「どうすればできるか」を具体化する~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑩~

前回は、研究の「個別ゴール」を見据えて、どんな実験や調査を行えばいいかを検討し、それが実現できそうかといったことを大きく見通すところまで進めました。今回は、いよいよ実験や調査を実行する直前段階として、「実際にどんな方法で進めるか」をより具体的に検討・決心していく場面について述べたいと思います。
執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章
【連載】探究のすすめ方 ~方法論編~ <中学校・高等学校>
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◆中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう①~考えを整理して、テーマを決める~
◆課題研究の実現可能性をチェックしよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう②
◆先行研究をチェックして、研究テーマにストーリーをもたせよう! 中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう③
◆研究テーマが決まったら、研究の道すじを考えよう─中・高等学校の【課題研究】はこう進めよう④
◆研究の「最終ゴール」を明確にしよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑤~
◆「やることリスト」を整理して、研究の全体像をつかもう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑥~
◆個別実験・調査項目の中身を具体化しよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑦~
◆「個別ゴールに届いたといえる事象」を考えてみよう~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑧~
◆「どうすればできる?」の見通しをつかむ~中・高等学校の探究学習【課題研究】はこう進めよう⑨~
目次
実験・調査の種類を理解して方法を具体化する
「個別ゴール」に向けて行う実験・調査には、観察・分析・特性評価・比較評価・フィールドワーク・アンケート・ヒアリングなど、いくつかのタイプがあります。研究の内容や目的によって、どんなタイプの方法がふさわしいかは大きく変わります。生徒が方法の具体化を図ろうとする際に、これらのさまざまな方法をざっと紹介してあげるだけでも、自分のとるべき方法を改めて考えるきっかけになるかもしれません。
なお、たとえシンプルな観察であっても、「どう観察するか」を考えることが大切です。たとえば、暗闇での植物の様子を観察したいのに、ライトを強く当て過ぎると本来の様子が見られないかもしれません。また、特性評価や比較評価などにおいて条件を変えてデータを得ようとする場合は、変える項目を一つに絞り、他の条件を一定にしておく、といったことも研究における基本的な注意点です。様々な注意点を意識しながら方法の具体化を進められるようサポートし、研究の基本的な姿勢を育てたいものです。
実際に現地に出て行うフィールドワークでは
フィールドワークでは、安全と準備が何より大事です。「何を調べに行くのか」「どんな道具が必要か」を事前に整理しておく必要があります。また、私有地や公有地での調査では、必ず許可を得るように生徒に伝える必要があります。有意義な活動にするためには、その前提として、きっちりと手順を踏み、落ち着いて進めることが大切です。
