらの表現の中から紹介することを選ぶようにすると、活動のイメージを持ちやすいでしょう。
難しい表現も、色、食べ物、スポーツの中にあるならば、聞き手の子供は聞き取りやすくなります。もちろん、「好きな授業」「好きな活動」「好きな遊び」など、全く違うカテゴリーから紹介する子供がいても問題ありません。
Q2 長い会話文を聞く活動で何について話しているのかが聞き取れていない場合は、区切って確認してもいいのでしょうか。
(4年 『Let’s try 2』P.16・17)
A. 必要に応じて区切ってください。ただ、どこで区切ってもいいわけではありません。パターンが見えてくるように区切り、聞き取りを充実させましょう。
このアクティビティでは、異なる場所にいる4人の友達との会話を聞き取ります。それぞれが「場所」「時刻」「過ごし方」について話します。
1人目は、ロンドンに住んでいるグレースです。
Hi, this is Grace.I’m in London.It’s 3 a.m.It’s “Dream time.”
と話した後に、グラハムに、
How about you, Graham?
と尋ね、グラハムが同じように答えています。これの繰り返しです。
はじめは、全体を聞いた後に、何について話しているのか、クラスで共有してみてください。英語を聞くときは、話し手の目的を理解していることで、重要な単語に耳が反応します。4人の話も、何について話しているのか意識しないと聞き取れません。
しかし、
時刻がわかると、いる場所がわかる。
と意識するだけで、その表現に耳が反応します。
その後、一人ひとり区切って聞いてみてください。
まずは、グレースから。子供は、どの子がグレースなのかを探すでしょう。グレースの話を何度か聞くと、「ロンドン」「3時」「寝ている」ことが分かってきます。それらの情報をもとに、グレースがどのイラストなのかを見つけることができます。
同じように、二人目の話を聞くと、「場所」「時刻」「過ごし方」をキーワードに耳を傾けられるようになります。
英語を聞き慣れていない段階で長い文を一度に聞いてしまうと、子供はどうしたらいいか分からなくなります。話の目的やキーワードに気付けるようになるまでは、区切って聞くことも大切になってくると思います。
Q3 お気に入りの時刻とその理由を伝え会うアクティビティがありますが、お気に入りを決められない子供には、どんな支援が必要ですか。
(4年『Let’s try 2』P.17)
A.お気に入りの時刻を決められない子供には、学校の生活場面を具体的に振り返ってイメージできるような支援をしてみましょう。
お気に入りの時刻が見つからない子供は、自分の生活を振り返ることが苦手な場合があります。その時は、
好きな授業の時間はある?
休み時間には何をして遊ぶのが好き?
給食は好きかな?
など、具体的な生活場面を思い出せるように声掛けをしてみましょう。
確かに、外遊びの時間が好きだ。
などと子供の中で気付きが生まれれば、お気に入りの時刻が見つかります。
具体的にイメージできれば楽しい時間が思い浮かんでくるでしょう。体育や図工の時間、給食の時間、休み時間など、同じ時刻ばかりになってしまうかもしれませんが、気にせずに進めてください。「本人が気に入っている時刻を言うこと、本当に言いたい時刻を言うこと」が大切だからです。
また、聞く視点から見ると、同じことを言っていても、誰がそれを言ったのかによって、「○○さんと同じだ」「〇〇さんは〇〇が好きと言っていて驚いた」といったように、意味合いが変わってきます。友達のことをよく知るきっかけにもつながります。
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長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。
(イラスト/本山浩子)
イラスト/横井智美