ページの本文です

「心の鬼を退治しよう」全校朝会【校長講話】文例集 #10

連載
全校朝会【校長講話】文例集

兵庫県公立小学校校長

俵原正仁
連載 全校朝会【校長講話】文例集 執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

全校朝会での校長講話といえば、校長先生にとって腕の見せどころです。とはいえ、毎月、子供たちの知的好奇心を掻き立てたり、子供たちの心を整えたりする内容を考えるのは苦労するもの。そこで、本連載(月1回公開、全11回)では、学級経営や学校経営に関する多数の著書をもつ俵原正仁先生が、実際に使用したスピーチの全文を公開します。2月は講話「心の鬼を退治しよう」を取り上げます。

執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

2月のテーマはこう選ぼう

本年度も残すところあと2か月になりました。そろそろまとめの時期に入る頃です。進学・進級に向けて動き出します。また、2月は学級崩壊が起こりやすい月でもあります。そこで、2月の全校朝会は、心の中に芽生えがちな弱い気持ちに打ち勝って、充実した学校生活を過ごしてほしいという願いを込めて、季節の行事である「節分」をテーマに話をします。キーワードは「心の鬼」です。

2月の講話「心の鬼を退治しよう」全文

節分に、豆まきする子供。

今年の「節分」はいつか知っていますか? そうです。2月3日ですね。節分とは「季節を分ける」という意味です。だから、昔は、立春・立夏・立秋・立冬の前日の季節の変わり目のことをすべて「節分」と呼んでいました。と言うことは、なんと! 1年に4回、節分があったということです(※1)

そして、これらの季節の節目には「邪気」が入ってくると信じられていました。豆まきは、それらの見えない悪いものを鬼に見立て、それを追い払うために行われるようになった風習です。

では、ここで問題です。

北海道や東北地方では、節分で豆(大豆)の代わりにあるものを投げます。そのあるものとは何でしょう? ①炭 ②じゃがいも ③落花生(ピーナッツ) ④雪の玉(※2)

正解は、…③の落花生(ピーナッツ)です。雪の多い地域で使われているのは、雪の中に撒いた豆を拾うのは落花生の方が楽ですし、あとで食べることを考えると殻に入った豆の方が衛生的である等の理由からだそうです。節分で鬼に投げるものも地域によって違うんですね。1月に話したお雑煮と同じです。当たり前だと思っていることが実は当たり前ではない(※3)という例は他にもたくさんありそうですね。

続いて第2問。節分の鬼といえば赤鬼のイメージが強いですが…

実は、節分の鬼の色は5色あります。「赤鬼」「青鬼」に「黄鬼」と「緑鬼」…では、後1つは何色の鬼でしょうか? ①ピンク鬼 ②紫鬼 ③黒鬼 ④オレンジ鬼

正解は、③の黒鬼です。仏教では、修行の邪魔をする5つの煩悩(人間が誰もが持っているマイナスの感情のこと)を「5つの鬼」に例えて色分けしました。ヒーロー戦隊みたいですね。それぞれの色の鬼は次のような性格だそうです(※4)

黒鬼

赤鬼は、欲深くて何でも欲しがる……「欲しがり鬼」です(※5)。人間のすべての悪い心を表していると言われることもあります。赤鬼が一番有名なのは、この欲望があらゆる邪気の象徴であるためです。
青鬼は、悪口や嫌なことばかり言ういつも怒っている……「怒りんぼ鬼」です。
黄鬼(白の場合もあるそうです)は、自己中心的で自分勝手でわがままな……「わがまま鬼」です。
緑鬼は、やるきが出ない、だらだらするという怠け者の……「なまけ鬼」です。
黒鬼は、人を疑ったり、愚痴をこぼしたりする……「人のせい鬼」です。

お正月に、「今年は、〇〇をしよう!」と1年の目標とやる気を新たにした人も多いと思います。しかし、1か月が過ぎ、その心が少し弱くなっている人は、怠け者の緑の「なまけ鬼」が心の中に入ってきたのかもしれません。

ただ、この「心の鬼」(※6)は、豆や落花生で外に追い払うことはできません。外から来る鬼よりも、「心の鬼」の鬼退治の方が大変そうです。しかも、この5つの色分けされた鬼は、誰の心にも棲んでいるらしいのです。自分には「心の鬼」はいないよと言う人も、もしかしたら、何かのきっかけで「心の鬼」が出てくるかもしれません。そんなときは、「心の鬼」を追い出そうという強い気持ちをもって、「心の鬼」の鬼退治をしてください。

心の鬼を退治して、がんばる子供たち

自分の「心の鬼」を退治し(※7)、残り2か月も笑顔かがやく〇〇小学校で、1年間のまとめをおこない、進学・進級に向けてがんばっていきましょう! これで校長先生の話を終わります。

話し方のコツとポイント解説

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
全校朝会【校長講話】文例集

人気記事ランキング

学校経営の記事一覧

フッターです。