小4算数「変わり方」指導アイデア《伴って変わる2つの数量の関係|和が一定》

執筆/富山県高岡市立博労小学校教諭・神田将義
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県南砺市立福光東部小学校校長・中川愼一

目次
単元の展開
第1時(本時)伴って変わる2つの数量の関係(和が一定)について、表を用いてその関係を捉え、□や△を使って式に表す方法を考える。(□+△=9)
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第2時 伴って変わる2つの数量の関係(差が一定)について、表を用いてその関係を捉え、□や△を使って式に表す方法を考える。(□+2=△)
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第3時 伴って変わる2つの数量の関係(商が一定)について、表を用いてその関係を捉え、□や△を使って式に表す方法を考える。(□×4=△)
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第4時 問題に取り組み、学習内容の定着を確認し、理解を確実にする。
本時のねらい
伴って変わる2つの数量の関係を、表に整理して、□や△を使って式に表し、変化や対応の特徴を考える。
評価規準
伴って変わる2つの数量を見いだし、その関係を表や□や△を使った式に表して、変化や対応の特徴を考えている。(思考・判断・表現力)
本時の展開
同じ長さのストロー18本を使って長方形をつくります。どんな長方形をつくることができるでしょうか。
ドットシートを使って、どんな長方形をつくることができるのか調べていきましょう。

こんな細長い長方形ができました。
「こんな細長い」を「縦」や「横」などの算数の言葉を使って言い表すことはできますか。
縦がストロー2本で、横がストロー7本の長方形です。
「縦2、横7」と言えば簡単に表せるよ。

皆さん、今の表し方でよいですか。それでは、ほかにできる長方形も「縦○、横□」で表してみましょう。
私がつくった長方形は、「縦5、横4」です。

僕は「縦1、横8」です。

いちいち書いて調べなくても、縦の数が分かれば横の数も分かりそうです。
それは、どういうことですか。
縦と横を足したら9になるというきまりがあるみたいだからです。
では、ほかの長方形も調べてみましょう。たとえば、縦が3のとき、横の数はいくつですか。
6だと思います。
本当だ。ドットシートにかいて確かめてみたら、6になっています。

そのきまりがすべての場合にあてはまるのか、調べていきましょう。
長方形の縦の数と横の数にあるきまりをはっきりさせよう。
見通し
長方形の縦の数と横の数の組合せを全部調べていけばきまりが見付かりそうだ。(方法の見通し)
たくさんの組合せがあるので、縦の数と横の数の組合せを順に並べていけば、見やすくなりそう。(方法の見通し)
縦の数と横の数を足したら9になるというきまりがありそうだ。(結果の見通し)
自力解決の様子
A つまずいている子
「縦の数が2のとき、横の数は7」
・長方形をドットシートにかき出して調べているが、きまりに気付けず困っている。
B 素朴に解いている子
「縦の数と横の数を足したら9になりそう」
・2~3通りの具体から、直感的にきまりを考えている。
C ねらい通り解いている子
「縦の数と横の数の和を順に調べたら、どの組合せも和が9になっている」
・縦の数と横の数を順に表に整理して、和が一定であることを見いだしている。
学び合いの計画
ここでは、2つの数量の関係を表に整理し、その表を読み取ることで2つの数量の関係の特徴を見いだすことを大切にして学習を進めます。
自力解決の場における子供たちの様子は、いくつかの数の組合せから直感的にきまりを見いだしてしまう子や表に整理する段階できまりに気付く子などさまざまです。
学び合いの場で大切にしたいことは、直感的に捉えた「足して9になる」ということが、ほかの場合にも当てはまるかを慎重に調べていくことです。そのため、個々の場合の数の組合せを取り上げて、それを順に表に整理していく過程をていねいに取り扱うようにします。
子供たちが主体的・協働的に学び、理解を深めていくためには、学習問題や単元構成をよく吟味するだけでなく、子供の考えを的確に解釈し、ていねいに取り上げていくことも大切になってきます。子供たち一人ひとりの考えの進め方をよく観察・分析し、話合いで生かしていきましょう。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
縦の数と横の数のきまりをうまく見付けだすことはできましたか。
きまりが見付かりました。縦の数と横の数を足すと9になっています。
私も、同じように足して9になるきまりを見付けました。
どれとどれを調べたのですか。
「2と7」「8と1」「6と3」です。
私は、「4と5」「7と2」「1と8」です。
ばらばらだと、なんだか考えにくいです。
ばらばらのままだと、調べ残しが出てくるかもしれません。
どうしたらよいですか。
順番に並べ直して、表にしたら見やすくなると思います。
表にしたら、抜けている数もなくなりそうです。
それでは、みんなで表に整理してみましょう。

表を見るときまりが分かりやすいです。表の上の数と下の数を見ると、合計が全部9になっているのが見やすいです。
表に表すと関係が見やすくなるね。
確かに。表を縦に見ると、「足して9になる」というきまりがすぐに分かるね。
見付けたきまりを言葉で表すだけでなく、式に表すことはできますか。
[縦の数]+[横の数]=9 です。
もっと簡単にして、[た]+[よ]=9 でもよいと思います。
算数らしく、縦を□、横を△など、記号を使って表せますか。
そうすると、□+△=9と表せます。
横の数の△を求めるためには、9-□をすればよいということが分かります。
(ばらばら)
2のとき7、8のとき1、6のとき3……
(順に並べて)
1のとき8、2のとき7、3のとき6……
(表にまとめて)
・表に整理してかくと、変わり方や関係が分かりやすい(縦の数と横の数の和は9)。
「縦の数と横の数を足すと9になります」
「横の数は、9から縦の数を引いた数です」
(縦の数)+(横の数)=9
(横の数)は、9-(縦の数)
(た)+(よ)=9
(よ)=9-(た)
□+△=9
△=9-□
・□や△を使うと、2つの量の関係を簡単な式に表すことができる。
評価問題
サイコロの出た目の数とうらの目の数を表にまとめると、次のようになりました。出た目の数(□)とうらの目の数(△)が、どんな関係にあるのかを考えて、式に表しましょう。

子供に期待する解答の具体例
式 □+△=7
・出た目の数(□)と裏の目の数(△)は、足して7になる。
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
伴って変わる2つの数量の関係を表や□や△を使った式に表して、変化や対応の特徴を考えている。
感想例
- 表に整理すると、分かりやすくなります。
- 頭のなかを整理していけるように、表をうまく使えるようになりたいと思います。
- □と△を使うと、きまりを簡単に式に表すことができました。
- 長い文章にしなくても、□や△を使えば一目で分かるので、見付けたきまりを□や△の式に表していきたいと思います。
イラスト/横井智美、やひろきよみ
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