「グループ・ダイナミクス」とは?【知っておきたい教育用語】

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集団における人間の思考や態度、行動が相互に影響を与えるという理論、グループ・ダイナミクス。なぜ今注目を集めているのか、その特徴や背景を含めて考えていきましょう。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

「グループ・ダイナミクス」とは

ドイツの心理学者クルト・レヴィン(1890年-1947年)により提唱された集団力学に関する理論です。個人の考えや行動は集団から影響を受け、また集団は個人の思考や行動から影響を受けます。そのような集団と個人の相互関係をレヴィンやその後の研究者が理論化したものです。

グループ・ダイナミクスは個人や集団の能力を向上させるためにビジネス(企業等)や教育(学校等)、スポーツ(チーム等)など様々な場面で活用、応用されています。

グループ・ダイナミクスの考え方

国や社会、学校、会社、家庭に所属する個人の思考や行動様式は、所属する集団の影響を受けています。それは自覚できるときもありますが、無意識のうちに影響を受けているということも少なくありません。同時に、個人の考えが所属する集団に影響を与えます。集団に生まれた思考は個人が作り出した思考の集積であり、その集団の力によって個人が動かされるということができるでしょう。

結束の強い集団(組織)では、その集団独自の特徴的な考えや行動様式が生まれることになります。強力な集団の特徴として成員が自由に相互作用していること、互いに依存していること、必要な社会的な勢力をもつこと、などをあげることができます。

グループ・ダイナミクスの効用

特定の目的をもった集団が所属する個人一人一人のモチベーションを高めたり、集団としての目標を達成したりするためにグループ・ダイナミクスを活用することができます。グループ・ダイナミクスがよい方向に構築されると集団への所属意識や仲間意識が高まり、集団の結束力や団結力、連帯感が強くなります。その結果、個人としての成長や集団としてのパフォーマンスが向上することになります。

個々のメンバーが共通の目標を目指し、努力・行動するようになり、ラグビーなどでいわれる「one for all, all for one」(1人はみんなのために、みんなは1人のために)という関係性が生まれるのです。また、多様な意見や考えが集団のなかに取り込まれることによって、新しい発想が生み出されることがあります。

一方で強い同調圧力が極端な方向に向かったり、誤った方向に向かうと不合理な意志決定や行動に移されたりする危険性もあります。また、集団での意志決定に委ねることで、一人一人の責任や自覚が希薄になる可能性もあります。

教育現場へのグループ・ダイナミクスの活用

アクティブ・ラーニングではグループ学習やプロジェクト型の学習が代表的な形態として用いられます。グループ学習では一時的な集団としてグループが編成されるケースが多いものと考えられますが、一定の条件に配慮することでグループ・ダイナミクスが生まれます。それによってコミュニケーションが活発化し、学習者の気づきや意欲、学習効果が高まるようになるのです。

また、結論を求めないような話し合いにおいてもグループ・ダイナミクスが生まれることがあります。参加者が自由でオープンな雰囲気のなかで話し合うことで想像できなかったような知識や洞察が見られることがあります。プロジェクト型の学習ではプロジェクトの完遂や成果を生むために、グループ・ダイナミクスの構築は不可欠でしょう。

例えばグループ学習では以下に配慮することでグループ・ダイナミクスが生まれる可能性が高まります。

①はじめる前の指示
時間やルール、テーマ(課題)などを明確かつ端的に示す。
②グループの大きさ
4〜6名のメンバー構成とする。
③テーマへの配慮
意欲をもつことができ、生徒にとって取り組みやすいテーマ(課題)を設定できるよう配慮する。
④役割分担
フリーライダーをつくらないようにする。係(記録係や進行係など)をつくったり、全員発言をルールに加えたりなどの工夫を行う。
⑤互恵的な協力関係
聴くことが話すことと同様に大切なこと、皆で協力し合うこと、平等に参加することが重要であることなどを伝える。

グループ・ダイナミクスをうまく活用するには、その傾向や効用について正しく理解し、ポイントを心に留めておくことが大切です。

▼参考資料
A・ザンダー 著/黒川正流ほか 訳『集団を活かす グループダイナミックスの実践』北大路書房、1996年
宮崎猛 著『アクティブ・ラーニングの基本と授業のアイデア』ナツメ社、2017年

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