小4算数「資料の整理」指導アイデア《落ちや重なりなく二次元表に整理する方法》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/横浜市立南吉田小学校教諭・西垣伸洋
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥

単元の展開

第1時 データを2つの観点から分類整理する方法や二次元表の表し方について考え、理解を深める。

第2時(本時)データの特徴に着目し、落ちや重なりなく二次元表に整理する方法を考察する。

第3時 2つの分類項目をもつデータを、2つの観点から分類整理し、二次元表に表すことについて考える。

本時のねらい

正しく二次元表に整理して表す活動を通して、どのようにしたら落ちや重なりなく調べることができるか考えることができる。

評価規準

落とし物調べのデータを基に正しく二次元表に整理して表す活動を通し、落ちや重なりなく調べる方法を考えている。

本時の展開


学校の落とし物をへらすポスターを作ろう。

学校をよりよくするために、「落とし物を減らすポスター作り」を依頼されましたね。昨日は、実際の落とし物のデータを見て、今までやってきた1つのデータの表だと、どこにどんなポスターを貼ればいいかわからない、とみんなで話し合いましたね。どんな表があればよかったですか。

1つだけでなく、2つのデータを表せる表が必要です。

「落とし物の種類」と「落とした場所」の2つの表です。

そうでしたね。「落とし物の数」と「どこで落とされたか」の2つをまとめて表せる表があることを知りましたね。

そうそう、この表。縦が「落とし物の種類」、横が「落とされた場所」。

これなら、どこにどんなポスターを作ればいいか調べられるね。 

短い時間でしたが実際に表にまとめてみましたね。どうでしたか。

けっこうバラバラだったね。

友達と違ったんだよね。

合計の数が合わなかった。

○○さんより少なかった。

私は逆に多かった。

2つのデータだと難しいよね。 

ちゃんとぴったり合うように書かないとポスターを作れないから、正しく表に整理できるようになりたい。

今日は、どんなことに気を付けると正しく表に整理できるか、考えていきましょう。


2つの観点のデータを落ちや重なりなく表に整理する方法を考えよう。

見通し

既習である正の字を使って数えていく。(方法の見通し)

失敗をもとに、どうすれば正しく表に整理するか考察し、落ちや重なりがなくなるかを話し合う。(方法の見通し)

「落とし物」と「落とした場所」の2つの観点で表にまとめる必要性をもたせる。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子
バラバラに数えてしまい、正しく表に表せていない。


B 素朴に解いている子
正の字を使ったり、カードにチェックを入れたりして、落ちや重なりなく表に表している。


C ねらい通り解いている子
落ちや重なりなく、正しく二次元表に整理し、どこにどんなポスターを作ればよいか考えている。

学び合いの計画

まず、自分の学校の落とし物が多いことに問題意識をもち、落とし物を減らすためのポスター作るという目的意識をもたせます。

本時では、前時に行った二次元表への整理した際にうまくいかなかったことを生かし、どうすれば落ちや重なりなく表にまとめることができるかを考察していきます。

既習の正の字を使ったり、数えたカードにチェックを付けたりして、落ちや重なりなく整理することで正しく表に表します。落ちや重なりなく表に整理する工夫のよさを気付けるようにします。

