「教育指導」の「目的と目標」を正しく理解しよう【子供の個性と能力を最大限に引き出す 学級経営の極意Ⅲ①】

子供の個性と能力を最大限に引き出すためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に、学級の中で個々の子供の力を伸ばしていく方法について解説します。第1回は、教育指導における「目的と目標」について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
教育指導の「目的と目標」についての教師の認識は重要です。この認識の違いによって教師の指導方法は大きく変わり、子供たちの活動も変化します。そこで、子供のよりよい成長を促すためには、「目的と目標」の意義を再認識した上で、適切な指導を展開する必要があります。そこで、次の3つのキーワード「目的と目標の意義の明確化」「認識の違いによる実践への危惧」「指導過程を踏まえた配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 「目的と目標」の意義を再確認しよう
「目的と目標」は、目指すものという意味合いでは同じですが、その意義には大きな違いがあります。その意義を再確認して、子供たちへの適切な指導をすることが求められます。
それぞれの漢字を分割してみると、「目的」とは、「目」で見る「的(まと)」と捉えられ、「最終的に目指したいゴール」と考えられます。
一方、「目標」は「目」で見る「標(しるし)」と捉えられ、「目的」の「的(まと)」に近付いているかどうかを判断する通過点と考えられます。
このようなことから、「目的」という目指すゴールに向けて、それに到達するまでにクリアすべきステップが「目標」という考え方ができます。
子供たちが理解しやすいように明確に指導します
「目的と目標」について、子供たちが理解できるようにすることは、教育指導の大切な視点です。

例えば、学級全員で「長縄跳び大会に挑戦しよう」という活動の場合、「目的」は「学級全員で協力して最後まで挑戦すること」とします。その際の「目標」は「長縄跳び大会で優勝すること」です。このように設定すると、子供たちにとっても両者の意義が分かりやすくなります。
また、合唱コンクールに取り組む際の「目的と目標」をキーワードにすれば、「目的」は「協力」することで、「目標」は「最優秀賞」を目指すということです。
「目的と目標」の意義を明確にし、子供たちの発達段階、学級の実態に応じた指導をしていきましょう。
CHECK② 認識の違いがもたらす弊害とは?
教師が「目的と目標」の認識を違えると、指導方法が大きく変わってしまいます。改めて教師がそれぞれについて正しい認識をもち、子供たちにとっても理解しやすいように指導していくことが求められます。
具体的には、「目的と目標」の認識を違えると、次のような弊害があることを念頭に置いて指導していくことが大切です。
認識の違いによる実践への影響を再確認します
前記の「長縄跳び大会に挑戦しよう」という活動を展開する際、「優勝する」という結果だけを目指し、そのことを「目的」にしてしまうと、うまく跳べない子供は優勝するために「迷惑な存在」という学級の雰囲気になることが考えられます。
また、合唱コンクールで、美しいハーモニーで「最優秀賞」を目指すことを「目的」にしてしまうと、うまく歌えない子供には「声を出さないように」といった指導にもなりかねません。
残念ながら、このような「目的と目標」の認識を違えた勝利至上主義の教育実践が全くないとは言い難い現状があります。「目的と目標」の認識を違えることなく、教師が正しい認識をもって、子供たちのよりよい成長を支援していきましょう。
