小5国語「新聞記事を読み比べよう」板書の技術
今回の教材は、「新聞記事を読み比べよう」です。本単元では、「2つの新聞記事を比べて、工夫点や伝えたいことを考える」ことを目標としています。そのため、2つの記事の対比ができるような板書の工夫を紹介します。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
教材名 「新聞記事を読み比べよう」(東京書籍)
目次
単元の計画(全5時間)
1 新聞記事を読み、書き手はどのような考えで記事を構成したのかを考え、学習の見通しをもつ。
2 新聞記事の工夫を見付けよう。
3 新聞記事の特徴について考えよう。
4 2つの新聞記事を読み比べよう。
5 単元を振り返りながら、他の新聞記事についても読み比べてまとめる。
板書の基本
2年生では「サツマイモのそだて方」、3年生では「ほけんだより」、4年生では「広告」、5年生では「新聞記事」、そして6年生では「インターネットの投稿」を取り上げて、2つのよく似た文章を読み比べて学習する単元があります。
子供たちは日常的に、新聞やインターネット記事に触れることが多くありますが、書かれていることだけが事実と捉えてしまうことも多くあります。そこで同じ内容であっても、書き手によっていろいろな書き方があることに気付くことができるようになることが大切だと考えて、今回は「書き手の意図を考えよう」を付けたい力として設定しました。
単元計画としては、新聞記事の構成を理解するために読む活動と、それを生かして見出しを考えて書く活動で計画しています。A社とB社の新聞記事を対比して読むことで、記事が伝えたいことや写真の選び方を考えることができます。
そこで、2社による新聞記事の「見出し」「記事・リードと本文」の共通点や相違点を整理しながら要旨が把握できるように板書で示します。また、板書には、2つの新聞記事を模造紙で貼り、子供が視覚的に把握しやすいようにします。
模造紙などの貼り物を利用することで生まれる利点
①何度も使える
国語などの挿絵、写真、図表、地図など教科書に載っているものを拡大コピーして使います。
貼ったり、はがしたりして何度も使うことができます。板書をまとめたものを、模造紙などに書いておけばいつでも何度でも使うことができます。手書きの板書とは違った変化が生まれますので、子供にとってもよい刺激となります。
②どこにでも動かせる
板書では書きにくい上のほうにも表示することができます。貼る位置を移動するだけで子供には刺激になります。子供たちに動かしてもらいながら発言してもらうことなどもできます。こういう動く貼り物を教室に貼っておけば、休み時間などに子供たちは遊びながら学ぶこともできます。
板書のコツ(1/5時間目)
板書のコツ①
この単元で付けたい力は「書き手の意図を考えよう」です。
「新聞記事を読み比べよう」という題名を書いたところで、子供たちに気が付いたことを聞いていきます。
新聞という言葉から出た意見は、水色で板書しました。
・新しい情報
・ニュース
・紙
など、知っていることだけでなく、そこからつなげて出た言葉を板書していくことで、子供たちが自分の意見をどんどん言いやすいように工夫しています。
また、「比べよう」ということは、今回の単元において大事にするべきポイントです。そこでピンク色で強調して板書することで、「読もう」ではなく、今回は「読み比べる」ことを大事にするということを子供たちが気付けるようにしました。
題名から気が付いたことを聞く活動は、単元において大事だと考えています。「日記と記事の『記』が同じだから、記す、できごとを記すのだと思います」という意見を伝えてくれた子供がいました。題名という短い言葉に限定されているからこそ出てきた意見です。板書によって、言葉から子供たちが考えをふくらませていくことも大事にしています。
板書のコツ②
題名読みが終わった後は、めあてである「新聞記事の構成と写真の役割について考えよう。」と板書します。「構成とは?」と子供たちが考えるなかで、今まで学習してきた「説明文」と比較しながら読み進めていたので、板書で残しました。そして、「見出し、リード、本文、写真・キャプション」という言葉を板書しながら、それぞれの新聞記事の内容を比較しながら言葉の意味を理解できるようにしていきます。
今回は「見出し」に注目していきました。見出しは、一番伝えたいことを、短くまとめて書いてあること、そして読者の「心に響く」ことが大事なのでは、という意見が出てきたので板書しました。この活動を通して、今後子供たち自身で「見出し」を考えられるようになっていきます。
板書のコツ(4/5時間目)
板書のコツ①
めあては、「二つの記事を読み比べよう。」です。
2つの新聞記事を読み比べることで、書き手の取り上げる事例と意見の関係によって構成が変わることに気が付けるようにします。
写真を比べて、本文を比べて「同じ所」「違うところ」に注目できるように、模造紙を分けて貼り出すようにしました。
構成/浅原孝子