小6国語「川とノリオ」板書の技術

今回の教材は、「川とノリオ」です。本単元の目標は、「表現が読み手にあたえる効果について考えよう」になります。そのため、物語の全体を捉えやすく、時間の経過が分かりやすい、「比喩」「擬音・擬態」「擬人法」「色の表現」「体言止め」「くり返し」などの表現の効果が分かりやすいような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
元同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立学校教諭・新藤美和子(野っ原詩の会)
単元名 表現が読み手にあたえる効果について考えよう
教材名 「川とノリオ」(教育出版)
目次
単元の計画(全7時間)
- 学習の見通しをもつ。
・教科書の全文を読み、難しい言葉を調べる
・印象に残った場面を確認し、交流する。 - 話の流れをつかむ。
・いつ、どのような出来事が起こったのかを表に整理する。
・川や川っぷちがどのような様子であったのかを表に整理する。 - 印象に残った場面を紹介し合う。
・全文を通して、印象に残った場面や心に残った表現などについて考える。 - 表現の効果を考える。
・「比喩」「色」「音や様子」「体言止め」「擬人法」「繰り返し」などの表現を探し、その効果について話し合う。 - 表現の効果を考えながら、心に残った場面について、自分の考えたことが伝わるように朗読する。
・自分の読み取った表現の効果を考えながら朗読する。 - 心に残った表現について感想を話し合う。
・なぜ心に残ったか、根拠を明確にしながら、感想を話し合う。
・ほかの人の考えとの違いに着目したり、よいところを認め合ったりして考えを広げる。 - 題名について考える。
・題名から物語の世界を想像し、学習を振り返る。
板書の基本
〇物語の全体が捉えやすく、時間の経過が分かりやすい板書
時の流れを季節の経過や日にちでまとめ、その時の出来事が分かるように板書します。戦前戦中と戦後のノリオの心情の変化に気付きやすくなるように出来事をまとめます。中段には、簡潔に「できごと」を板書し、ノリオの身に起こった出来事に着目できるよう、表にまとめます。その際、ほのめかす表現からは、事実を想像させながら板書します。下段には、川の流れの様子や川っぷちの様子を書き、川が物語の象徴的なものになっていることに気付くようにします。
〇表現の効果が分かりやすい板書
物語全体のなかから、戦時下で変化していくノリオの心情がどのような表現で表されているかを考えます。比喩、擬音・擬態、体言止め、繰り返しなどの表現を探し、板書します。それぞれの表現がどのような効果をあたえているのか考えたことを板書にまとめます。板書の示した表現の効果が、物語に影響を与えることを理解し、深い読みにつながっていくことに気付かせます。気持ちや様子が分かるところには赤色のチョークで、効果が分かるところには、黄色のチョークで内容を板書します。第5時の表現の効果を考えながら朗読する活動に生かせるようにするためです。