小1道徳「せかいの あいさつ」指導アイデア

執筆/追手門学院小学校・多賀一郎
目次
指導項目
国際理解・国際親善
身近な行為である挨拶を通じて、他国の人々とコミュニケーションをとろうとすることができるようにする。

趣旨
挨拶は世界共通のコミュニケーション
本教材(教育出版 一年)は、音声CDを聴いたり、実際に世界の国々の言葉で挨拶したりして、体験的な活動を重視するものです。文章もほとんどなく、地図に子どもと挨拶言葉が示されています。
本単元は、三学期の後半に位置づけられています。指導書では導入で、「みなさんは、どんなときにどんな挨拶をしていますか?」と問いかけて、補助発問として、「挨拶をされると、どんな気持ちになりますか?」を用意しています。
多くの教科書では、入学時の一年生に合わせて、「あいさつ」を取り上げて、挨拶をされるときの気持ちを考えさせ、心地よい挨拶について具体的に実行するような形になっています。
そして、日常生活において、ことあるごとに気持ち良い挨拶を心がけるように、道徳以外の授業や業間等を使って指導してきています。四月にはもう、挨拶されたときの気持ちは学習しています。

また、指導書では、いろいろな国の挨拶から好きなものを選んで互いに五人と挨拶して握手して回るという活動を入れています。しかし、実際は国によって握手に対する考え方は大きく違っています。
ロシアでは、異性に握手を求めることは失礼にあたるし、オーストラリアでは逆に女性同士では握手はしないそうです。タイでは握手そのものをしませんし、最年長者から握手してくるため、子どもから握手しようとすると叱られる国もあるそうです。握手は万国共通ではありません。国によっては、相手に対して失礼になることもあるということです。
この授業では、まず、世界中で共通して挨拶はコミュニケーションのきっかけとなる大切なものであるという道徳的な価値を理解することが重要です。そして、挨拶は相手に不快感を与えないための手段であり、それが有効に働くために必要な事を考えさせるということも大切です。
さらに、相手のことを考えるのではあっても、「挨拶って難しいなあ」と思わせるのではなく、「挨拶って楽しいね」という実感を持つことに重点を置きましょう。それが自ら他国の人々とコミュニケーションをとろうとする意識を高めることにつながっていくでしょう。