小2特別活動 学級活動編「1年生と遊ぼう会を開こう」指導アイデア

連載
【文部科学省視学官監修】特別活動 指導アイデア

帝京大学教育学部教授(元文部科学省視学官)

安部恭子
小2特別活動 学級活動編「1年生と遊ぼう会を開こう」指導アイデア バナー

文部科学省視学官監修による、小2特別活動の指導アイデアです。12月は、学級活動(1)「1年生と遊ぼう会を開こう」を紹介します。

本校は、全校児童数36名の小規模校です。1年生のときには、校歌を覚えるときや給食の準備・片付けなど、隣の教室の2年生から教わることが多くありました。そして、2年生に進級した今年度は、今度は自分たちがしっかり教えてあげようと、春からずっと1年生と体育の授業や給食などの時間を一緒に過ごしてきています。本実践は、1年生と一緒に遊ぶ集会を計画して、みんなで協力して実践することで、もっと仲よくなりたいという子供たちの思いから生まれました。

執筆/青森県公立小学校教諭・須藤有祐美
監修/文部科学省視学官・安部恭子
 青森県八戸市総合教育センター所長・河村雅庸

年間執筆計画

年間執筆計画はこちらをクリック

04月 クラスの合言葉をつくろう
05月 ワクワクして楽しい運動会にするための工夫を考えよう
06月 雨の日の遊びを決めよう
07月 夏祭りをしよう
09月 夏休みの思い出発表会をしよう
10月 なわとび集会を開こう
11月 なかよし学きゅうまつりをしよう
12月 1年生と遊ぼう会を開こう
01月 思い出パーティーを開こう
02月 思い出いっぱいのクラス文集を作ろう
03月 『2年生のバトン』をわたす会をしよう

本活動に入る前に道徳科の授業を行う

主題名:みんな なかよし 題材名:およげないりすさん

みんなと仲よくするためには、遊んだり困っているときに声をかけたりすることが必要だという考えが出ました。

全校児童36名と児童数が少なくても、まだ遊んだことがない人もいると振り返り、もっと仲よくなるためにどのような方法があるか考えました。また、振り返りを書く視点として、普段よく一緒に活動する1年生と仲よくすることに焦点化して振り返りました。

内容に応じて、道徳科の学習を生かすことで、子供たちが、より主体的に自分たちの生活から課題を見付け取り組むことにつながります。

道徳科の振り返りに、1年生と仲よくなるために「たくさん遊びたい」「お話ししたい」などがたくさん書かれていました。その後、学級会ポストにも「1年生と楽しく遊びたい」「集会をしてもっと仲よくなりたい」などの議題案が入っていました。議題案の中から、計画委員会で話し合って「1年生と仲よくなるための集会をしたい」という議題を選定し、学級みんなで決定しました。

事前の活動

学級会までの流れ

〈計画委員会の活動〉

・教師と一緒に活動計画をつくる。

・「議題」「提案理由」「めあて」などをお知らせし、学級会ノートに自分の意見を書いてもらう。

・出された意見を集約し、短冊に書く。

・休み時間を使って、教師と一緒に学級会の流れやセリフを確認したり、板書計画を考えたりして、話合いの見通しをもつ。

本時のねらい

1年生と今よりもっと仲よくなれるような遊ぼう会のやり方について話し合って決めることができる。

本時の活動

学級活動(1)議題「1年生と遊ぼう会を開こう」

〈提案理由〉
私たち2年生は、1年生のお世話をしながら仲よく過ごしてきました。これからも、もっと1年生と仲よくなりたいと思います。そこで、1年生を招待して、1年生がうれしい気持ちになる遊ぼう会を開くことで、今よりも仲よくなれて、1年生も2年生もうれしい気持ちになって学校が楽しくなると思って提案しました。

〈決まっていること〉
・12月〇日(〇)3時間目に行う
・やることは2つ
・ホールで行う

〈めあて〉
・1年生が楽しむことのできる遊びと工夫を考えよう

話し合うこと①「何をするか」

「1年生と遊ぼうの会」で何をするか。子供たちから出た意見を短冊に書いて黒板に貼る。

【出し合う】
今回は出された意見を短冊に書き、事前に学級会コーナーに掲示しました。朝の時間に出し合う活動を行い、遊びの内容ややり方などを共通理解しておき、本時では「比べ合う」から話合いを進められるようにしました。

