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小1算数「ひき算」指導アイデア《13-4の計算の仕方》

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
小1算数「ひき算」指導アイデア
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執筆/北九州市立熊西小学校教諭・敷田明希
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏

年間指導計画 ひき算

単元の展開

第1時 「10といくつ」という数の見方に着目し、13-9の計算の仕方を考える。

第2時 「10といくつ」という数の見方に着目し、減数が8や7の場合の計算の仕方を考える。

第3時 減数が9〜5の場合の計算練習や文章題の解決をする。

第4時(本時)「10といくつ」という数の見方に着目し、13-4の計算の仕方を考える。

第5時 11〜18から1位数を引く繰り下がりのある減法の計算練習、文章題の解決をする。

第6〜8時 計算カードを使った11~18から1位数を引く繰り下がりのある減法計算の習熟

第9時 学習内容の習熟・定着

本時のねらい

繰り下がりのあるひき算で、ブロックを用いて計算の仕方を考え、話し合う活動を通して、「10といくつ」に着目し、10から減数を引いたり、減数を分けて被減数から順に引いたりする計算の仕方を考えることができるようにする。

評価規準

13-4などの計算について、10から減数を引いたり、減数を分けて被減数から順に引いたりする計算の仕方を考え、説明することができる。(思考・判断・表現)

本時の展開

※ケーキ作りにたまごを用意している様子を提示する。

図表1

今からケーキを作るんだね。

ケーキを作るには、たまごが4個いるんだって。

たまごは13個あるから残りそうだよ。

問題
たまごが 13こ あります。4こ つかうと のこりの たまごは なんこですか。

9個だと思います。

9個という予想が出ていますね。なぜ9個だと思ったのですか。

ひき算をしました。

ひき算だと思ったのはなぜですか。

13個から4個減るので、13-4をするといいと思います。

「のこり」と書かれているからです。

ケーキを作るには、たまごを4個使って、たまごの数は減るからです。

でも右側のパックからは、一度に4個引けません。

本当だ。3個しかないね。

どうやってたまごを4個取るといいのかな。

計算したら分かるかな。

学習のねらい
13-4の計算の仕方を考えよう。

見通し

どのようにしたら、計算ができそうですか。

前と同じように、ブロックを動かしたらいいと思います。

13を「10と3」に分けたらいいと思います。

4を「3と1」に分けることもできると思います。

自力解決の様子

A つまずいている子

これまでの学習を生かして、13を分け、「10といくつ」に着目することはできているが、「4から3を引いて1」というように、被減数と減数を入れ替えて、大きい数から小さい数で引くことができるようにひき算をしている。また、指で数えて求めている。

13を10と3に分ける。4から3を引いて1。10と1で11。

図表2

B 素朴に解いている子

ブロックを10と3に分けて並べて考えているが、端数から減数を1つずつ動かして考えている(数え引き)。 

図表3

13―4=9  9個


 ねらい通り解いている子

●減加法で考えた子供
13は10より大きい数なので、「10と3」に分けられることに着目して考えることができている。また、端数の3から減数の4を引くことができないことに着目し、10のまとまりから減数を引くことができている。

3から4は引けないから、13を10と3に分ける。10から4を引いて6。6と3で9。

図表4
図表5

●減々法で考えた子供
減数を「3と1」に分けて書き、13から3を引くことで「10のまとまり」ができることに着目することができている。その後、10から1を引いて答えを導いている。

3から4は引けないから、4を3と1に分ける。13から3を引いて10。10から1を引いて9。

図表6
図表7

学び合いの計画

Aの子供は、ブロックを操作して答えを求めるまでに至っていません。また、「10といくつ」に着目することができていますが、「3-4」ができないので、ひき算ができるように被減数と減数を入れ替えています。「3」は減数の「3個」と認識することができるように、「この考え方は、ブロックを使うと、どのように動かすといいかな」と問いかけ、Bの子供との交流を促します。そうすることで、「3-4」はできないから、10から4を引くとよい、ということに気付くようにします。

