小6 国語科「漢字の広場①」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「漢字の広場①」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院准教授・茅野政徳
執筆/神奈川県川崎市立はるひ野小学校・田中真琴
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、5学年で学習した漢字を中心に、これまでに学習した漢字を文や文章で用いる技能を身に付けます。
オリジナルの新聞記事を書く過程で漢字を用いる活動を行うことで、国語だけでなく、他の教科・領域、日常生活でも積極的に漢字を使って表そうとする態度が育まれることを期待しています。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
「漢字の広場」の学習は①から⑥まで設定されており、5年生で学習する漢字が網羅されています。
学習指導要領では、当該学年の前の学年までに配当されている漢字については、読めるだけでなく書けるようになることも目標としています。
つまり、各学年の教科書に準備されているこの「漢字の広場」を意識的に行うことが、目標達成には必要です。新出漢字の指導や習熟に時間を費やしてしまい、その学年以前の漢字についてはなおざりになってしまっている現状があるのではないでしょうか。
「漢字の広場」は、毎回様々なテーマで挿絵とともに漢字が載せられ、活動の提案がなされています。ぜひ、楽しい創作活動を行いながら、漢字の習熟を図るとともに、文や文章の中で使っていこうとする態度を育みましょう。
「漢字の広場」では、多くの漢字が熟語で提示されています。日常生活を想起すると、例えばニュースや天気予報では熟語が大変多く用いられています。
漢語は、5年生で学習した「漢語・和語・外来語」のように、少し改まった印象を与えます。
また、正しい熟語を選ぶことで、伝えたい内容を、より的確に短い言葉で伝えることが可能になることも多いです。
高学年ともなれば、文や文章の中で進んで熟語を使用していけるようにしたいところです。
新聞記事には見出しが欠かせません。端的にわかりやすい見出しにしようとすれば、おのずと熟語を用いるようになると思われます。わかりやすく伝えるために、見出しの表現を工夫している児童を見つけ、全体で共有していきたいですね。
新聞記事や見出しを意識しながら書くことで、話すときに使用する語句と、書くときに使用する語句を意図的に変えていこうとする態度を育むことにも結び付くでしょう。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 創造的な活動
「漢字の広場①」では、ある町での人々の様子が挿絵となっています。
今回は、その挿絵を生かして、その日の出来事を新聞記事にする活動を設定しました。
一文で終わってしまっては、出来事を詳しく表現することができません。必然的に複数の文でまとまりのある文章を書くことになります。
その際、ページ内に示されている漢字だけではなく、これまで学習した漢字を用いるはずです。
「新聞記事を書く」となれば、熟語を意識的に使おうとしたり、正しい意味の言葉を用いようと辞書を引いたりする児童もいるでしょう。そのような姿は大いに称賛したいところです。
書くことに苦手意識をもっている児童には、挿絵が書き始める手助けとなるでしょう。多くの人物に注目するように声をかけ、場面の様子を詳しく文章にしていけるように支援しましょう。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)共有のツールとして
町の出来事のどこに注目するのか、どれを大きな記事にするか。
一人一人の着目点が異なり、個性が発揮されそうです。出来上がりを共有するのも楽しみになるでしょう。新聞記事ですので、教室に掲示したり、印刷して配付したりすることも可能です。
端末を活用すれば、即座に共有することもできます。出来上がった新聞を写真に撮りクラスのフォルダで共有する、スライドや文書作成ソフトなどにまとめる…など、クラスの実態や端末の機能に合わせて行うようにします。
友達の記事を読み、「こんな表現もあるんだ」「同じ漢字でも使い方が違うな」「〇〇さんの文章は、熟語が多くて本当の新聞記事みたいだ」など、文や文章から受ける印象を共有することで、単なる漢字の学習に留まらない学びが広がっていくでしょう。
6. 単元の展開(1時間扱い)
単元名: 漢字の広場① 5年生で習った漢字
【主な学習活動】
(1時)
① 示されている語句と挿絵を手がかりに、町で起こった出来事を新聞記事にまとめる。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美