朝の会や帰りの会などの時間に、事前に出された意見を確認し、ルールや内容が分からないことについて事前に質問したりすることで、共通理解を図るようにしました。そのことで、「比べ合う」段階に時間をかけることができ、話合いが深まることにもつながります。

【くらべ合う】

私は、1・2年生の学校の楽しい思い出をかるたにする「1・2年かるた」がいいと思います。1年生はかるたが好きで休み時間遊んでいるし、みんなのことをもっと知ることができて、楽しめるからです。

私も「1・2年かるた」に賛成です。1年生に2年生のことを知ってもらいたいし、2年生も1年生のことを知りたいので、1・2年生についてのかるたを作って一緒に遊べば、もっと仲よくなれると思います。

ぼくは、「フルーツバスケット」がいいと思います。どうしてかというと、1年生にも分かりやすくて、みんなで楽しむことができるからです。

ぼくは、「インタビュー」がいいと思います。1年生が2年生の大好きなことを知れるからです。

2年生の話合いでは、理由をしっかり付けて意見を言うことが大切です。また、反対意見を出すときには、どうしたらよいかの改善策を付け足して発表することも併せて子供たちに伝えています。そうすることで、よりよい合意形成につながっていきます。

【まとめる(決める)】

[司会]そろそろ、話合いをまとめます。1つ目は、「1・2年かるた」がいいと思っている人が多いので、決定にしていいですか?

はい、いいです。

あと、1つは、「フルーツバスケット」と「インタビュー」の2つから決めたいと思います。どうしたらいいと思いますか?

ぼくは、「フルーツバスケット」と「インタビュー」を合体したらいいと思います。わけは、「フルーツバスケット」でオニになった人に、インタビューしたらいいと思うからです。

私は、フルーツバスケットをしながらインタビューするのでは、あまりインタビューできないと思います。だから、フルーツバスケットじゃなくて、「何でもバスケット」にするのはどうですか。

ぼくは、「何でもバスケット」もいいと思うけれど、〇〇くんが言っていたように「フルーツバスケット」と「インタビュー」を合体して「フルーツバスケットインタビュー」にしたらどうですか。フルーツバスケットの真ん中に立っている人がだれか1人に「好きなものは何?」とインタビューして、好きなものが同じ人が立って移動すると、もっとみんな仲よくなれると思います

合意形成の仕方の例を「学級会忍法」と題して、学級会コーナーに掲示。

合意形成して決めることに慣れてきたら、これまでの合意形成の仕方を想起してまとめる意見や決める意見が言えるようにするために、合意形成の仕方の例を「学級会忍法」と題して、学級会コーナーに掲示しています。合意形成の術を使うことが目的にならないように留意しながら、どの術を使ったらよりよく合意形成できるかなど、子供たちが経験を生かして話し合うことができるようにしています。

教師は、必要に応じて、「ここについてはどうなのかな」「反対意見があるけれど、解決できる意見は何かあるかな」「Aさんの考えもBさんの考えも生かす方法はないかな」など、考えを広げたり深めたりできるような助言を行い、子供たちの思考を広げ、よりよい合意形成につながるようにしています。

短冊の板書

賛成意見のない意見や少ない意見を取り下げるときは、勝手に取り下げるのではなく、意見を出してくれた人に「下げてもいいですか?」と聞くようにしています。また、意見を出すことへ抵抗感をもったり、自己肯定感を下げたりしないよう、子供たちの意見を取り下げるときは、黒板から短冊を取ってしまうのではなく、下に下げるようにします。

話し合うこと②「仲よくなるための工夫」

もっと仲よくなるための工夫について話し合いました。「1・2年かるた」は、読み札を作るときは、1年生の子供たち一人一人のよさや、1・2年合同の思い出の内容になるように、さらに、絵札は、1年生がひらがなを覚えたばかりということを考え絵は描かず、ひらがな1文字を大きく書くことになりました。

また、集会を盛り上げるために「クラッカーを作りたい」と意見を出した子がいました。自分たちで作れるかを話し合い、紙コップで作ることになりました。

そのほかにも、「1年生と遊ぼう会」の招待状やプログラムも作ったほうがいいという意見も出されました。招待状にメッセージを書いたら1年生が喜ぶし、もっと仲よくなれるという賛成意見が出されて、作ることになりました。また、プログラムについては、毎月のお誕生会でのプログラム作りの経験が生きた話合いになりました。

話し合うこと③「必要な係を決めよう」

これまでの集会活動の経験を生かして、「しかい」「はじめのことば」「おわりのことば」など、主な係を短冊で作成しておき、そのほかに必要な係があるか、話し合って決めました。

必要な係はこれでいいですか?