Bの子供は、前時までの計算の仕方を13-4に適用することができず、数え引きなどで答えを出しています。「10より大きい数から引くときには、13をどのように分けるとよかったかな」と前の時間の学習をふり返らせるとともに、全体交流の場で、自分の数え引きの方法と減々法を関連付けるようにします。また、Cの式だけ(減加法)で考えた子供との交流を促し、「この式だと、ブロックはどのように動かすとよいのかな」と問いかけます。そうすることで、Cの式だけで考えた子も、ブロック操作を根拠として、説明することができます。

Cの子供は、減加法と減々法で考えています。それぞれの考えで問題解決した子供を意図的に交流させ、ブロック操作や図などを用いて表現し伝え合い、お互いの考えを理解しようとする態度を養います。

ノート例

C ねらい通り解いている子(減加法)

ノート例1

C ねらい通り解いている子(減々法)

ノート例2

B 素朴に解いている子

ノート例3

A つまずいている子

ノート例4

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

全体発表では、話合いを通してAとBの考えを、Cの「10のまとまり」に着目した考えへと深めていきます。しかし、初めにAの子供の考え方は提示せず、Bの子供の考えから確認していきます。そうすることで、Aの子供は、自分の考えを修正することができます。子供の実態をふまえて、Bの子供の考え方を全体で確認した後、ペア学習や小集団学習を通して、Aの子供にBの考え方を説明させてもよいでしょう。

Bの子供の考えを確認した後、Cの子供(減加法)を指名し、「10のまとまり」に着目した考えを確認します。その後、Cの子供のブロック操作を式で表します。さらに、減々法で考えた子供の考えを確認します。 どの考え方も導入で予想していた「9」という答えになるので、その答えが正しいことを確認します。その後、教師からAの子供の考えを提示します。「答えが9ではないから11が誤り」という話合いではなく、Aの子供の考えのどこに問題があるのかを考えていくようにします。このAの子供の考え方について考えることで、被減数を「10といくつ」に分けたり、減数を分けて10から順に引いたりする考え方の理解にもつながります。

●数え引き

まず、Bさんの考えを発表してもらいましょう。

〈Bさん〉たまごは全部で13個あるので、ブロックを13個用意します。そして、ケーキの材料のたまご4つ分を引きました。1個、2個、3個、4個。残りは9個になりました。

図表8

●減加法

〈Cさん〉ブロックを使ったけど、違う動かし方をしました。

どのようにブロックを動かしたのですか。

〈Cさん〉10のまとまりから4を引きました。6と3で答えは9です。

ブロックで言うと、10や4はどこのことですか。前で説明できますか。

〈Cさん〉10はここ(10のまとまり)です。そして、4を引いて、6になります。すると、6と3で9になります。

図表9

この前と同じやり方だね。

なるほど。今、Cさんは、どこから4を引きましたか。(発表している子供以外を指名する)

