子供たちと読みたい 今月の本#13 さあ、新学期が始まるよ

全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子先生にすてきな本を紹介していただく連載です。13回目のテーマは、「さあ、新学期が始まるよ」。4月は新しい年度の始まりです。子供たちは、これから出合う新しい世界に希望や不安をもっていることでしょう。今回は新学期や学校に関係する様々な主人公が登場します。本を通して新しい出合いの手助けにつなげましょう。そして、読書の楽しみを伝えてください。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。
監修/全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子

目次
絵本
新しい友達との出会い、時間のこと、学校に行く道での出来事、給食当番のことなど、友達や学校に関連する様々な絵本があります。新年度がスタートするといろいろなことが待っています。そんなことを乗り越える子供たちの力につなげてください。
『ともだち』

作/くすのきしげのり 絵/よしむらめぐ
小学館刊(発行:2022年)
隣に男の子が引っ越してきました。女の子は友達になろうと、ごあいさつ。でも、いくらあいさつしても、男の子は知らんぷり。やっと気が付いたと思ったら知らないしぐさをしています。そのときに男の子がしていたしぐさとは……。心のバリアを取り除けば、みんな友達。
石橋先生のおすすめポイント
やや小さめの絵本ですから、絵がよく見えるように子供たちを絵本の近くに集めて読み聞かせてください。表紙の女の子と男の子の表情から「どんな気持ちなのかな?」と聞いてみるとよいでしょう。女の子はちょっと怒っている顔、男の子は困っているように見えます。それはなぜか。
新学期、新しい友達と出会って、このようなことがあるかもしれません。この絵本では、耳が聞こえない子と手話が分からない子だったので表紙の顔になったのですが、似たようなことが教室でもあるかもしれませんね。そんなときは互いの気持ちを理解し合うと、最後のページのような笑顔になります。そんなことを気付かせてくれる1冊です。さらに裏表紙の猫の手話にも注目させてくださいね(低学年向き)。
『じかんはともだち』

作・絵/てづかあけみ
偕成社刊(発行:2025年)
8時までに出かける準備をして、12時にお昼ごはんを食べて……。「一体時間って何?」。1秒、1分、1時間、1日。時間についている名前のこと、地球上にあるいろいろな時間、生き物によっても違う時間など、時間のことについて考える絵本。
石橋先生のおすすめポイント
新学期が始まると、子供たちも「時間」を意識することが多くなると思います。そんなときにぴったりの絵本です。かわいいキャラクターたちがお話を進めていきますが、時間とは? 1分とは? さらに時差や動物にとっての時間、命の長さについてなど内容は豊富で、じっくり考えながら読ませたい絵本です。中学年からは自分で読めますが、低学年には絵を見せながらゆっくり読み聞かせて、子供たちの疑問に答えていくとよいと思います。
最後のページの「だから 『きょう』と たっぷり なかよくしよう。」について子供たちと話し合って、自分にとって時間とは何か、仲良くするとはどういうことかを考え合えるとよいですね(全学年向き)。
『がっこうに まにあわない』

作・絵/ザ・キャビンカンパニー
あかね書房刊(発行:2022年)
家を飛び出し、あわてて走る男の子。今日は絶対に学校に遅れちゃいけないのだ。でも行く手には、水たまり、歩道橋、大きな犬たちなど、邪魔をするものばかり。さて、男の子は学校に間に合うのでしょうか? そして最後に待っているのは……。いつもの通学路が冒険の旅に変わるかもしれません。
石橋先生のおすすめポイント
表紙と題名を見ると何となくお話の中身が想像できそうですが、それを超える世界が展開していきます。絵を見せながら読み聞かせると、子供たちも8時までに学校に到着したい気持ちが高まっていきます。絵の中にも仕掛けや表現の工夫がたくさんありますから、探しながら読んだり聞いたりすることができそうです。
急いでいるときに限って苦手な犬に囲まれたり、踏切が開かなかったり。1分ごとにハラハラドキドキする場面が続きます。さあ、8時に学校では何があるのでしょう。そのことについては子供たちの実態に応じて解説が必要かもしれません(全学年向き)。
『給食当番のいちにち』

