小4社会「水はどこから」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校主幹教諭・向井隆一郎
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都教育庁指導部義務教育指導課・秋田博昭
目次
目標
飲料水を供給する事業について、供給の仕組みや経路、県内外の人々の協力などに着目して、見学・調査や地図などの資料で調べ、位置や他地域とのつながり、時期による違いを関連付けて考えます。また、飲料水を供給する事業は、安全で安定的に供給できるよう進められていることや、地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解できるようにします。
学習の流れ(10時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○水を使っている時間帯や一日に学校や東京都で使われている水の量を調べる。
○東京都で発生した渇水について調べ、疑問に思ったことを話し合う。
学習問題
私たちが、いつでもたくさんの水を使うことができるように、だれがどのようなことをしているのだろう。
追究する(5時間)
○水道水の供給の仕組みや経路を調べ、「水マップ」にまとめる(2時間)。
○各施設や設備の役割、働く人たちの工夫や努力を調べる。
○東京都が使っているダムが、ほかの県にある理由を話し合う。
○東京都が水道施設や設備を敷設してきたあゆみを調べる。
まとめる(3時間)
○分かった事実や「水マップ」にまとめた内容を基に、学習問題に対する自分の考えをまとめる。
○水道事業の果たす役割を考える。
○これからも水道水を確保していくために、自分たちにできることを考える。
導入のくふう
第1時
水を使っている時間帯や1日に学校や東京都で使われている水の量を調べ、「私たちは、いつでも大量の水を使うことができる」ということを学習する。
第2時
導入の場面で相反する二つの事実(いつでも大量の水を使える状況にある東京都は、これまでに何度も水不足になっている)を提示することで、「それでも毎日当たり前に使えているのはどうしてなのか」という問いをもち、主体的に追究できるようにする。
これらの資料から、どのようなことが分かりますか。
昭和39年に、東京都では深刻な渇水が発生しました。人々が水をもらうために並んでいます。
昭和39年の水不足は、「東京砂漠」とも言われ、昼間でも断水(蛇口から水が出ないこと)がありました。また、東京都では、これまでに何回も水不足になった歴史があります。
平成になってからも渇水になっていることが分かります。
何回も水不足になっているのに、どうやって大量の水を使えるようにしてきたのだろう。
いつも使っている水は、どこからどのように送られてくるのだろう。
問題をつくる
水道を使う時間帯や水の使用量などを調べて分かったことを基に、疑問に思ったことについて話し合う。(1、2/ 10時間)
学習問題
私たちが、いつでもたくさんの水を使うことができるように、だれがどのようなことをしているのだろう。
まとめる
調べたことや「水マップ」の内容を基に、水道事業の様子を捉え、水道局の果たす役割を考えるとともに、自分たちのかかわり方を選択・判断する。(8~10/10時間)
まとめ方のくふう
イラスト/横井智美、佐藤雅枝
『教育技術 小三小四』2019年5月号より