端末利用と正答率の相関【わかる!教育ニュース#10】

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中澤記者の「わかる!教育ニュース」
端末利用と正答率の相関【わかる!教育ニュース#10】

先生だったら知っておきたい、さまざまな教育ニュースについて解説します。連載第10回のテーマは「端末利用と正答率の相関」です。

授業での端末の使用頻度は、小学校で「ほぼ毎日」が26.9%

新型コロナウイルス禍は社会のありようを変えました。学校も例外ではありません。今や授業でタブレット端末などICT機器を使った調べものや、オンライン学習は珍しくなくなりました。その変化は、学びにどう影響しているのでしょうか。

2022年の全国学力・学習状況調査で行った質問紙調査からは、ICT機器が教室に浸透していることが窺えます。学校に授業での端末の使用頻度を尋ねると、小学校は「ほぼ毎日」が26.9%と、前年度を15.5ポイント上回りました。「週3回以上」「週1回以上」も含めると83.3%に上ります(参照データ)。

利用を促す体制も整ってきています。例えば、教員がICT機器の使い方を学ぶ研修が「ある」「どちらかといえばある」という学校は、前年より9.8ポイント増の94.6%。専門スタッフなどサポート体制も、前年より15.2ポイント多い69.1%の学校が備えています。

具体的に授業でどう使われているのでしょうか。子どもがインターネット検索などで調べるのは、ほぼ毎日が21.4%、週3回以上が40.6%、週1回以上が30.1%と、計9割を占めます。月1回未満は0.4%にとどまりました。

ただ、子どもが考えをまとめて発表するのに使うのは、毎日が13.8%、週3回以上が26.2%、週1回以上が31.6%と計7割ほど。月1回未満も5.4%あります。

興味深いのは、教員の研修機会との相関です。研修がある学校ほど、子どもが発表などに週1回以上使う割合が高く、「ない」という学校と39.6ポイントの差が出ました。子どもが踏み込んだ使い方ができるかどうかは、教員の指導にかかっているのかもしれません。また、発表に使う頻度と正答率を分析すると、毎日と比べて月1回未満はどの教科も約3ポイント低いという結果が出ました。

端末の利用頻度と正答率の相関は、家庭で私的に使うケースに強く表れる

今回の調査結果で、端末の利用頻度と正答率の相関がより強く表れたのは、学校での利用よりも家庭で私的に使うケースでした。

例えば、平日1日にスマートフォンなどでゲームをする時間を6段階で尋ねた結果と正答率を分析すると、長時間ほど正答率が低い傾向があります。特に、「4時間以上」の子と「1時間より少ない」子では、正答率は国語で19.0ポイント、算数で18.1ポイント、理科で18.0ポイント開きました。

SNSや動画視聴でも同様。「4時間以上」の子は「30分より少ない」子より、国語で17.2ポイント、算数が17.7ポイント、理科は17.0ポイント低いという結果になりました。

学校と家庭それぞれの利用頻度と正答率の関係の違いは、まだ深い分析はされていません。ただ、ICT機器はただ使いこなせればよいわけでもないようです。指導を受けて目的をもって使ったり、利用時間や場所に関するルールを設けて守ったりするなど、適切な使い方をしてこそ、学びに生きるのかもしれません。

参照データ
▽国立教育政策研究所
https://www.nier.go.jp/22chousakekkahoukoku/index.html

【わかる! 教育ニュース】次回は、9月15日公開予定です。

執筆/東京新聞記者・中澤佳子

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