はい。

それでは係が決まったので、次に、やりたい係のところに1号車から順にネームプレートを貼ってください。

(順番にネームプレートを貼る)

プログラムを書く人の人数がとても多くて、かざり係が2人しかいません。かざり係にうつってくれる人はいますか。

役割を分担するときは、子供たちのネームプレートを活用しています。まず、自分がやりたい係にネームプレートを貼り、人数に偏りがあるときには「プログラム係が2人しかいないけれど、2人で大丈夫かな」などと、問題点を明確にして担任や司会が声をかけて、譲り合えるようにしています。

担当を決めた後は、決まったことをノート記録の子供が発表をし、教師の終末の話を行います。

友達の意見をよく聞いて、意見を合体したり、解決策を考えたりすることができましたね。
集会の準備が大変なときは、担当の係の人だけでなく、みんなで協力して準備しましょう。
司会グループのみなさん、休み時間の準備や今日の学級会を一生懸命がんばってくれてありがとうございます。1年生も2年生も楽しめるような集会にしましょう。

終末の教師の助言では、友達の意見をよく聞いたり、理由を付けて意見を発表したりできたことなど、前回の学級会と比べてよかったことや、よりよく合意形成ができたことを認めます。また、休み時間の準備や練習など、子供たちが気付かない司会グループの頑張りを称賛します。さらに、これからの実践の意欲を高める声かけをします。

◆板書例

「1年生と遊ぼう会を開こう」板書例

事後の活動

係ごとに協力して準備を進めていきます。係の子供たちばかりに任せすぎるのではなく、帰りの会などで進捗状況を確認するようにし、学級全員で協力して進めていくよう助言しました。

準備が進まなかったり、困ったりしたときに、子供たちは「カードを切るの手伝ってくれる?」「〇〇さん、招待状一緒に作ってくれる?」などと自分から声をかけて、取り組んでいました。協力して準備する過程を経る中で、よりいっそう仲間意識が高まりました。

招待状
1年生への招待状
プログラム
1年生となかよくなろう集会のプログラム
1・2年生かるた
1・2年かるた

「フルーツバスケットインタビュー」では、マイクを手作りしたり、「1・2年かるた」では、絵札と読み札のカードを切るところから始めたりと、楽しく遊べるための工夫がたくさんありました。クラッカー作りでは、作り方の本を見ながら、小さく切った紙がひらひらと散るためには、どのようにしたらよいか考えながら、試行錯誤しながら作っていました。

集会の様子

「1・2年生かるた」で遊ぶ1年生と2年生。
「1・2年かるた」で遊ぶ1年生と2年生。

当日、緊張しながらも張り切って司会進行をしたり、ゲームを説明したりしていた子供たち。司会進行やプログラム作成、飾りつけ、ルール説明などは1年生からの経験がありスムーズに進みました。

招待した1年生はもちろん、今回の集会を計画した2年生の子供たち自身も、どのゲームでもみんな笑顔で楽しんでいました。そして、集会の目的である1年生と2年生の仲がいっそう深まった時間となりました。最後には1年生からの感想発表を聞き、集会が大成功したことにとてもうれしそうな笑顔の2年生。

1年生がホールから教室に帰っていくと、「やったー」「楽しかったな」「準備をがんばってよかった」と喜びの声がたくさんあがりました。準備に苦戦し、たくさん助けてもらったグループもありましたが、1年生も喜んでくれ、自分たちも楽しむことができ、学級のみんなももっと仲よくなれて大成功でした。

今回の実践では、「1年生も2年生も楽しめるようにするためには」という思いを子供たちと確認しながら、話合いや準備を進めることができました。そして、子供たちが「やりたい」と思って提案したことが、学級全員の協力で実現することができ、大成功した喜びを味わうことができました。

この経験を、自分たちの話合いで楽しい学級づくりをしていくことや、「また『みんなで』~したい」という気持ちがあふれる学級生活につなげていきたいと思っています。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
【文部科学省視学官監修】特別活動 指導アイデア

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました