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ねらいを踏まえてよりよい人間関係をつくる「給食指導」のポイント【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑥】

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主体的に生きる力を育む学級経営の極意
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
主体的に生きる力を育む学級経営の極意 バナー

子供たちが多様な他者と関わりながら社会につながり、主体的に生きる力を育んでいくために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて基礎基本を解説します。第6回は「給食指導」の方法について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章

 

「給食指導」の時間の様子を見れば、学級担任の学級経営の指導がわかります。給食の時間は、楽しく食事をすること、健康に良い食事のとり方、給食時の清潔、食事環境の整備などに関する指導を行います。そのねらいは、望ましい食習慣の形成を図るとともに、食事を通してよりよい人間関係の形成を図ることです。「給食指導」の特質を踏まえ、「給食指導のねらい」「具体的な指導事項」「実践上の配慮事項」でチェックしてみましょう。

CHECK① 給食指導のねらい

「給食指導」の授業は、教育課程上、学級活動(2)「日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全」のエ「食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成」に位置付けられます。実践に当たっては、「望ましい食習慣の形成」を図ることをねらいとし、「食事を通してよりよい人間関係の形成」を図ることを重視しています。

学級活動(2)の授業の特質は、「集団思考による個人目標の自己決定(意思決定)」です。個々に違う子供の実態を踏まえ、共通の問題として授業を展開します。その過程は、「問題の把握(つかむ段階)」「原因の追求(さぐる段階)」「解決策(見付ける段階)」「意思決定(決める段階)」で行います。最終的に個に応じた個人目標を意思決定できるように指導していきしましょう。

個々の子供の内面に響く指導を行います

「給食指導」における給食当番は、学級経営上不可欠な活動です。子供たちが協働して個々の役割を遂行する指導が求められます。当番の仕事として、全体に向けての共通した指導を行いますが、子供一人一人に応じた指導を行うことが大切です。特に、給食の時間のねらいを踏まえて、個々の子供に応じた内面に響くような指導をしていきましょう。

CHECK② 具体的な指導事項

「給食指導」の内容は多岐にわたります。準備や片付けの方法、衛生面での配慮、配膳の仕方、適切な食事の仕方、食後の歯磨き等、教師が具体的な指導事項を明確にして指導していくことが求められます。

「給食指導」として具体的な指導項目を取り上げます

①運搬や配膳担当者は、食事を扱うにふさわしい服装で活動します。
②運搬や配膳を安全に、手順よく行うようにします。
③当番の仕事に協力し、食器や食べ物を清潔に扱うようにします。
④食前・食後の挨拶を全員で気持ちよく行うようにします。
⑤姿勢よく、よくかみ、適切な速さで食べるようにします。
⑥グループ等で楽しい話題で和やかに食事をします。
⑦食後の歯磨き等を励行できるようにします。
⑧栄養に関する指導は、子供の興味・関心を高めるようにします。
⑨献立を活用して、栄養のバランスのとれた食事の意義を学ぶようにします。
⑩楽しい食事ができることを喜び、感謝の気持ちを抱くようにします。

「給食指導」は、当番としての仕事の指導や食事に関する清潔・マナーの指導、栄養に関する指導も求められます。子供の発達段階や学級の実態に応じて、指導すべきことを明確にして、楽しい和やかな時間になるようにしましょう。

ねらいを踏まえてよりよい人間関係をつくる「給食指導」のポイント【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑥】 子供たちが給食の配膳をする様子

CHECK③ 実践上の配慮事項

「給食指導」の難しさの一つは、時間制限があることです。何をどの程度の時間で行うのか、学級としての明確なスケジュールを示すことが大切です。また、食事中の会話や校内放送等の聞き方についても明確に指示しておく必要があります。

現在は、偏食のある子供や食物アレルギーのある子供も学級内に存在することが多くなっています。子供一人一人の健康状態、家庭状況、食習慣に応じた指導にも十分配慮していきましょう。また、給食を早く食べた子供だけが「おかわり」をすることがないように、どの子供にも公平に「おかわり」の機会をもつように配慮しましょう。

和やかで楽しい時間となるようにします

給食の時間は、誰もが心を開放し、楽しく食事をする場にしなければなりません。いつも、同じ生活班の仲間と食べるだけでなく、係活動でのグループ、体育のリレーのグループや理科の実験のグループ等、多様なグループ編成で食事をすることも大切な視点となります。和やかで楽しい給食の時間となるように工夫し、指導していきましょう。

ねらいを踏まえてよりよい人間関係をつくる「給食指導」のポイント【主体的に生きる力を育む学級経営の極意⑥】 和やかで楽しい給食の時間をとる子供たちの様子

イラスト/池和子(イラストメーカーズ)

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