文/大塚菜生 絵/イシヤマアズサ
少年写真新聞社刊(発行:2025年)
初めての給食当番はわくわく、どきどきがいっぱい。1年生のみつくんは、朝からそわそわして、授業中も給食当番のことが頭から離れません。さて、どうなるのでしょう……。『給食室のいちにち』の作家、画家が再びタッグを組んだ絵本です。
石橋先生のおすすめポイント
同じ作者と画家による前作は多くの学校図書館にあって、子供たちにも人気の1冊だと思います。今作は1年生で給食当番のみつくんの朝から始まります。見返し部分に登場する給食当番が並んでいますから、そこから紹介したり読み聞かせたりするとよいでしょう。
白い帽子をかぶり、マスクをしていても、お話の中では目の表情や言動で誰が誰だかよく分かります。子供たちはそのような絵本の楽しみ方が大好きです。じっくり絵を見てわいわい楽しめると、素敵な時間になります。
配膳や片付けのやり方、校内に掲示されている栄養黒板(その日の献立や食材、栄養素などが表示されているもの)もそれぞれの小学校によって異なるかもしれません。そんなことを子供たちと見付けるのも、学校図書館ならではの読書の楽しみですね(全学年向き)。
『クッキー投票!』

文/マーガレット・マクナマラ&ダニエル・バーンストロム 絵/G.ブライアン・カラス 訳/椎名かおる
あすなろ書房刊(発行:2025年)
自分たちの住む町を、よりよい町にするにはどのようにすればいいのでしょうか? ティフィン先生のクラスでは、みんながアイデアを出し合って、熱心に話合いをしています。1つの案をまとめるには、どうしたらいいのでしょう。「投票」の進め方が分かる絵本です。
石橋先生のおすすめポイント
表紙を見て見返しを見ても、子供たちはどんなお話なのか見当がつかないと思います。途中まで読み聞かせて、意見の対立をどう解決するか、実際にクッキー投票が行われたのか(答えは後書きにあります)を自分で読み取るのも面白いと思います。
日本と異なるアメリカの小学校での授業の様子と州政府の役割がよく分かる絵本ですから、市区町村の議場や国会議事堂を見学する4~6年生に読んでほしい絵本です(中高学年向き)。
図鑑
インクルーシブ教育の考え方が重要になってきた時代。インクルーシブ教育の考え方がよく分かる図鑑があります。互いに助け合うことの大切さ、多様性について考えるきっかけにつなげてください。
『絵でみる! はじめてのインクルーシブ教育 みんなちがって みんな友だち ①知りたい! 学校の友だち』

監修/泉真由子、横浜国立大学 D&I教育研究実践センター
小峰書店刊(発行:2025年)
多様な子供たちがリレー形式で自己紹介。自分とは違ういろいろな子がいることを知り、自分の紹介も考えてみたくなります。インクルーシブ教育の考え方を子供たちにも理解できるように分かりやすく絵で示しています。「絵でみる! はじめてのインクルーシブ教育」シリーズ全4巻の中の第1巻。
石橋先生のおすすめポイント
最初に、前書きの「インクルーシブ教育とは、いろいろな背景(例えば、障害や国籍、宗教、性別など)をもつ子供が、毎日いっしょに関わりながら勉強や生活をする学校教育のことです」を紹介するとよいでしょう。そして全4巻シリーズの第1巻では、様々な背景の子が自己紹介の形で自分の特性と特技や配慮してほしいことについて語っています。そのうちの誰か1人の部分を読み聞かせましょう。
3つあるコラムは、「こまった」を支える道具、学校でサポートする人たちに関してなど、子供たちにぜひ知ってほしい内容なので、絵を見せながら伝えてあげてください。
インクルーシブ教育に関して新しい観点や情報が盛り込まれたシリーズですから、子供たちの疑問に答え、課題を解決する一助になると思います(中高学年向き)。
