小3国語科「コンピュータのローマ字入力」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科 「コンピュータのローマ字入力」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:コンピュータのローマ字入力(光村図書・国語 三下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校・金子嘉良

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元は、「ローマ字で書くこと」の一つのバリエーションと考えられ、3年上巻の「ローマ字」の活用的な位置付けとなる教材を用いた学習です。

日常で使われている簡単な単語について、ローマ字で表記されたものを読み、ローマ字で書くことや、コンピュータを使ってローマ字入力に取り組み、簡単な単語を入力したり変換したりすることをねらいます。

児童は、3年上巻「ローマ字」で、ローマ字での基本的な表記方法を学習しています。
その単元との違いは、今回の単元は「入力方法に重きを置く」ということです。
ローマ字の入力は、ローマ字表記を利用しつつも、ローマ字表記そのものとは違うということを押さえ、指導を進めることが大切です。
また、変換を学習するときには、「同音異義語」についても注意していく必要があります。ローマ字入力をすることのよさやより早く入力するための方法について考えることはもちろん、正しく変換して、正確な文章を作ることができるようになることもねらいます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、コンピュータを使って、ローマ字入力をする際のきまりを理解し、実際に打ち込むことができるようになることをねらいます。
教師側の意識としてもっておきたいことは、「ローマ字」と「ローマ字入力」の違いです。
例えば、「空気」と入力する場合、ローマ字表記とは異なり、「kuuki」と「u」が一つ多い状態で打ち込みます。ですので、平仮名表記にした場合の「音(おん)」の数で打ち込むイメージをもっておくと分かりやすいと思います。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 ローマ字入力の便利さに気付かせる

単元の導入では、児童に、ローマ字入力の便利さに気付かせていく必要があります。ローマ字入力の学習を行う必然性を感じてもらうためです。

では、ローマ字入力の便利さとは何なのでしょうか。深く考える機会は、あまりないことを正直に児童に伝え、一緒に考えていこうという視点を与え、尋ねてみる活動も有効です。
児童が教師と同じ立場で物事を考える場面はそうはないので、「先生より先にローマ字の便利さに気付きたい」と思う児童も増えてくるでしょう。
ある程度意見が出てきたら、まとめ、価値付けを行います。そして、教師側からの答えも示すとより便利さに気付くことができます。

(例)
先生も、みなさんと一緒に考えてきたんだけれど、先生はあることに気付いてしまったんです。
それは何かというと…「文字の数」です。アルファベットの文字数は「26字」、平仮名は「50字」。だいたい半分ぐらいの数になっているけれど、パソコンの入力が苦手っていう人もおそらくいるよね。
打ち込むのが苦手っていう人もいるだろうけど、「どこに何の文字があるかの位置を覚えなくてはならないから苦手」っていう人もいませんか。…

このような声かけをしてみたら、「たしかに、50個のキーボードの配置を覚えるより、26個のキーボードの配置を覚えたほうが楽だな。」と考え、ローマ字入力の便利さに気付き、自分からローマ字入力を選んで打ち込むようになると思います。
さらに、母音の「a」「i」「u」「e」「o」が接頭語に付随していることも伝えると、より簡単だと思ってくれると思います。ただし、3年生ですので、そのあたりはクラスの実態に応じて伝えるようにしてみましょう。

〈対話的な学び〉 友達と相談しながらも自分の入力と向き合う

一番オーソドックスな対話になるのは、パソコンで文字を入力するための課題が与えられたときに、どう入力するかが分からず、友達に尋ねてみることです。
それは、有効な手立てであると思います。一方で、何でも友達に頼って解決をしていると、自分で打ち込み、変換まで行うようにはならないかもしれません。

そこで、次のような声かけをしてみましょう。
「入力できない文字がもし出てきてしまったら、まずは、自分で探してみましょう。このパソコンを使えば、すべての文字を入力することができます」。
すると、あらゆる方法を試し、パソコンにたくさん触れ、入力と向き合うことにつながります。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)ローマ字入力の決まりに沿って練習する

1時間目の授業では、教科書に沿って打ち込みの練習を行います。

① 普通の単語の入力を行う。
②「し」「ち」「ふ」など、ローマ字で二つの表し方があるものを実際に入力し、どのように表記されるのかを確かめる。
③「ぢ」「づ」「を」「ん」などの入力方法を確かめる。
④「くうき」など、ローマ字の単元で習った表し方ではない単語を打ち込む。
⑤「きっぷ」などのつまる音が出てくる場合の入力の仕方を確かめる。
⑥ p114にある単語を使い実際に入力を行う。 

という順で進めていきます。

②では、児童と「二つの書き表し方があったら、両方で表記されると思う?」などとやり取りを行いながら、確認していきます。自分で予想を出したあとに、実際にやってみることが大切です。どちらの入力法でもしっかりと表記されることを理解しやすくなります。

④では、音(おん)の数ではなく、文字数(一つの文字)としてとらえ、入力していくことを押さえておきます。

(2)正しい変換を意識する

2時間目の授業では、入力した文字を正しく表記するために「へんかん」に重きを置きます。
ですので、児童が少し変換しづらいような文章の例題を用意し、楽しみながら「へんかん」を行えるようにしてみましょう。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: コンピュータのローマ字入力

【主な学習活動】
第一次(1時2時
(1時)
・ローマ字入力と出合う。
・ローマ字入力をしてみる。
・ローマ字入力の決まりを知る。

(2時)
・変換について知る。
・問題を解きながら正しく変換してみる。
・正しく変換することの大切さを知る。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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