小6 国語科「話し言葉と書き言葉」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「話し言葉と書き言葉」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/福岡教育大学附属福岡小学校・大村拓也
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、話し言葉と書き言葉の違いに気付き、それぞれの特色や役割を捉えることを目指します。特に、話や文章の中で使い分けることができるようにすることが大切です。
そのために、話し言葉を書き言葉に置き換えるといった具体的な場面を通して、正しさや適切さを判断していくようにします。話し言葉と書き言葉には以下のような特徴があると考えます。
● 話し言葉と書き言葉の特徴
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本実践では、話し言葉と書き言葉の違いに気付くことを目指します。
そのために、話し言葉を書き言葉に書き換える活動を設定します。この活動を通して、話し言葉の特徴と書き言葉の特徴を捉えたり、これから自分がどのように話し言葉と書き言葉を使い分けていきたいかについて考えたりする学習を目指します。
この他にも、書くことの学習の単元と関連付けるとよいでしょう。
例えば、書く材料を収集するためのインタビュー取材の場面で、インタビューで聞き取った情報(話し言葉)を、文章を書くためのメモ(書き言葉)に書き換える活動を位置付けるようなプランも考えられます。
日常何気なく使い分けている話し言葉や書き言葉の特徴を改めて問い直すような学習にしていきましょう。
以下に本学習で発揮した知識及び技能を生かすことのできる状況の事例を示します。
○ 話し言葉を書き言葉にする状況例
・インタビューで取材をしたことをメモに取ること
・インタビューで取材したことをもとに自分の考えとして文章にまとめること
・学級や委員会などにおける話合いをもとに、議事録を作成すること
○ 話し言葉をそのまま書き言葉にする状況例
・仲のよい友達への手紙やメールを送ること
○ 書き言葉を話し言葉にする状況例
・原稿にまとめたものを事前に友達に話して伝えること
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 話し言葉と向き合う、書き言葉と向き合う
主体的な学びとは、子供たちが粘り強く学ぶ姿や自分で自分の学びを計画していく姿のことです。
そのためには、「言葉に関する課題への気付き」を促すことが大切です。
本学習では、話し言葉を音声入力によって文字化(詳しくは後述)したり、話し言葉と書き言葉を比べたりといった活動を仕組みます。
そうすることで子供たちは、「この場面では、話し言葉のままだとおかしい感じがするな」といった違和感を覚えたり、「話し言葉と書き言葉にはどんな違いがあるのかな」といった問いを見いだしたりすると想定します。
このように、普段無意識に使っている話し言葉や書き言葉を意識化することで、話し言葉と書き言葉を正しく使い分けようと何度も自分の文章を練り直したり、話し言葉をそのまま使うのはどんなときだろうかと興味を抱いたりする姿が見られると考えます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)音声入力機能を活用し、話し言葉を文字化(可視化)する
端末の機能の中に「音声入力機能」があります。これは、音声情報を文字に変換する機能です。本学習では、話し言葉と書き言葉のちがいを捉えるために使用します。
教科書には、インタビューを受けるシェフの話し言葉が吹き出しの形で掲載されていますので、教師が範読をして音声入力で文字化する様子をまずは学級全体で体験してみるとよいでしょう。
すると、書き言葉で記されたメモと比較することができます。話し言葉は消えてしまう特徴があるからこそ、音声入力機能で文字化することで、何度も読み返して特徴を考えることができます。
実際に、文章を書くための取材などにおいてインタビューをする際、端末の音声入力機能を生かして、話し言葉をそのまま記録した上で、文章を書くためのメモに書き換えていくというような使い方もあるかと思います。
また、話すことの学習であれば、スピーチをしたときに音声入力機能を活用し、自分の話し言葉の表現を振り返るといった自己評価の材料にも使うことができるでしょう。
6. 単元の展開(1時間扱い)
単元名: 話し言葉と書き言葉を使い分けよう
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美