小4社会「下水の処理と利用」指導アイデア

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執筆/東京都公立小学校主任教諭・栁沼麻美
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都教育庁指導部義務教育指導課・秋田博昭

小4社会「下水の処理と利用」指導アイデア
写真AC

目標

下水を処理する事業について、処理の仕組みや再利用、県内外の人々の協力などに着目して、見学・調査や資料を通して調べ、その事業が果たす役割を考え、下水を処理する事業は、衛生的な処理や資源の有効利用ができるよう進められていることや、生活環境の維持と向上に役立っていることを理解できるようにする。

学習の流れ(10時間扱い)

問題をつくる(2時間)

○ 下水道が整備される前と後の河川の写真などから読み取ったことを基に、疑問に思ったことを話し合う。

学習問題
下水道は、どのような働きをしているのだろう

○ 学習問題に対する予想を基に、学習計画を立てる。

追究する(5時間)

○ 下水道の経路や下水管の仕組みを調べる。(2時間)
○ 水再生センターの仕組み、働く人々の工夫や努力を調べる。(2時間)
○ 東京都が下水処理に取り組んできたあゆみを調べる。

まとめる(3時間)

○ 調べて分かったことを基に、下水を処理する事業が果たしている役割について話し合う。
○ 水の再利用や水を汚さない取組を調べる。
○ 学習してきたことを基に、川や海の水をきれいに保ち、これ以上水を汚さないために、自分たちが協力できることを考える。

導入のくふう

約50年前と現在の多摩川の水質の様子が分かる写真やグラフなどから読み取ったことを基に話し合うことで、下水道の働きや仕組みに関心をもち、主体的に追究できるようにします。

第1時

これらの資料から、多摩川の水質について、どのようなことが分かりますか。

当時の様子を知る人の話
1960年代(約50年前)の多摩川は、人口が増えたことにより、家や学校で使った水が川にたくさん流れこみ、魚も生きることができない「死の川」と呼ばれていました。臭いもひどかったです。1970 年代になると、下水道が整備されるようになりました。

下水道の普及率(多摩川流域)
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昔と今の多摩川の様子

昔は泡立っていて、汚れているように見えます。今は泡もなく、魚が飛び跳ねている姿が見えるので、水がきれいになったのだと思います。どうしてきれいになったのかな。

私たちが使った水がそのまま川へ流れたため、川が汚れてしまったのですね。でも、今はきれいになっているのだから、使った水をそのまま川へ流さなくなったのかな。

昔と比べると、下水道の普及率は高くなり、多摩川の水質はよくなっていることが分かります。下水道が普及したことと多摩川の水質がよくなったことには、何か関係があるのかな。

問題をつくる

下水道が整備される前と後の河川の写真や資料から読み取ったことを基に、疑問に思ったことについて話し合います。 (1、2 / 10時間)

学習問題
下水道は、どのような働きをしているのだろう。

まとめる

学習してきたことを基に、下水を処理する事業が果たす役割を考えるとともに、自分たちのかかわり方を選択・判断するようにします。 (9・10 / 10時間)

話合い活動のくふう

川や海の水をきれいに保ち、これ以上水を汚さないためにできることについて話し合い、自分たちのかかわり方を選択・判断できるようにするとともに、大切にすべきことを標語にして、全校や家庭へ発信できるようにする。

第10時

川や海の水を汚さないために、私たちにはどのようなことができるのか、そのように考えた理由も明らかにしながら話し合ってみましょう。

私は、お皿を洗う前に油をふき取ることをやってみたいと思います。なぜなら、水再生センターの人が、下水に流す油が少なければ、水をきれいにしやすいし、下水管が詰まってしまうこともなくなると言っていたからです。

ぼくは、多摩川の水が家庭で使った洗剤の泡でいっぱいになってしまったことがあったので、使う洗剤の量に気を付けたいです。また、水を使いすぎることもよくないので、使う水の量についても気を付けようと思います。

グループで話合いをする際には、ホワイトボードを各グループに配付して、出された意見を書き込むようにしたり、付箋に自分の考えを書き、書き込んだ付箋をグループのなかで分類・整理したりすることで、出された意見の共通点や相違点、相互の関連などに気付くことができます。

単元づくりのポイント

★東京都が下水処理に取り組んできたあゆみを調べる

本単元では下水を処理する事業を選択して取り上げていますが、「廃棄物を処理する事業は、現在に至るまでに仕組みが計画的に改善され、公衆衛生が向上してきたこと」や「社会生活を営むうえで大切な法やきまり」について学習する必要があることは、ごみを処理する事業を選択した場合と同様です。

そのため、東京都が下水処理に取り組んできたあゆみを調べる際に、年表や地図を示すことで、「時期や時間の経過」「位置や空間的な広がり」に着目して考え、「多摩川の復活に決定的な役割を果たしたのは、東京都が水再生センター(下水処理場)などの下水道施設・設備を計画的に整備した」というように、現在に至るまでに仕組みが計画的に改善され、公衆衛生が向上してきたことを具体的に捉えられるようにすることが大切です。


イラスト/横井智美、佐藤雅枝

『教育技術 小三小四』2019年7/8月号より

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