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「プロアクティブな生徒指導」って? ~4つのステップで取り組む具体モデルの提案(理論編)~

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ストレスフリーの教室をめざして
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改訂された「生徒指導提要」(文部科学省,2022)では、生徒指導はプロアクティブとリアクティブの2つに分けて示されています。では、プロアクティブな生徒指導とは、一体どのように行うのでしょうか。今回からは、筆者が考え実践する「プロアクティブな生徒指導」の具体的なモデルを理論編・実践編の2回に分けて紹介します。

【連載】ストレスフリーの教室をめざして #28

執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀

2軸3類4層構造

【図1】生徒指導の重層的支援構造(生徒指導提要p19を筆者が一部改変)

図1は、生徒指導提要に示された重層的支援構造で、「2軸3類4層構造」と呼ばれています。時間軸に着目した2軸、課題性で分類した3類、対象の範囲を示した4層から成っています。

プロアクティブな生徒指導って?

図1で考えると、プロアクティブに該当するのは「発達支持的生徒指導」と「課題未然防止教育」となります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

日常の生徒指導を基盤とする発達支持的生徒指導

生徒指導提要では、発達支持的生徒指導は次のように示されています。(p20より抜粋)
発達支持的生徒指導は、特定の課題を意識することなく、全ての児童生徒を対象に、学校の教育目標の実現に向けて、教育課程内外の全ての教育活動において進められる生徒指導の基盤となるものです。発達支持的というのは、児童生徒に向き合う際の基本的な立ち位置を示しています。すなわち、あくまでも児童生徒が自発的・主体的に自らを発達させていくことが尊重され、その発達の過程を学校や教職員がいかに支えていくかという視点に立っています。すなわち、教職員は、児童生徒の「個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支える」ように働きかけます。
発達支持的生徒指導では、日々の教職員の児童生徒への挨拶、声かけ、励まし、賞賛、対話、及び、授業や行事等を通した個と集団への働きかけが大切になります。(太字・下線は筆者)

ここに示されるように、発達支持的生徒指導では「いじめ」「非行」などの特定の課題を意識していません。また、全ての児童生徒を対象としています。まさに、生徒指導の基盤とも言える部分でしょう。
筆者は、「支える」という言葉がキーワードだと考えています。「させる生徒指導」ではなく、「支える生徒指導」への転換が求められます。
具体的な働きかけとしては、挨拶、声かけ、励まし、などが挙げられています。「えっ?これが生徒指導なの?」と感じた先生もいらっしゃるのではないでしょうか。おそらく、普段の当たり前の行動じゃないかとお感じになったのだと思います。そうなのです。先生方の当たり前の行動は、実はすべて生徒指導の一環であり、しかも基盤になっているのです。

組織的・計画的な課題未然防止教育

生徒指導提要では、課題未然防止教育は次のように示されています。(p20より抜粋)

課題未然防止教育は、全ての児童生徒を対象に、生徒指導の諸課題の未然防止をねらいとした、意図的・組織的・系統的な教育プログラムの実施です。
具体的には、いじめ防止教育、SOSの出し方教育を含む自殺予防教育、薬物乱用防止教育、情報モラル教育、非行防止教室等が該当します。生徒指導部を中心に、SC等の専門家等の協力も得ながら、年間指導計画に位置付け、実践することが重要です。(太字・下線は筆者)

発達支持的生徒指導と同様に、課題未然防止教育も全ての児童を対象としています。異なるのは、生徒指導の諸課題(いじめ、非行など)の未然防止をねらいとしているということです。
具体的な取組として、いじめ防止教育、自殺予防教育、薬物乱用防止教育、などが挙げられています。小学校では、慣例として「〇年生は〇月に〇〇教室を実施する」と年度当初より定まっていることが多いのではないでしょうか。近年では、情報モラル教育の一環でSNS関連を扱う場合も増えてきているようです。

支える生徒指導を阻害する要因

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