夏休み前の安全指導②川での事故防止〔ダウンロードプリント付〕
夏休み、毎年、川での水難事故のニュースが入ってきます。ひとたび事故が起こると、楽しい川遊びが一瞬にして悲惨なことになってしまいます。川の危険を知り、川での事故防止を心がけるため、夏休み前にぜひ水の安全指導を行いましょう。ワークシートがダウンロードできますので、子どもたちにワークシートを配付して、気を付ける箇所を確認するとよいでしょう。
監修/公益財団法人日本ライフセービング協会
目次
より楽しくより安全に遊ぶために、川の危険をよく知ろう!
川に遊びに出かけたときに、気を付けたい16のポイントです。子どもたちにイラストを見せながら、どのようなことに気を付けるとよいのか、どのようなことが危険な行為なのかを伝えましょう。クイズ形式にすると楽しみながら学べます。
川に行ったときにどんなことに気を付けるとよいでしょうか。上の絵を見て、気付いたところはありますか。みんなで考えてみましょう。
はい、私は4番の子が川ですべっているのが危ないと思います。
子どもが川の浅い個所ですべっていますね。なぜすべっているか分かる人はいますか。
川の中の石はコケなどが付いてすべりやすくなっていることがあるので、そのような石で足をすべらせたのだと思います。
はい、そのとおりですね。川の中には不安定な石があります。その石に足を乗せるとバランスをくずして転倒し、流されることがあります。そのような不安定な石の上に乗らないようにしましょう。
はい、分かりました。
子どもたちとやり取りしながら、川に出かけたときに気を付けることや危険なことを学べるようにします。子どもから答えが出ないときには、目の前の子どもたちの様子や時間状況に応じて、ヒントを出し、子どもたち自身が気付けるようにしたり、先生が解説したりしましょう。
川に出かけたときに気を付けたい16のポイント
❶
今いる場所で晴れていても、上流やその周りでは、局地的な豪雨により、一気に川の水が増して、水位が上昇することがあります。急に水がにごったり、枝や落葉が流れてきたりしたら、すぐに川からはなれましょう。また上流付近や山の近くでは、鉄ぽう水にも注意しましょう。
❷
上流にダムのある川では、放流による増水に注意しましょう。事前に放流情報を確認し、活動中は常に放流予告のサイレンが鳴らないか気を付けましょう。
❸
川底に岩などの障害物が多くある流れの速い瀬では、流れの中で立とうとしたり、川底に足先を向けたりすると、岩のすき間に足をはさまれる危険性があります。特に急流では、フットエントラップメント(足が石の間などにはさまれたりして、川の強い力に押されて水没してしまうこと)の危険もあります。
❹
川の中にある不安定なうき石にうっかり足を乗せると、バランスをくずして転倒し、流されることがあります。うき石の上に乗らないようにしましょう。
❺
川沿いで草木がおいしげる見通しの悪い場所では、川に落ちる、すべって転ぶなどの危険があるので、近付かないようにしましょう。
❻
植物がはえていない河原は、雨などで川の水が増水すると、浸水または水没する可能性があるので、気を付けましょう。
❼
大きな岩やかべに水の流れがぶつかるところでは、水面下の岩がえぐれていること<アンダーカット>があります。そこでは下に引き込む流れが発生しやすく、またうずの中に流されてきた木の枝・ゴミ・つり針などもあり、大変危険な場所です。近寄らないようにしましょう。
❽
川の流れで、V字に波が立っているところでは、川の底にコンクリートブロックやくいなどがある可能性があるので、さけて通りましょう。
❾
川には、川岸などの浸食を防ぐためのコンクリートブロックや川底の浸食を防ぐ<とこ止工>、橋を支える橋きゃくなどがあり、それらの物が川の流れや勢いを複雑に変える場所があります。こういった人工構造物に近付かないように注意しましょう。
❿
中州は、雨などにより川の水が増えると水没する可能性があり、川岸にもどれなくなってしまうこともあるので注意しましょう。
⓫
強い流れが川底の岩にぶつかり、流れがわき上がることがあります。大きなものはうずをまくこともあります。
⓬
おだやかに見える流れでも、地形や川底の影響で流れが一定ではないこともあります。川の事故の多くはこのおだやかな流れで発生しているので、必ずライフジャケットを着用しましょう。
⓭
岩などがあり水が回りこんだ場所やくぼみのある場所<ワンド>などでは川の流れが反転する、反転流が発生することもあります。本流に比べて流れはゆっくりですが、その流れはいずれ本流にもどるので注意しましょう。
⓮
川にある岩は、大きさ・水面の位置・形状などにより様々な流れを生みます。複雑な流れを生む場合もあるので、特に、流水の中の岩の上流側には近付かないようにしましょう。
⓯
体が流されて水中にある流木などにひっかかると、体全体で水圧を受けて動けなくなってしまうことがあるので気を付けましょう。
⓰
川のどんな場所にも、つり針とつり糸が落ちている可能性があり、刺さってしまうと簡単にはぬけません。また糸が体にからみついて水中で身動きがとれなくなる危険性もあります。
川遊びで心がけたいこと
・自分の身は自分で守る。
・川の場所(上流か中流か下流かなど)、天気予報を確認する。
・体に合ったくつとライフジャケットを着用する。
・子供は、大人より上流側で遊ぶ。
ダウンロードプリント
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安全な水泳授業~プール事故防止のための事前学習~〔ダウンロードプリント付〕
プール事故防止のための監視の方法~子どもの命を守る水泳授業~
出典・資料提供:公益財団法人日本ライフセービング協会
日本ライフセービング協会のウェブサイトでは、夏休み前に川遊びでの安全の心構えを学べる動画などがあり、楽しく学習できます。
https://ls.jla-lifesaving.or.jp/
取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/横石真奈美 イラスト・写真提供/公益財団法人日本ライフセービング協会 資料提供/公益財団法人河川財団