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3年生の探究学習『1学期を終えて 』<探究のすすめ方・小学校3年生アドバンス②>

連載
探究のすすめ方 中学校・高等学校 方法論編
連載
探究のすすめ方 ~小学校・中学校・高校対応~

仲野 純章

探究学習にお悩みの先生方必見! 本連載では小学校の探究学習の実践例として、独自の探究的な授業カリキュラムを実践している奈良育英グローバル小学校の取り組みを、四天王寺大学教育学部の仲野純章先生監修のもとに紹介します。同校では、1年生の探究的授業を「ベーシックアドバンス」、2年生から4年生までは、これを発展して「アドバンス」と呼びます。ご紹介する連載は、1年生の探究学習「ベーシックアドバンス」と3年生の探究学習「アドバンス」の2本立て。
こちらの【連載】探究のすすめ方/小学校編 <アドバンス・3年生>では、渡邊紀志江先生のクラスに密着して、取り組みを追っていきます。

執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章

渡邊紀志江先生のクラス
渡邊紀志江先生のクラス

◆指導の基本となる1年生の実践、【連載】探究のすすめ方/小学校編 <ベーシックアドバンス・1年生>も併せてご覧ください。

はじめに

社会科という「教科」を意識しながら社会・実生活の中にある多くの情報を整理・再構成して、自分の言葉で発信していく力を育てる授業「アドバンス」。この取り組みも、1学期の終わりを迎えました。

〈前回の記事はこちら〉
◆3年生の探究学習が始まる! <探究のすすめ方・小学校3年生アドバンス始動編>

1学期最後の活動

前回示した年間指導計画に沿って、夏休みを目前に控えた7月には、地域のスーパーマーケットを見学し、働く人へのインタビューを行う活動が実施されました。これは、社会科で扱われる「地域に見られる生産や販売の仕事について」の学びとも深く関連したものです。

当日は猛暑の中、学校から徒歩10〜15分のスーパーマーケットを訪問しました。そして、売り場の様子を観察し、店長にも直接インタビューを行いました(図1~3)。

(図1)
(図2)
(図3)

活動前、多くの児童は「お菓子やお肉がいちばん売れている」と予想していましたが、実際には「牛乳がいちばんの売れ筋」であるということなど、販売状況に関する意外な事実に驚かされていました。

また、そうした販売状況の裏にある様々な「意外」にも直面していました。とくに、店長の話からは、単に「モノを売る」ことだけでなく、「お客さんが気持ちよく買い物できるようにする環境づくり」が重視されていることを知り、児童たちにとって大きな気づきとなりました。

商売とは「売ること」がすべてだと考えていた児童たちにとって、買い手の立場に立った工夫や配慮が日々の仕事に込められていることを知ったことは、見方の大きな転換につながったようです。

こうした発見は、児童たちの振り返りレポートにも具体的に表れていました。

授業づくりに欠かせない「仕込み」

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