小6 国語科「人を引きつける表現」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「人を引きつける表現」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/長野県駒ケ根市立中沢小学校・原 猛
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、比喩や倒置、反復などの表現方法や、言葉の選び方などによって豊かで魅力的な表現ができることを理解できるようにします。
また、これまでの学習を総合的にいかして効果的な表現方法を考えたり、これからの言語活動にいかしたりする力を育てます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
「言葉について考えよう」は、言葉の働きに気付くとともに、分かりやすく伝える方法を言葉の側面から考え活用する場として各学年に設けられており、高学年では、相手や目的を意識して伝えたいことを効果的に伝える表現について取り上げられています。
学習指導要領解説では、効果的に伝える表現の工夫として、比喩や反復、倒置等を挙げ、「第5学年及び第6学年においては、これまでに触れてきたこうした表現の工夫への気付きをまとめて整理することが求められる」と示されています。
そこで、表現の工夫への気付きを整理する活動として、教科書にある教材文から、自分が心引かれる表現を探し、その工夫や効果を文に書いて伝え合う活動を設けました。
日記や作文等の日頃書く文章の中で、表現方法を意識して書くということは、意外と少ないかもしれません。教科書には様々な工夫された表現があります。それらを改めて読み、工夫や効果を整理し、さらに言語化することで、効果的に伝える表現方法についての理解を深めることが期待できます。
さらに発展として、身の回りにある広告やパンフレット、CM等から心が引かれる表現を探し、紹介し合う活動も設けました。工夫された表現を身の回りから探すことで、その効果を実感し、自らの言語活動の中でいかそうとする態度を育てます。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉身の回りの広告やパンフレット、CM等から心が引かれる表現を探す
主体的な学びを生み出すために、身の回りの広告やパンフレット、CM等から、心が引かれる表現を探す活動を取り入れます。
身近なところに、キャッチコピー等の工夫された表現があふれていることを知ったり、実生活の実感と結び付けて学んだりすることで、言葉への興味を深め、表現者の意図を詳しく捉えようとしたり、よりよい言語表現をしたりしようとする意識を高めることが期待できます。
〈対話的な学び〉 自分が探した心が引かれる表現の工夫や、その効果を伝え合う
対話的な学びの場面として、教科書から心が引かれる表現を探し、その工夫や効果、そこから自分が感じたこと等を文に書いて伝え合う活動を取り入れます。
複数人で共有することで、様々な表現の工夫に触れることができるとともに、友達の着眼点との共通点・相違点から、表現方法の多様で豊かな効果に気づくことが期待できます。
〈深い学び〉表現の工夫を分類・整理し、その効果を考える
深い学びを生み出すために、心が引かれる表現の工夫やその効果を分類・整理する活動を行います。「比喩」「倒置」「反復」「オノマトペ」等に分類したり、それらの工夫を使っていない表現と比較したりすることで、表現の効果をより具体的に捉えることができ、表現方法の効果や、表現者の意図について深く理解することにつながると考えます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)教科書から探した心が引かれる表現の工夫やその効果を共有する
教科書から探した心が引かれる表現を共有する際に、ワークシートを撮影して端末上で見られるようにしたり、予めワークシートを端末で作成しておいたりすると、複数人で共有するのに便利です。
発表する児童のワークシートをグループの児童も編集できるように設定すれば、感想を直接書き込むこともできます。
(2)身の回りの広告やCM等から探した心が引かれる表現を探して撮影する
身の回りにある広告やパンフレット、CM等から心が引かれる表現を探して撮影し、紹介し合います。端末を用いることで動画も撮影できますし、ワープロソフト等を用いれば、撮影したものを貼り付けて、表現の工夫やその効果を紹介する文章を作成することもできます。
紹介する際にはモニターに映し出すことで、全体での共有も容易です。
6. 単元の展開(3時間扱い)
単元名:「心が引かれる表現」を探して紹介しよう
【主な学習活動】
・第一次(1時、2時)
① 教材文から、「心が引かれる表現」がどのように使われているかを読み取る。
② 教科書の教材文から心が引かれる表現を探し、その工夫と効果を文に書いて伝え合う。〈 端末活用(1)〉
・第二次(3時)
③ 身の回りの広告やパンフレット、CM等から探した心が引かれる表現を紹介し合う。〈 端末活用(2)〉
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美