学級経営に活きる!カリキュラム・マネジメント導入事例
二学期を充実した学期にするために、学習や行事を通して、子供たちに高学年としての力を付けていきたいものです。ここでは、カリキュラム・マネジメントに則した一覧の作成と学期めあてのアップデートを紹介します。見通しをもって二学期をスタートしましょう。
執筆/熊本県公立小学校教諭・渡辺猛
目次
カリキュラム・マネジメントの観点
今回の指導要領の改訂で大きく取り上げられているものに、「カリキュラム・マネジメント」があります。「社会に開かれた教育課程の創造」という点で、非常に重要なポイントです。見通しをもった学級経営をするためにも、このカリキュラム・マネジメントの観点が必要です。
二学期以降のカリキュラム一覧をつくることをお勧めします。と言っても、そんなに難しく考える必要はありません。次の手順と表を参考にしてください。こうすることによって、二学期全体の大まかな流れがイメージできます。
1.縦軸に「行事・教科等」、横軸に「月」を配列した表をつくる。
2.月ごとに行事名や各教科等の単元名・題材名を記入する。
3.教科書や資料、行事の計画案(今年度のものがまだできていない場合は、昨年度のもの)に目を通し、つながりがありそうなものをチェックする。
4.つながりのある単元や題材を、矢印でつなぐ。
つまり、一つの授業を単体として捉えるのではなく、他教科とのつながりを意識して授業を組み立てるために、一覧表が資料となります。例えば、「修学旅行」という行事に関連して、「道徳」や「特別活動」「国語」などの授業で、「どういう力を育てられるか」「育てなければならないか」を、事前に考えることができるということです。
学校によってはすでに作成済みのところもあるかと思いますが、自分の学級の実態に合ったものにアレンジすることも可能ですので、見直しをしてみるとよいかもしれません。
めあてもアップデートしていこう
一方、子供たちには、「二学期を通してどんなことを頑張りたいか、どんな自分になりたいか」を考えさせなければなりません。これが、子供にとっての「二学期のめあて」となります。ところが、実際の教室をのぞいてみると、学期はじめに「二学期のめあて」を書いて、掲示したものの、掲示した後はそのままになっていることもあるようです。つまり、めあてを立てさせて、それで安心し、評価をしていないということです。
そもそも、長い二学期の間、学期はじめに決めた目標がずっと達成できないままその学期を終わる、というのはいかがなものでしょうか。
これでは、学期はじめにせっかく立てた目標が、単なる「お題目」になってしまいます。そうならないように、定期的に評価(チェック)するシステムをつくりましょう。次のような手順で行うと、子供たちの主体的な活動によって、定期的にチェックできます。また、新しいめあてを立てることもできるようになります。 最後に、「めあてカード」の例を載せておきます。是非、参考にしてみてください。
1.回数や時間を入れた、評価可能な目標を、設定させる。
2.達成状況をチェックするために、週の最終日の帰りの会にチェックの時間を組み込む。
3.達成できなかったら目標を継続し、達成できたら新しいめあてを決めさせる。
4.チェックできるようカードをつくる。カードは厚紙に貼り、引き出しに入れておく。
〈参考文献〉『カリキュラム・マネジメント入門』田村学編著(東洋館出版社刊)
『教育技術 小五小六』2019年9月号より