楽しく食べて残食もゼロ!給食指導のアイデア

毎日必ずある教育活動とは何でしょうか。それは国語科と算数科と「給食」です。国語や算数ができない子どもは苦しいでしょうが、実はそれは「食べるのが苦手な子ども」も同様なのです。ここでは、給食指導についてのコツを考えていきます。

執筆/大阪府公立小学校教諭・浅野学

イラストAC

みんなが楽しい給食の時間にするために

「給食」は、国語科と算数科と同じく毎日必ずある教育活動です。国語や算数が好きではない子どもは毎日苦しいでしょうが、それは「食べることが得意でない子ども」も同じことなのです。

また食が細い子がたくさんいるクラスの先生も大変です。残食が多いクラスというのは調理員さんから管理職へと報告がいき、給食指導についての指導を先生自身が管理職から受けるということもあります。教科指導にスポットライトはよく当たりますが、給食指導が注目されることはあまりありません。

給食指導において忘れてはならない点があります。それは「子どもによって食べられる量は大きく異なる」ということです。

学校という場でよく使われる「平等主義」というのがあります。「すべての児童に同じ量だけ配膳することが平等」。一見、正しいようにも思えますが、「子どもによって食べられる量は大きく異なる」のならば、それは平等であっても公正ではありません。

より多く食べたい子からすれば平等な配膳は物足りないし、あまり多くの量を食べることができない子からすれば平等な配膳は多すぎるのです。そこへの調整をすることで、給食の時間に辛い思いをする子どもを減らしていきましょうというのが今回伝えたいことなのです。

給食の量の調整の仕方

給食の量の調整といっても、難しいことはしません。給食の量が多いと感じる子から「減らし」、給食の量が少ないと感じる子へ「増やす」。これだけです。

具体的に説明します。

まずは平等に配膳

まずは平等に配膳します。これには理由があります。子どもの食べられる量というのは毎日一定ではありません。朝ご飯の内容にも、午前の活動量にも、その日の体調にも左右されます。「この子はあまり食べない子」と決めて始めから少なく配膳してしまうと、「今日はもっと食べたいのに…」と子どもが思ってしまうかもしれません。だからまずは平等に配膳しましょう。

配膳が済んだら、「いただきます」をして給食を始めます。給食の時間は45分前後。配膳で25分はかかるので、給食を食べる時間は20分弱。量の調整が必要のない子たちにはすぐにでも食べてもらいたいのです。

「減らし」タイムのスタート

「いただきます」の後に「減らし」タイムのスタートです。子どもたちに今日の自身の体調と相談してもらいながら、「減らし」が必要なのかを考えてもらいます。「今日の自分の食べられる量を知る」というのは食育にとっては大切なことです。出されたものをただ食べるだけでなく、自身の体調も踏まえて適切な量に調整するという練習にもなります。

「減らし」が必要だと思った子は、給食に手をつける前に「減らし」に来ます。食缶の前にいる先生のところへ行き、「このおかずをこれくらい減らしてください」と自己申告させます。ここからは先生の手腕が試されます。先生がクラスの児童の「食べられる量」と「食べられない量」を把握しておかなければなりません。「この子はトマトならこれくらいは食べられる」「この子はニンジンがまったく食べられない。無理矢理食べると、嘔吐反射が出てしまう」などです。

そんな情報、すぐにはわからないでしょうから、始めのうちは手探りです。無理をさせず、でも、挑戦できそうなら食べさせるという試行錯誤をしながらその子の「適正量」を探っていきましょう。そうやって減らしていきます。

次は「増やし」

次は「増やし」です。ここは平等に増やしていきましょう。本当は子どもの特性に応じて「増やしたい」ところですが、我々には時間がありません。目的は「完食」なので、増やしは平等でも構わないのです。増やしに来た彼ら彼女らはおそらく給食を残さないでしょう。

こうして、「減らし」と「増やし」を適正に行なっていけば、クラスの残食の量はグッと減るはずです。さらに、先生の児童観も向上するはず。これまで意識していなかった点にも気付くことができ、それらは生活指導にも大いに役立つでしょう。

ただし注意点があります

これらの指導は私が実際にやっていた指導ですが、いくつか注意点があります。

一つ目は「先生の食べる時間は大幅に減る」ということです。慣れてくればそこまで時間はかからなくなりますが、はじめのうちは子どもの「適正量」の把握ができていない手探りの状態です。とにかく時間がかかってしまいます。「減らしすぎて物足りない」と感じる子や「減らしが足りなくて残してしまう子」が出てくるでしょう。

それも子どもたちとのコミュニケーションだと割り切れればいいのですが、先生だってゆっくり給食を食べたい気持ちもわかりますので、この辺りの塩梅については「無理のないように」運用してください。

二つ目は「子ども同士で減らしたり増やしたりさせない」です。これは衛生的な話です。唾液などからうつる感染症もあります。一度手をつけた箸で減らしや増やしはさせないようにしましょう。これは保健の指導にも繋がりますね。


給食は毎日ある教育活動です。私が子どもの頃は食べるのが遅い子たちが廊下で食べさせられているという場面もありましたが、本来、食事は楽しく食べるものです。しかし、楽しく食べさせた結果、残食だらけというのもよくない。先生が子どもに合わせて調整してあげることで、楽しく食べ、かつ残食もない給食指導が実現するのではないかと期待しています。

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