小5算数「整数の性質」指導アイデア
執筆/新潟県公立小学校教諭・濱中大輝
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟県公立小学校校長・間嶋哲
目次
本時のねらいと評価規準(本時の位置 3/11時)
ねらい
公倍数、最小公倍数の意味と、見付け方を理解することができる。
評価規準
「名前呼びゲーム」を通して、倍数や公倍数の意味を理解し、同時に同じ音が聞こえた場合が公倍数であることに気付くことができる。

始めは、ただ「ゲームをしよう」と投げ掛けてさせてみる。同時に「う」を唱えた瞬間の児童の驚きの声を拾って、同時に「う」が聞こえたのは何回目かを問うとよい。
1~3列目は「さとう」、4~6列目は「こんどう」と言い続けてみましょう。
何が起こるのかな?
さと(う)さと(う)さと(う)さと(う)
こんど(う)こんど(う)こんど(う)
あ! 「う」が重なって聞こえた! 何でだろう。
本当ですか? では、「う」という時に手を叩いてみましょう。
やっぱり重なった! おもしろい。
おもしろいですね。「う」が同時に聞こえたのは、何回唱えたときでしたか。今日は、「う」が重なった秘密を調べていきましょう。
本時の学習のねらい
どのようなときに、うが重なるのだろうか。
見通し
「さとう」は、4回目のときだったよ。
「こんどう」は、3回目だったよ。
児童の気付きを、見えるように板書する。(名前カードを貼る)

3文字の繰り返しと、4文字の繰り返しだから、かけ算になるんじゃないかな。
気付いたことをノートに書きましょう。
自力解決の様子
A つまずいている子
「う」が重なることはゲームから分かっているが、その理由を見付け出すことができない。
B 素朴に解いている子
12文字目に重なることを理解している。3の倍数と4の倍数に関係があることを見付けている。
例 3×4=12、4×3=12
C ねらい通り解いている子
3と4の公倍数を見付け、次の公倍数が12の倍数であることも見付けている。
例 12、24、36文字目も重なる。
学び合いの計画
自力解決に取り組ませた後、2~3人で気付いたことを発表させる。
つまずいている児童には、「さとう」のうは3文字目で、「こんどう」のうは4文字目であることから、3と4の数に着目できるようにしていく。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
(う)が、3文字目と4文字目になっていることに注目している人が多かったですね。グループでどんな話をしましたか。
3の倍数と4の倍数を考えると、どちらも倍数に12があります。だから重なったのだと思います。
12だけでなくて、3と4の倍数には、24もあるし、36もあるから、まだまだあると思います。
12だけでなく24や36文字目にも重なるのですね。それぞれ何回唱えたらよいですか?
「さとう」は3×8=24だから8回で、「こんどう」は4×6=24だから6回だと思う。やってみよう!
やはり重なりましたね。このように、3の倍数と4の倍数に共通な数のことを、3と4の公倍数と言います。また、公倍数の中で一番小さい数を最小公倍数と言います。
じゃあ、12が最小公倍数だね。
「さとう」と「こんどう」の名前カードを児童の気付きの通りに貼り、(う)が重なることを確かめた後、唱えてみる。その後、用語指導を行うとよい。
本時のねらいに正対した学習のまとめ
3と4だけでなく、他の数にもありそうだな。2と6にも共通する倍数があるよね。
他の数にも公倍数があるのですね。2と6では、どうなりますか。
2と6の公倍数は、6、12、18、24……と6ずつ増えてる。あ、6の倍数だ。
3と4の公倍数も、12、24、36……と12ずつ増えていて、12の倍数になっている。最小公倍数が分かれば、次の公倍数も簡単に見付けられるね。
「3と4」だけでなく、他の数にも公倍数はありそうだという児童の声があれば、価値付け考えさせる。児童からあがらなかった場合には、教師から「公倍数があるのは、3と4だけでしょうか」と問う。また、公倍数の簡単な見付け方についても話し合わせることでねらいの達成を図る。
評価問題
2と3の公倍数を小さい方から5つ求めましょう。
どのように考えたのか、求め方が分かるようにノートに書きましょう。
子供に期待する解答の具体例
〈答え〉6、12、18、24、30
〈求め方〉初めの公倍数の6を、2倍、3倍にしていった。

感想例
公倍数のかんたんな見付け方を知ったので、他の数の場合でも使えるのか試してみたいです。
『教育技術 小五小六』 2021年8/9月号より