小3 国語科「漢字の広場③」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「漢字の広場③」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校副校長・西村太吾
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
この単元では、第2学年で学習した漢字を文や文章の中で使えるようにすることを目指します。
そのためには、自分なりに工夫した文脈の中で実際に使ってみることが大切です。楽しい絵から場面を想像し、第2学年で学習した漢字を用いてその様子を表現していきます。そうすることで、正しく漢字を使うことと併せて語彙を広げたり、文法を確認したりすることも期待できます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
この単元では、第2学年で学習した漢字を用いて日記や予定のような文を書くという言語活動を設定します。導入では、まず教師が教科書p64の挿絵を参考にして第2学年で学習した漢字を用いて短い文を作成します。
1時間目は、教師の示した例を見ながら、「いつ」「どこで」「だれが」「何をした」を並べると文ができることを確かめていきます。文の作り方が分かったら、児童一人一人が教科書p64の挿絵と漢字を参考にして想像し、文を書いていきます。
2時間目は、自分ではない家の人の予定として想像し、文を作っていきます。
各時間とも、一人一人が書けたところで、グループや学級全体で交流する活動を行います。
交流することで、「自分と同じような文を書いた子がたくさんいるぞ」と思いながら自信をもったり、「なるほど、そういう文もいいなあ」と思いながら自分の考えを広げたりすることができるようにしていきます。
教科書p64の挿絵を参考にしながら想像し、楽しんで第2学年で学習した漢字を使うことができるようにしていきます。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 日常生活を想起し、漢字を用いて表現する
教科書p64の挿絵には、児童にとって思い浮かべやすい身近なものが描かれています。これを用いて、日常生活を想起して、文を考えていきます。
身近な出来事を思い浮かべ、楽しく文を作ることに取り組む際に、第2学年で学習した漢字を用いることを条件として示すことで、楽しみながら漢字を身に付けていくことができます。
また、作った文を友達と交流し、友達が思い浮かべた様子を共有することにより、児童の想像が広がり、漢字の使い方に気を付けながら新たな文を作ろうとする意欲につながっていきます。
〈対話的な学び〉 お互いの文を交流して楽しむ
本単元では、1時間目に挿絵を見て想像して文を作り、2時間目には家の人の今週の予定を想像して文を作ります。
児童が作った文をグループや学級全体で交流し、それぞれの児童が思い浮かべた出来事や家の人の今週の予定の共通点や相違点、用いた漢字などの視点から文を読み合って楽しみます。
学級全体で交流する際には、「みんなに紹介したい友達の出来事(文)はどれかな?」「正しく漢字を使えている文はどれかな?」などと投げかけ、児童の交流への意欲を高めていきます。
作った文を用いて交流を楽しむことで、児童の意欲を高めていきますが、活動の楽しさの中で、これまでに学習した漢字を適切に使って文を作ることを意識し、これまでに学習した漢字を適切に使って文を書くという単元のねらいに迫ることができるようにしていきます。
このとき、児童の意識が漢字を正しく書くことだけに偏ったり、やみくもに漢字を用いることを意識したりすることのないように、生活の中の出来事や今週の予定としての出来事を楽しく思い浮かべることができるようにしていきます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)提示の工夫
本単元では、教師が文を作る際に例示をします。児童が文を作る際のイメージをもちやすくするために、1人1台端末のGoogle スライドやMicrosoft PowerPoint等のプレゼンテーションアプリケーションを用いて、導入時に挿絵や第2学年で学習した漢字を提示します。
また、提示した画面と同じ画像を児童一人一人の端末に転送します。一人一人が複数の挿絵や漢字を見比べたり選んだりできるようにして、児童の活動を支援します。
(2)画像を活用してデジタル絵日記風にする
児童が考えた文はノートに書くようにします。書いた文は児童が、自分の1人1台端末のカメラを使って撮影し、参考とした挿絵のそばに貼り付けます。こうすることにより「デジタル絵日記風の文」ができます。この「デジタル絵日記風の文」を生かして交流することで、交流がより楽しくなります。
6. 単元の展開(2時間扱い)
単元名: 漢字の広場③
【主な学習活動】
・第一次(1時)
絵を見て書こう
○ 教師の例示を見ながら、挿絵と前年学習漢字を用いて文を書くことを確認する。
○ 複数の挿絵や漢字を見ながら、自分が選んだ挿絵の場面を想像して文を書いてみる。
○ 書いた文を1人1台端末に取り込み「デジタル絵日記風の文」にする。
○ お互いの作品を交流する。
○ 学習の振り返りをする。
・第二次(2時)
「家の人の今週の予定」を書こう
○ 前時の学習を思い出す。
○ 本時では「家の人の今週の予定」を書くということを確認する。
○ 複数の挿絵や漢字を見ながら、自分が選んだ挿絵の場面を想像して「家の人の今週の予定」を書いてみる。
○ 書いた「家の人の今週の予定」を1人1台端末に取り込み、デジタル予定表にする。
○ お互いの作品を交流する。
○ 学習の振り返りをする。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美