小4算数「角の大きさ」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・秋山泰孝
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 1/10 単元の導入)
ねらい
角の大きさを回転の大きさと捉え、それを任意単位を用いて表そうとする。
評価規準
既習の測定の学習と同様に、角の大きさも単位となる大きさを決めて、そのいくつ分かを数値で表せないかを考えることができる。(数学的な考え方)

問題場面

①②③のキャラクターがいます。どのキャラクターの口がよく開いていると言えるでしょう。
口先の幅の長さで比べるのかな。
口の開き具合で比べるほうがよいですね。開き具合は、どうしたら確かめられますか?
重ねて比べます。重ねると、②が一番よく開いています。
三角定規を当ててみます
開けた口の角が大きければ、より開いていると言えるのですね。もう1つ、④のキャラクターがいるのを忘れていました。
キャラクター④

②よりもかなり大きいね。
④の角の大きさは、②の角の大きさより、どれだけ大きいでしょうか?
どれだけ大きいって、どう表せばいいの?
長さや重さのときと同じように、何かのいくつ分と表せないかな。
本時の学習のねらい
角の大きさの違いの表し方を考えよう。
見通し
既習の量の比較経験を問題解決に生かせるよう、長さやかさを比較した際にどのように考えたかをふり返る時間を取ります。
そのなかで、身近なものを基準として、そのいくつ分と考え、数値化し、比較したことを想起させ、角の大きさも同じように考えられないかと発問し、自力解決に入るようにします。
自力解決の様子
※一人ひとりにキャラクターを印刷したシートを配付する。
A つまずいている子
基準とするものが見付けられない。

B 素朴に解いている子
三角定規の複数の角を用いて、比較する。

C ねらい通り解いている子
三角定規の30°を用いて、そのいくつ分で表す。

学び合いの計画
導入において、さまざまな大きさのキャラクターを提示することで、角の大きさは口先の幅ではなく、2つの辺の開き具合(口の開き)で決まることをつかませます。学び合いでは、角もほかの量と同様に、任意単位による数値化をすることで比較できることを子供に考えさせましょう。
ここでは三角定規の角を基準として、そのいくつ分と考えると、角の大きさを数で表し、比較できることに気付かせましょう。
「B」のように複数の基準を用いる考えと、「C」のように1つの基準を用いる考えを比較し、よりよい考えへと高めていくようにします。この学習を経て、普遍単位の学習につなげましょう。
本時の子供のノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
「ア」の考え方
三角定規の60°、90°を用いて比較する

「イ」の考え方
三角定規の30°を基準として数値化し、比較する

それぞれどのような工夫をして角の大きさの違いを表していますか?
「ア」は三角定規の2つの角を使っていて、④のほうが直角1つ分だけ大きいことがわかります。
「イ」は三角定規の一番とがった角だけ使っていて、そのいくつ分かで表しています。②は2つ分、④は5つ分と表せます。
2つの考えで、同じところや違うところはありますか?
どちらも三角定規の角を基にして考えています。
「ア」は2つの角を使って比べているけれど、「イ」は1つの角を基にして考えています。
それぞれの考えのよいところはありますか?
「ア」の考えは、直角1つ分だけ大きいということがわかりやすいです。
今回は、アのように考えても比べられるけれど、イのように基を一つにしたほうが、どんな角の大きさでも『○○のいくつ分』のようにでき、表しやすいと思います。
『○○のいくつ分』と考えて比べるのは、長さやかさのときと同じだね。
評価問題
①や③の角の大きさも三角定規のとがった角を使って表しましょう。
子供に期待する解答の具体例
①はとがった角の1つ分。
③はとがった角の1つ分と少し。

本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
角の大きさも、基にするもののいくつ分で表すことができる。
感想例
角の大きさも、長さや重さと同じように基にするもののいくつ分で表すと、比べられることがわかりました。
角の大きさも、長さや重さのように世界共通の「基にする大きさ」があるのだろうか。
イラスト/小沢ヨマ、横井智美
『教育技術 小三小四』2019年4月号より