小1国語「こんなことがあったよ」京女式板書の技術
今回の教材は、「こんなことがあったよ」です。この単元の学習課題は、「絵日記の書き方を理解し、絵日記を書くこと」。本時では、子供たちが絵日記の書き方を理解することです。絵日記に書く具体的な内容を理解し、自分1人でも書けるという手引になる板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子
教材名 「こんなことがあったよ」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全5時間)
- 絵日記の書き方を理解する。
- 理解したことを生かして、絵日記を書く。
- 絵日記を読み合う。
- 絵日記を書く時間を設ける(帯単元として)。
- (※4と同様)
板書の基本
〇教科書の教材「こんなことがあったよ」を絵日記の指導として位置付けました。これまでに、子供たちは「好きな絵をかく」や「朝のスピーチ」を通して、出来事を伝えるという経験をしています。本単元は、これまでの経験を生かしながら、教科書教材を活用した絵日記の指導の「はじめの一歩」となります。
〇「板書のコツ」としては、次のことを大事にしました。
・黒板を見て、大事なことが理解できること。
・絵日記という学習活動について、「おもしろそう」「自分の力でやれそう」という期待感がもてるように、絵日記に書く具体的な内容を黒板から理解できること。
・自分1人でも書けるという手引になるようなキャッチコピーがあること。
〇教科書教材で大切にしたのは、次のことです。
1.絵については、主題となるようなものがかかれてあれば、十分とする。
2.題名、名前を書くこと。
3.文の数は3つを目安にする。
4.一文を20~30字、全体として60~70字を目安にする。
(教科書では、一文目28字、二文目19字、三文目18字。句読点を含む)
板書のコツ(1/5時間目導入)
板書のコツ①
日付・題名を書きます。いったん、ここまでを音読させ、「次に先生は何を書きますか」と質問します。本時の学習内容になるものであることを、入学してから3か月、4か月目には覚えてほしいので、次に書くことを聞くようにしています。
板書のコツ②
「えにっき」という言葉を板書します。多くの子が「知っている」と言い出します。この声に応えて、「そうですね」と肯定したくなります。しかし、1年生にはそれを肯定も否定もしないで、「めあて えにっきのべんきょうをしよう。」と音読させます。それは、「はじめての勉強」のときには、その言葉も内容も知らない子が教室にいるということを気遣うことが、1年生担任の大事なことと心がけているからです。
板書のコツ③
「えにっき」ってなあに、と考えさせ、教科書の例を黒板に貼ります。その後に教科書を読ませ、絵日記の大体を理解させます。理解させることは次のことです。
1.絵をかくところがあること。
2.文のところには、題名と名前を書くこと。
3.絵に関係する文を書くこと。
板書のコツ(1/5時間目前半)
板書のコツ①
「◎どんなことをかくの。」と板書します。ここでは、これまでの「お話し会」や「朝のスピーチ」のことを思い出させます。これは、問題意識をもたせることを意図した板書です。
板書のコツ②
1年生の子供たちは、抽象的な言葉として、「楽しかったこと」「うれしかったこと」「どこかへ行ったこと」などを得意になって発表します。これは書くことを探す学習活動(取材活動)として、話題を広げる役割を果たします。これらを全部肯定し、話が出つくしたところで「ヒント」と「おおきいみかん」を板書します。子供たちに自分たちが発言したこととのちがいに気付かせ、何だろうと気持ちを切り替えさせるためです。
板書のコツ③
「みかん」らしく丸をかき、このみかんは「おおきいみかん」です、と説明します。何のことか分からないと立ち止まることで集中力が生まれ、真剣に考える時間になります。授業の山場になる板書です。そして、 とみかんの中に書き加えます。
板書のコツ(1/5時間目中盤)
板書のコツ①
「おおきいみかん」の一つ一つの種明かしをします。
たとえば、はじめのの場合、「はなびをしました。」もよいけれど、「パチパチ」とか「ドカーン」とか音を書いてもいいんだよ。
次のの場合、「いつまでもみていたいとおもいました。」と書いているね。思ったことですね。
続けて、いたことやったこと、たことなどを書いてもよいのです。
2文字になる は何だろうね。「かんがえたこと」と板書していますが、「かんしんしたこと」「かんじたこと」などの言葉が出るかもしれません。
話合いを広げるなかで、「えにっき」のことが具体的になり、「書きたい」気持ちへと雰囲気を高めるのが、板書の大事な役割です。ですから、「 」で授業を盛り上げていくゆとりが必要です。
板書のコツ(1/5時間目後半)
板書のコツ①
教科書通りの枠を使うことも可能ですが、これから始まる学習として、次の絵日記モデルを黒板に貼りました。
枠としては、教科書の例が基本になります。しかし、学級の実態から、日頃使っているノートと同じように、マス目のある絵日記の用紙を作りました。また、文の書き始めのところに小さなイラストを付けて、文のはじめは1マス目を空けることを意識させました。文章が書けるようになった段階で、マス目を増やしていく予定にしています。
日記の例として、生活科で行ったしゃぼん玉遊びを題材にしました。これは、子供たちの共通の経験を取り上げることで、絵や文と子供たち一人一人の想像が結び付くと考えたからです。モデルのなかで大切にしたのは、次の通りです。
・経験とつながるように、1年生の子供がしゃぼん玉を吹いている様子を絵にかくこと。
・教科書の例と同じように、1行目に題名である「しゃぼんだま」、2行目に名前を書くこと。
・「みたこと」として、「そらにたくさんのしゃぼんだまがありました。」「みんなのかおが、きらきらしていました。」を書くこと。
構成/浅原孝子