10のまとまりです。

よく見ていましたね。これは、どのように考えて求めたのですか。

13を「10と3」に分けて、10から4を引く考え方です。

10から4を引いて、6になります。6と3で、9になります。

「ひくたす作戦」だね。

図表10

●減々法

他の引き方をした人がいます。前に出て説明してもらいましょう。

〈Dさん〉(ブロックを操作しながら)4を「3と1」に分けます。13から4のうちの3を引きます。

図表11

〈Dさん〉10から1を引いて、答えは9です。

図表12

この考え方は、先ほどのCさんと何が違いますか。

引く数を分けました。

でも、どうして3と1に分けるのかが分かりません。2と2でもいいと思います。

それは、3と1に分けると、13−3で10のまとまりができるからです。

「10」をつくると分かりやすいね。

この考え方は「ひくひく作戦」だ。

どの考え方も全部9になったから9個で正解だね。

●減加法と減々法の共通点の検討

「ひくたす作戦」と「ひくひく作戦」は、ブロックの動かし方が違いますね。では、同じところはどこでしょうか。

13や4を分けたところです。

13や4を分けるというのはどういうことですか。

13を10と3に分けて、「10のまとまり」をつくります。

4を3と1に分けて、13から3を引いて、「10のまとまり」をつくります。

「ひくたす作戦」も「ひくひく作戦」も、「10のまとまり」をつくることが同じところです。

なぜ、「10のまとまり」をつくるとよいのですか。

「10のまとまり」をつくると、今までのひき算のやり方と同じになるからです。

なるほど。今までのひき算のやり方が使えるようにしたのですね。

●減々法と数え引きの関連付け

「ひくひく作戦」とBさんのやり方は似ているところがありませんか。

どちらも10からではなくて、3のほうからブロックを動かしています。

Bさんのやり方もひくひく作戦の仲間なんですね。でも、違うところもありそうですね。

Bさんは4回引いています。

「ひくひくひくひく作戦」だ。

Dさんのやり方だと、引くのが2回だから、楽に計算できます。

なるほど。似たやり方だけれど、4を3と1に分けると、引くのが2回だけでよいのですね。

「ひくひく作戦」が楽だね。

●減加法の確かな理解のためのゆさぶり

ところで、先生はこのように考えてみました。4から3を引いて1。10と1で11(Aの考え)。どうでしょうか。

答えが11になっているよ。おかしいな。

4を引かないといけないのに、「4-3」だと3を引いています。

問題が14-3だったら、4-3をして11になると思います。でも13-4だと、3から4は引けないと思います。10から4を引けばいいです。

今言ってくれたのは「ひくひく作戦」ですか。それとも「ひくたす作戦」ですか。

「ひくたす作戦」です。

なるほど。「ひくたす作戦」のお話をしてくれているんですね。「ひくたす作戦」だと4-3ではおかしいのですか。

「ひくたす作戦」は10から4を引きます。だから、4-3はおかしいと思います。

なるほど。ということは、「ひくたす作戦」で計算するときに大切なことは何ですか。

10のまとまりから引くことです。

●ためしの問題

では、違うケーキを作ろうと思います。13個のたまごがあって、たまごを5個使ったときの残りは何個ですか。

「残り」だから、またひき算だね。式は、13-5です。

ペアの友達と一緒に、考えてみましょう。

●考えさせた後の発表の例

「ひくたす作戦」で考えました。13を10と3に分けます。10から5を引いて5。5と3で8です。答えは8個です。

「ひくひく作戦」で考えました。5を3と2に分けます。13から3を引いて10。10から2を引いて8です。答えは8個です。

どちらも同じ答えが出たから、「ひくたす作戦」も「ひくひく作戦」も使えると思います。

※子供たちは、考え方を筋道立てて説明するために、2時目から計算の仕方を唱えてきています。そのため、単元を通して、言葉のカードを活用するとよいでしょう。問題に応じて、入れる数字を変えるとよいので、説明をすることが苦手な子供への手だてとなります。

図表13

ペアの友達と一緒に考えて分かったことを教えてください。

13-5でも、「ひくたす作戦」を使って、10といくつに分けたら計算することができました。

「ひくひく作戦」でもペアの友達と同じ答えになったので、どっちの作戦も答えは合います。

「ひくたす作戦」のときに、ブロックを使って考えると分かりやすかったです。

学習のまとめ
13-4は、13を10と3に分けたり、4を3と1に分けたりすると、10から引く方法が使えて計算しやすい。

評価問題

①14-5  ②12-5  

子供に期待する解答の具体例

減加法または減々法で計算し、枝分かれの図などで説明している。


●減加法
14を10と4に分ける。10から5を引いて5。5と4で9。

図表14

●減々法
5を4と1に分ける。14から4を引いて10。10から1を引いて9。

図表15


●減加法
12を10と2に分ける。10から5を引いて5。5と2で7。

図表16

●減々法
5を2と3に分ける。12から2を引いて10。10から3を引いて7。

図表17

感想例

  • 私は、1ずつ引いたけど、ひくたす作戦がいいと思いました。
  • 私は、ひくたす作戦でした。次は、ひくひく作戦でやりたいです。

ワークシートと板書例

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板書例

イラスト/横井智美

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