小2国語「主語と述語に気をつけよう」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「主語と述語に気をつけよう」です。この単元の学習活動は、「主語と述語の役割を知り、主語と述語を見付け、文を書く」ことです。そのため、主語と述語が文章の中のどれに当たるのかをよく理解することが大切です。その手がかりになる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教諭・松下祐子

 
教材名 「主語と述語に気をつけよう」(光村図書出版)

単元の計画(全2時間)

1 主語と述語の役割を知り、主語・述語に当たる言葉を見付ける。
2 主語・述語の関係に気を付けて文を書き、学習を振り返る。

板書の基本

〇教材は、学習指導要領の「知識及び技能」の「文や文章」の学習内容である「文の中における主語と述語の関係に気付くこと」です。教科書では、「だれが(は)」「何が(は)」に当たる言葉を主語、「どうする」「どんなだ」「なんだ」に当たる言葉を述語と記述しています。教科書を正しく理解することを目的に、板書を考えました。

〇学習内容の習得を目的とする指導には3通りあります。

1つ目は、音読をして、大体の内容を理解させ、教師が分かりやすく解説する方法です。これは効率的で、どの子にも同じ内容を伝えることができます。しかし、理解が速い子とそうでない子の力の差が出てきます。

2つ目は、板書を活用し、学習内容を正しく理解し、習得を目指す方法です。「主語・述語」は、国語科の学習の基礎となる内容です。板書をノートに写すという学習活動を通して、理解を深める方法です。板書の正しさと丁寧さが求められます。

3つ目は、教科書の大体の内容を理解し、自分たちで文を見付けたり書いたりして、「主語・述語」を見付けたり考えたりする方法です。言葉に親しむ上で効果があります。指導の時間数だけ習得量が加速します。 

本板書では、2つ目の板書とノートの活用の方法を考えています。

板書のコツ(1/2時間目前半)

小2国語「主語と述語に気をつけよう」京女式板書の技術  板書
1/2時間目前半の板書

板書のコツ①

主語・述語の言葉と漢字に慣れることを目的に、最初は日付と「主語と述語に気をつけよう」と板書しました。その後、板書の「主語」「述語」の漢字を指で書き、正しく書くことの練習をした後、ノートに「主語と述語に気をつけよう」の文を書き写させました。

さらに、教科書を音読して、主語・述語を正しく読む練習をしました。それから「めあて 主語と述語に当たることばを見つけよう。」と板書し、それをノートに書き写すという学習活動をさせました。

板書のコツ②

教科書の通り、次のように板書しました。

・かえるくんが いう。
・お手紙が 来る
・がまくんは かなしそうだ。
・これは お手紙だ。
 

(教科書の文)

主語には赤チョークで線を引き、述語には黄色のチョークで波線を引きました。ノートには板書と同じように1行あけて書かせました。赤色と青色のカードは、主語・述語を見分けるために活用しました。 

子供の学習活動では、「かえるくん」というのは「だれ」ということで、「かえるくんが」というのは「だれが」のことであることを分かりやすく説明しました。続いて、「いう」が「どうする」という述語であることを説明しました。「お手紙が来る。」から「これはお手紙だ。」までを同じように説明して、理解の様子を確認しながら板書をしました。

板書のコツ(1/2時間目中盤)

1/2時間目中盤の板書

板書のコツ①

教科書の文を板書しました。

文の中で、「だれが(は)」「何が(は)」に当たることばを主語、「どうする」「どんなだ」「なんだ」に当たることばを述語といいます。
 

(教科書の文)

その後、この文の音読を繰り返し行いました。「何が」「どうする」を学習した後なので、板書の理解はなめらかに進みました。

板書のコツ② 

「もんだい」と板書し、教科書の文章①~⑥をノートに書き写させました。自分の力で教科書を読むこと、書き写すことを大事にしたいと考えたからです。黒板の右側の学習で行った「書き写す」という経験を生かしました。子供が自分のノートに間違いがないかどうかを確認することを踏まえて、子供が書き写しをした後に板書しました。

板書のコツ(1/2時間目後半)

1/2時間目後半の板書

板書のコツ①

問題の①~⑥の主語・述語を自分で考えるように指示しました。

「①兄が 里いもを 食べる。」では、「里いもを 食べる」を述語にする子と、「分からない」という子が出てきました。最初の学習には、目的語がなかったからです。そこで、「兄が」(主語)と「食べる」(述語)が正しいことを説明しました。

板書のコツ②

問題②では「空が」(主語)、「明るい」(述語)がどの子からも出てきました。問題③では「海の」を主語と考えている子がいました。「生きものだ」が「なんだ」であることを確認しました。問題④では、「何が」である「子どもが」が主語であることは理解できていても、はじめに「小さな」と書いてあることで迷う子もいました。 

このように、①~⑥の問題で主語と述語を正しく理解することを目的にして、板書をまとめました。

 

構成/浅原孝子

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