年末に進めておきたい!理科室・理科準備室の整備 【理科の壺】
2022年も、あとわずか…
何かと忙しくなる年末ですが、冬休みを上手く活用して、新年をすがすがしい気持ちで迎えたいものです。「でも、具体的に何をしたらいいのか…」とお困りの先生も多いのではないでしょうか。そこで、今回は、年末に進めておきたい「理科室・理科準備室の整備」を紹介します。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか?
執筆/大阪府公立小学校首席教諭・岩本哲也
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
1.座席や流し台、実験器具にナンバリング
上の図や写真のように、座席や流し台にナンバリングしておきましょう。指示を出す際に便利です。ナンバリングをしたら、先生と子どもで共通理解を図りましょう。写真のように、マグネットシートに班番号を書いて掲示しておくと、各班の座席の場所が明確です。学習内容によって班の座席を変更したい場合は、マグネットシートを移動させましょう。実験器具もナンバリングすると、器具を取りに来ていない班、返却していない班などが一目でわかるので、声かけがしやすくなります。
2.流し台の掃除・整備
年末のうちに、流し台を掃除し、すがすがしい気持ちで新年を迎えましょう。掃除とともに、整備も進めましょう。蛇口のホースは、水が見えるように透明で、劣化が少なく、熱に強いシリコン製がおすすめです。ビーカーや試験管が洗いやすいように、ホースの長さを一定にするとよいでしょう。ガラス器具の破損防止の手立てとして、洗い物をするときは、流し台にマットや、すのこを敷くように指導することもおすすめです。この機会に、メッシュ構造のマットを購入し、学校の流し台の形に合うようにカットして準備しておくとよいでしょう。ガラス器具が見えやすいように、マットの色を黒にすることも一案です。
3.洗い物で使う道具類をまとめて収納
洗い物で使う道具類が散乱していませんか? 洗い物で使う道具類(スポンジや、洗剤、試験管ブラシ、流し台に敷くマットなど)をキャスター付きのワゴンにまとめて収納しておきましょう。普段は、理科準備室に置いておき、必要なときに理科室に運び出すようにするとよいでしょう。各道具に、班番号を付けておくことをおすすめします。
また、スポンジやブラシは、写真のようにフックで吊るせる形のものが便利です。
4.実験器具の収納場所の掲示
収納場所の掲示を進めましょう。写真のように、器具名や写真に加えて注意事項を示したり、器具名の部分に札を付けて、クイズ形式にすることもよいでしょう。
5.先生同士で活用する連絡板、連絡ノートづくり
「あれ? ここにあるはずの実験器具がない!?」「しばらく実体顕微鏡を教室に置いておきたい。でも勝手に持ち出すのは、ちょっと…」など、思ったことはありませんか? 理科専科と担任、学年間など、先生同士の連絡をスムーズにするために、理科準備室内に「連絡板」を設置したり、「連絡ノート」を用意したりしましょう。
6.理科室、理科準備室の見取図や備品台帳づくり
見取図や備品台帳づくりは、なかなか大変だなと思われたかもしれません。しかし、一度作成すれば、大幅に変更することはほとんどありません。これを機会にチャレンジしてみましょう! できることから、少しずつ進めていくとよいでしょう。
<理科室>
<理科準備室>
上の図のように、見取図を鳥瞰図にすると、棚の上段・下段に何があるかを示しやすいです。また、備品台帳と連動させやすいように、棚をA、B、C・・・など、ナンバリングしておきましょう。見取図は、データでの作成をおすすめします。修正したり、色分けしたりしやすいからです。理科室見取図は理科室に掲示して、どこに何があるかを子どもも把握しやすいようにしましょう(※ひな型となるデータを添付しておきますので、ご活用ください)。
備品台帳は、どこに何があるかがわかるだけでなく、備品購入の計画にも役立ちます。上の図のように、「50音順バーション」と「単元別(学年別)バージョン」を作成すると、便利です。引き継ぎ事項や品番、詳細の説明などを書くことができる「備考欄」を設けることをおすすめします。使用する教科書が同じであれば、他校の先生と協力して「単元別(学年別)」の作成に取り組むこともできます。(※こちらも、ひな型となるデータを添付しておきますので、ご活用ください。)
おわりに
他にも、3学期の学習の準備など、年末に進めておきたいことがたくさんあると思います。今から、スケジュールとチェックリストを用意して、計画を立てましょう。日頃取りかかることが難しい「理科室・理科準備室の整備」を進めるよい機会です。
「このようなテーマで書いてほしい!」「こんなことに困っている。どうしたらいいの?」といった皆さんが書いてほしいテーマやお悩みを大募集。先生が楽しめる理科授業を一緒に作っていきましょう!!
※採用された方には、薄謝を進呈いたします。
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〈執筆者プロフィール〉
岩本哲也●いわもと・てつや 大阪府公立小学校首席教諭。大阪市小学校教育研究会理科部員。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、経験。理科を中心に日々実践研究を行う。共著に、『板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 小学校理科6年』(東洋館出版社)、『「深い学び」につながる授業アイデア64』(東洋館出版社)、『授業をもっと面白くする!小学校理科の雑談ネタ40 3・4年』(明治図書出版)、『授業をもっと面白くする!小学校理科の雑談ネタ40 5・6年』(明治図書出版)等がある。
<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。