小5算数「比例」指導アイデア《伴って変わる2つの数量の変わり方を表や図に表し、2量の関係が比例かどうか話し合う》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/横浜市立奈良小学校教諭・岡田秀亮
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一
   島根県立大学教授・齊藤一弥

年間指導計画 比例

単元の展開


第1時 伴って変わる2つの数量の変わり方を調べ、変わり方の違いを話し合う。

第2時(本時)伴って変わる2つの数量の変わり方を表や図に表し、2量の関係が比例かどうか話し合う。

本時のねらい

比例になりそうな場面を予想し、表などを用いて変化や対応の規則性を明らかにすることを通して、比例だと言える理由を自分の言葉で説明できるようにする。

評価規準

表などを用いて調べた2つの数量の関係を使って、比例の関係があるかないかを説明することができる。

本時の展開

問題
比例になりそうな場面を見付けて、確かめてみよう。
①読んだページ数と残りのページ数
1さつ80ページ


②ジュースの本数と代金
1本150円


③工作で作る車の台数と必要なタイヤの数
1台で4つ

 前回の学習では比例について学びましたね。比例とは2つの量がどのようになることですか。

□が2倍、3倍……になると、それに伴って◯も2倍、3倍……になるときに比例と言います。

長方形の面積は横の長さに比例していました。

横の長さが2倍、3倍……になると、縦に敷き詰められる1㎠の正方形の数も2倍、3倍……に増えていきました。

表にかいてみると、比例かどうかがすぐに分かって便利でした。

そうでしたね。では長方形の面積以外にも、2つの量が比例になることはあるのでしょうか。

あると思います。

では、この3つのなかに、比例になりそうなものはありますか。

②は比例だと思います。

①は比例ではないような気がします。

 では、確かめてみましょう。

学習のねらい
比例かどうかを説明するために、それぞれの数量が、どのように変化しているのかを調べましょう。    

見通し

まずは、□が2倍になったときに◯も2倍になるか確かめてみよう。(方法の見通し)

表を使えば□と◯の関係が比例かどうか確かめられそう。(方法の見通し)

□が2倍、3倍……になると、それに伴って◯も2倍、3倍……になっていれば比例だと言える。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子
2つの数量の意味が分からなかったり、表に表す方法が分からなかったりして困っている。


B 素朴に解いている子
2つの数量を見いだし、表に表して考えようとしている。


C ねらい通り解いている子
2つの数量を見いだし、表などを用いて、□が2倍、3倍……になれば、それに伴って◯も2倍、3倍……になるかを確かめている。

学び合いの計画

比例かどうかを判断するためには、一方の数量が2倍、3倍……になると、それに伴って、もう一方の数量も2倍、3倍……になるかを確かめる必要があります。ここでは、ただ表に表して比例かどうかを確かめさせるだけでなく、2つの数量の関係や規則性を見いだすうえで、表を用いることが能率的であることを実感させましょう。

そのために、3つの場面を表で表し、そこで見えてきた関係性や規則性について、図を根拠に説明し合う時間を大切にしましょう。そうすることで、説明がしやすかったり、説明が理解しやすかったりしたことを価値付けることができます。

表を用いることのよさを実感できれば、この先の学習においても、見いだした2つの数量の関係や対応の規則性を調べる場面で、表を用いて考察しようとする態度を育むことに繋げることができます。表を用いて関係を考察する際、どの段階で比例だと考えてよいのかを子供に問い返すことで、比例だと判断するための視点も鍛えていきましょう。

また、比例の関係であれば乗法を用いて求めたい答えを簡単に求めることができることにも目を向けさせ、日常にある数量の関係への関心が高まるような授業をデザインしていきましょう。

ノート例

A つまずいている子

B 素朴に解いている子

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

*C1、C2、C3それぞれ発表をする。

C1
表を見れば②と③が比例で、①は比例ではないことがよく分かります。比例かどうかを調べるときには表を使うのが大切だと思う。


C2
ジュースの値段も車のタイヤの数も、かけ算で求められる。数がどれだけ増えてもかけ算が使えるから便利。


C3
面積のときもそうだったけど、比例ならかけ算が使える。だったら、今までにかけ算で求めてきた問題は全部比例なのかな?


