小5理科「植物の発芽、成長、結実」指導アイデア
執筆/大阪府公立小学校首席・津山晋太郎
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、大阪府公立小学校校長・細川克寿
目次
単元のねらい
発芽、成長及び結実の様子に着目して、それらに関わる条件を制御しながら、植物の育ち方を調べることを通して、植物の発芽、成長及び結実とその条件についての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想する力や生命を尊重する態度、主体的に問題解決しようとする態度を育成します。
単元の流れ
(三次 総時数 11時間)
◆一次 種子が発芽する条件(4時間)
① 暖かい時期に土に種まきをしたことや、水や肥料を与えた経験を出し合う中から、「植物が発芽するためには、どんな条件が必要なのだろうか」という問題を見いだす。
植物を育てた経験を、話し合う場を設定します。そのつぶやきの中から問題を見いだすことで、主体的な観察、実験へとつなげます。
長期的な観察になるため、毎日撮影して、経時変化を追えるようにしておくと、後の学習にも生かすことができます(ICT機器の活用)。
② 種子が発芽する条件を予想し、調べる。
毎日水やりをしたから、水は必要だと思うよ。いつも土に植えていたから、土も必要だと思うな。
調べたいこと以外の条件は、どうすればいいかな?
③ 発芽には肥料が必要でないことから、「発芽に必要な養分は、どこにあったのだろうか」という新たな問題を見いだす。
◆二次 種子の発芽と養分(2時間)【活動アイディア例】
① 発芽前と発芽後の種子の養分の存在を比較しながら、調べる。
◆三次 植物が成長する条件(5時間)
① ある程度のところまで成長すると、ほとんど成長しなくなることから、「植物をさらに成長させるには、どのような条件が必要なのだろうか」という問題を見いだす。
② 発芽の観察、実験方法を参考に、条件を変えて調べる。
単元の終わりに期待される振り返り
いつも土に植えていたので、発芽には土が必要だと思っていました。脱脂綿でも発芽したので、スポンジなど、家にあるものを使っても手軽に育てられそうです。
社会科で、沖縄では菊の栽培が盛んだって学んだよ。地域や季節によって、育ち方に違いがあるのかも、調べてみたいな。
本単元は「生命」を柱とした領域に位置付けられており、子供が自然事象を、主として「共通性・多様性」といった見方を働かせて追究することが重要です。さらに、条件を制御するという考え方を働かせながら問題解決を行うことで、資質・能力の育成につなげていきます。
活動アイディア
資質・能力の育成を目指して!
発芽と種子の中の養分との関係に着目して、発芽前後の種子の養分の存在を比較しながら調べる活動を通して、植物は、種子の中の養分を基にして発芽することを捉えるとともに、発芽と種子の養分の関係についての予想や仮説を基に、解決の方法を発想し、表現するといった資質・能力を育成しましょう。
授業の展開例
【自然事象への関わり】
(一次③の終わりの場面)
どうして、肥料を与えなくても発芽したんだろう。どこかにあったのかな?
問題
発芽に必要な養分は、どこにあったのだろうか。
予想
脱脂綿でも発芽したし、肥料を与えていないのだから、養分はもともと種子の中にあるんじゃないかな。
種子の中に養分があるとすると、発芽前と発芽後では、何か違いはあるのかな?
養分は発芽前に種子の中にあったとすれば、発芽後には種子の中からなくなっているかもしれない。
種子の中のここの部分から発芽しているから、この辺りに養分があるんじゃないかな。
指導のポイント
主体的・対話的な問題解決
イラスト/高橋正輝、横井智美
『教育技術 小五小六』2019年5月号より