小6算数「分数のわり算」指導アイデア(2)
執筆/埼玉県公立小学校教諭・松井浩司
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・笠井健一、埼玉県公立小学校校長・書上敦志
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 4/ 11)
ねらい
除数と商の関係について考える。
評価規準
1を基準とした除数の大小に着目して、被除数と商の大小関係について、数直線を用いて考え、説明している。(数学的な考え方)
問題

それぞれ数直線に表し、問題を解決しましょう。
~それぞれの問題を解決する~
2つの数直線や式を見比べて、気が付くことはありますか。
どちらも、わられる数が12で同じになっている。
でも、わる数と商は違う。
わる数が変われば、商も変わる。
わる数の大きさと商の大きさは、どんな関係でしょうか。
本時の学習のねらい
わる数の大きさと商の大きさの関係を調べよう。
見通し
まず、これまでの分数の除法の学習を生かして、数直線を用いて解決していきます。そして、問題解決を振り返り、2つの式や数直線を比較することで、本時の学習課題を明確にしていきます。比較する際には、変わるものと変わらないものという視点から、わられる数は変わらず、わる数と商が変わることを引き出します。
自力解決の様子
A つまずいている子
関係を捉えることができない。課題の意味が分からない。
B 素朴に解いている子
わる数が大きくなると、商が小さくなることを説明している。
C ねらい通りに解いている子
数直線と関連させながら、1を基準として関係を説明している。
学び合いのポイント
話合いではまず2つの比較から、わる数が大きくなると商が小さくなる(わる数が小さくなると商が大きくなる)ことを明らかにしていきます。そして、商が12 より大きくなるのは、わる数がどんな場合かを考えていきます。その際に、式や数直線と関連付けながら説明させることで、理解を深めることができます。
全体発表とそれぞれの関連付け

わる数と商の大きさには、どんな関係がありますか。
わる数が、[MATH]\(\frac{2}{3}\)[/MATH]から1と[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]に大きくなると、商は18 から9と小さくなります。
式で説明します(式に矢印を付け加える)。
商が12より大きくなるのは、わる数がどんな時ですか。
1より小さくなる時です。
数直線で言うと(数直線を示しながら)、わる数が1より小さい時に商はわられる数より大きくなる。
反対に、(数直線で示しながら)わる数が1より大きい時に商はわられる数より小さくなっていく。
ノート例

学習のねらいに正対した学習のまとめ
1よ小さい数でわると、商はわられる数より大きくなります。
評価問題
① 60 ÷[MATH]\(\frac{9}{5}\)[/MATH]□ 60
② 60 ÷[MATH]\(\frac{3}{7}\)[/MATH]□ 60
③ 60 ÷1と[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]□ 60
期待する解答の具体例
① 60 ÷[MATH]\(\frac{9}{5}\)[/MATH] < 60
② 60 ÷[MATH]\(\frac{3}{7}\)[/MATH] > 60
③ 60 ÷1と[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]< 60
①、③は、わる数が1より大きいから、商はわられるより小さくなる。②は、わる数が1より小さいから、商はわられる数より大きくなる。
ワンポイント・アドバイス
埼玉県さいたま市立大砂土小学校校長・書上敦志
分数の除法について、第六学年では、除数が分数である除法の計算の意味についての理解を深め、計算の仕方を考え、それらの計算ができるようにすることが主なねらいです。
第4時では、わる数の大きさと商の大きさの関係について考えます。小数の時と同様、わる数が1より小さい時に困難を伴います。学び合いのポイントに、「これまでに似たような学習をしたことはないかな?」、と教師が問いの見本を示し、小数の学習との関連付けを図ることを取り入れたらどうでしょう。少しずつ子供たち同士で問えるようにし、主体的、対話的な学びへと高められるよう支援していきます。
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イラスト/横井智美
『小六教育技術』2018年6月号より