3つを見比べて、気付いたことや考えたことはありますか。

C1の考えはその通りだと思います。表にすれば順番に並んでいるから、上と下の数量が2倍、3倍……になっているかがよく分かります。

表を一度かけば説明もしやすくなるし、聞いているほうも分かりやすいので、そういう面でも表にするのは大切だと思います。

比例かどうかを確かめることを通して、表のよさや価値にも気付くことができたのですね。

C2の考えも「確かに」と思いました。

表にはジュースの本数が2本のときや3本のとき、念のため、4本のときぐらいまでかいておいて、それ以上の場合は計算で求めたほうがいいです。

なぜ表にかくのは4本ぐらいまででいいと考えたのですか。

4本までが比例なのに、5本に増えた瞬間に比例ではなくなるのは考えにくいからです。

それなら調べるのは2本のときまでにしたほうが簡単で手間も省けるのではないですか。

それでは比例かどうかの判断ができません。

たまたま比例に見えているだけかもしれないので、本当に比例なのかを確かめるためにも4本とか5本ぐらいまでは調べたほうがいいと思います。

比例だと分かれば、10本買うときの値段を求めたい場合は、150×10で1500円だと計算で求めればいい。

4年生のときも関係を調べて計算で求めたことはあったけど、比例の場合はかけ算だけで済むから簡単です。

比例は便利な感じがします。

C3の考えは僕にはなかったけれど、そうかもしれないと思いました。

コーヒーカップが5台あって、1台に4人ずつ乗れる場合は4×5で求めていたけれど、2台の場合、3台の場合のように増えていくと考えれば今日やった比例と同じになります。

すごいことを発見しましたね。ということは、私たちの身の回りには比例があふれているのかもしれませんね。

比例に気付いていなかっただけで、他にも比例がたくさんありそうです。

どんな場面に比例があるのか探してみたいです。

学習のまとめ
比例かどうかを確かめるためには、表に表して判断するのがよいとあらためて思いました。比例と判断ができれば、かけ算を用いて表にはない個数や本数の場合でも答えを求めることができるので便利だなと思いました。

1人1台端末を活用した指導のアイデア

◎評価問題の回答共有に1人1台端末を活用する
それぞれが探した身の回りにある比例について、「①比例だと予想した理由」「②表を用いて確かめた結果」「③感想やまとめ」の順にノートにまとめたものを写真で撮り、タブレットなどのICTを用いて共有します(もちろん、タブレットなどのICTを用いてまとめたものを共有してもよい)。それぞれがまとめたものを共有することで、身の回りにたくさんあった比例に気付くだけでなく、2つの数量の見いだし方や、2つの数量関係や対応の規則性の調べ方について、さらに学びを深めることにつながります。

評価問題

身の回りにある比例を探しましょう。それが比例だと予想した理由も書きましょう。

子供に期待する解答の具体例

1日に映画館に入る観客の人数も比例で求められると思いました。例えば1回の上映で150人入れる部屋があったとして、1日に10回上映があれば、150×10で1500人の観客が入れることが分かります。表にすると2回目に300人、3回目の上映では観客が450人になるので、上映の回数が2倍、3倍……になると、それに伴って入れる観客の人数も2倍、3倍……になります。そうやって考えると1か月に何人の観客が入れるかも分かります。だから比例は便利だし、すごいと思います。

感想

今までに何気なく使っていたかけ算の問題が全部比例かもしれないと知ってびっくりしました。比例かどうかが分かれば、いつでも簡単に知りたい数をかけ算で求めることができるので便利だなと思いました。表の大切さも分かりました。比例かどうかを説明するときに言葉だけでは伝わりづらいけれど、表にかいて説明すればすぐにはっきりと伝えることができます。身の回りにある比例かもしれないものを探して、表を使って確かめてみたいと思います。

ワークシートPDFと板書例

イラスト/横井智美、やひろきよみ

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