ノート例

A つまずいている子

B 素朴に解いている子

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

C1
頭のなかで数えるのではなく、正の字を使って数えていくといいよ。


C2
数えたカードがいつ見てもわかるように、数えたカードにチェックを入れておくとわかりやすいよ。


C3
好きな順番にカードを数えるのではなく、順番に数えていくと落ちや重なりなく整理できるよ。

さっき、みんなが言っていた昨日の失敗を整理してみましょう。どんな失敗でしたか。

人数が少なくなってしまいました。

それはどうしてですか。

人数が少ないということは、数え忘れているんじゃないかな。 

そうですね、カードの数え忘れかもしれませんね。そういう数え忘れてしまうことを「落ち」と言います。ほかにはありましたか。

人数が多くなってしまいました。

それはどうしてですか。

人数が多いということは、2回数えたということかな。

そうですね、同じカードを2回数えた可能性がありますね。そんな風に2回や3回、同じカードを数えてしまうことを「重なり」と言います。ほかにはありましたか。

たくさんカードがあるから、どれを数えているかわからなくなってしまいました。

そうでしたね。いろいろうまく数えられず、表に整理できなかったですね。どうしたら落ちや重なりがなく数えられるでしょう。

三年生のときと同じだけど、数えるときは正の字を使ったほうがいいと思います。

数えるのは同じだから、やったほうがいいね。

1つずつ、正の字を使って数えていくことは、2つのデータの表になっても同じですね。

僕はどのカードを数えたかわかるように、数えたカードにはチェックを入れたよ。

確かに、どのカードを数えたか、はっきりわかるね。

数えたカードには必ずチェックしよう。

あと、カードが並んでいる順に数えると、どれを数えたかわかりやすいよ。

バラバラに数えると分かりにくくなっちゃうよね。

今回のカードだったら、上から順番に数えるといいね。

落ちや重なりをなく整理する工夫がたくさん見つかりましたね。

この工夫をしたら絶対大丈夫。

早く昨日のリベンジをしたい。

では、みんなで2つのデータを表せる表にまとめてみましょう。

※自己解決をする。

昨日やったときより整理しやすい。

どのカード数えたかすぐわかるね。

これなら落ちや重なりなく整理できそう。

できたー。

私もできたー。

昨日より早く整理できていますね。では、みんなで確認していきましょう。2つのデータになったのに皆さん、しっかり表に表すことができましたね。

正の字やチェック入れたらさっとできた。

これが、落ちや重なりなく整理すると言うんだね。

この表を見て、どんなことがわかりますか。

えんぴつを教室で落としている人が一番多いことがわかります。

だから、教室に「えんぴつ落とさないで」のポスターを貼ると効果あるんじゃないかな。

えんぴつを落とさないように呼び掛けるポスターは学校中に貼ってもいいね。

校庭で赤白帽子を落としている人も、その次に多いのがわかります。

上着を忘れている人も校庭が多いです。

校庭では上着や赤白帽子がよく落とし物になっているからポスターを作りたいんだけど、どこに貼ればいいのかな。

校庭ということは靴を履いて校庭に行っているから、昇降口に「赤白帽子、上着忘れてない?」というポスター貼るといいんじゃないかな。

「落とし物」と「落とした場所」の2つがわかる表を作れたから、ポスターのいろんなアイデアが出ましたね。今日の学習をふり返りましょう。

2つのデータの表になっても、正の字で数えたり、数えたカードにチェックを入れたり、順番に数えていったりすると、落ちや重なりなく表に整理することができました。

表を工夫すると2つの表を1つにできて、より見やすくなる。

どんなポスターがいいか、よくわかりました。

今日みたいに、どんなポスターを作るといいか考えるときは、今日のような表がわかりやすいね。

ほかにも、「いつ落とされたか」や「ひろった人」のデータもあるから、今日と同じように表に表すと、何かほかにもわかりそうだからやってみたい。


表を整理するときに、正の字やカードにチェックを入れる工夫をすると、落ちや重なりなく正しく表に整理することができる。

評価問題

落とし物調べのデータから、落とし物の種類と落とされた時間について、表にまとめて、ポスターをはるために気付いたことを言いましょう。

子供に期待する解答の具体例

・授業中にえんぴつがたくさん落とされている。
・中休みに遊んで暑くて上着を忘れてくる子がいるのかな。

感想

  • 今までは、1つのデータを表に表していただけだったけれど、2つのデータを工夫して表に表したら、落とし物の種類と場所の関係がとてもわかりやすく見ることができて便利だった。
  • 2つのデータを見るのは大変だけど、正の字を使ったり、数えたカードにチェックを入れたりして工夫すると落ちや重なりなく、正しく表に整理することができた。
  • 正しく整理した表を見ると、どこで何が落とされているかよくわかるので、どこにどんなポスターを作って貼ればよいかよくわかった。
  • これからも2つのデータをまとめて整理する必要があるときは、この表を使っていきたい。
  • 例えば、今日のデータを学年ごとに分けて整理してみても、ポスターを貼る場所の参考になりそうだな。

ワークシート(ダウンロード可)

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板書例

イラスト/横井智美

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