【相談募集中】自分勝手な教職員がいる職員室へ戻るのが憂鬱です

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先生の幸せ研究所

鳥居紗歩

非常識な教職員が多く「職員室に出入りするのがイヤ」と、みん教相談室にSOSが寄せられました。先生の幸せ研究所 コンサルタント 鳥居紗歩さんは、“組織風土の改善”を挙げ、対話をすることの必要性を唱えました。その内容をシェアします。

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Q. 非常識な教職員が多く、職員室に出入りすることが苦痛です

私立中学校に勤務しています。職員室に入るのが憂鬱です。挨拶をしない、挨拶をしても返さない、人の席に荷物を置きっぱなしにしていても謝りもしないなど、非常識な教職員が多く、もうあの職員室に出入りしたり過ごしたりすること自体が苦痛です。

廊下やエレベーターなどで居合わせても、会釈ひとつしないですれ違う職員は少なくありません。近年、ますます増えたように感じます。教えること自体や生徒と関わることにはやりがいを感じておりますが、教職員同士の関わりが最低限すら気持ちよく保持できかねています。

嫌でたまらない時は、これらが理由で一刻でも早く辞めたい気持ちになります。毎日どのような意識でいたらいいか、アドバイスをいただきたいです。よろしくお願いします。(アイペンシル先生・30代女性)

A. 教職員同士が気持ちよく過ごすためにも、相手との対話から始めてみては

アイペンシル先生、みん教相談室への投稿ありがとうございます。初めまして。合同会社「先生の幸せ研究所」で学校専門コンサルタントをしております、鳥居紗歩と申します。

投稿拝読しました。アイペンシル先生が求めている理想や、心地よく過ごしたいというお気持ちとは裏腹な職場環境ということがよくわかりました。

アイペンシル先生はとっても温かくお優しい方なのだろうなと思います。「挨拶をし合いたい」「会釈をし合いたい」「言葉をかけ合いたい」そういうアイペンシル先生の同僚への想いが、文章からひしひしと伝わってきたからです。

アイペンシル先生の願いは、「教職員同士が気持ちよく過ごしたい」ということだと思います。それを叶える方法は辞めることではなく、組織風土の改善です。そしてまずはアイペンシル先生から半径3メートル以内の人たちから改善していくことです。

組織風土改善に最も大切なこと

私立学校では、教職員の異動が少ないため関係性が固まってしまい、組織風土によくない影響を与えていることもしばしばあります。

アイペンシル先生の学校でも、もしかしたら同じケースかもしれません。

×組織風土が良好でない状態(一部例)
  • チームではなく個人で仕事をしている
  • 校務分掌や学年ごとに分断がある
  • 情報が伝わってこない
  • 失敗は許されない
  • どうせ変わらないと思っている
  • 信頼関係がなく本音を言えない
〇組織風土が良好な状態(一部例)
  • 校内のコミュニケーションが活発
  • 連携・協力・リスペクトを互いにしている
  • 新たなアイデアがどんどん出てくる
  • 一人一人が考えて行動している
  • 心理的安全性が高く本音を言い合える

組織風土を良好にするために最も大切なことは、組織に悪い影響を及ぼしている人を排除するのではなく、校長のズバ抜けたリーダーシップでもなく、実は対話です。互いにお話をすることなのです。

アイペンシル先生は、

・隣の席の人の趣味を知っていますか?
・その隣の人の得意な授業スタイルを知っていますか?
・その隣の人の素敵なところはどこですか?

組織風土の改善は、そのような、相手を知るお話をたくさんすることから始まります。
むしろ、そういうお話がすべての土台になります。

私たちも学校コンサルタントとして伺う際、この「対話」を研修で入れ込みます。私たちの研修では「ディベート(討論)」は行わず、「ダイアローグ(対話)」ばかりします。相手のことを理解し合うことからすべてが始まるのです。

苦手な人と対話するコツ

■いきなり本題に入るのではなく、冒頭に相手への感謝や敬意を述べてから始める。
例)今日は時間を調整してくれてありがとう!
  先日の○○に関する仕事が素晴らしかったです!

■対話に困ったら相手を頼る質問を投げかける
例)今、わたしは○○に困っているのですが、何かいい解決策をご存じないですか?
  この前の○○はとっても上手くいっているように見えましたが、どのようにされたんですか?

■できれば、好きな人と話すように、いつもより笑顔でお話をする

コツをお伝えしましたが、コミュニケーションの取り方は人それぞれです。必ずしも相手から期待通りの答えが返ってくるとは限りません。相手の答えや反応に期待しないことも相互理解の一つです。

憂鬱な気持ちの解消方法

アイペンシル先生の憂鬱な気持ちの解消法ですが、憂鬱な気持ちになるたびに「本当はどうなりたいのか」に想いを馳せてみてください。冒頭申し上げた通り、アイペンシル先生が憂鬱なのは「本来は教職員同士が気持ちよく過ごしたい」からです。そのギャップに苦しんでいらっしゃるのだと思います。

憂鬱な気持ちになったら、本来の願いを思い出し、「教職員同士が気持ちよく過ごせるための行動」として、次のようなことをまずは実践してみてください。

組織風土改革のためにできること(一部例)

  • まじめな雑談の時間を気軽に設ける
  • アイデアや意見、発言を否定しない
  • 相手に求めることはまず自分が実行する
  • 相手にポジティブな影響力を与える

余談ですが、人間は生まれてから今日までの様々な経験を基に自分の思考を形成しています。これを「バイアス」というのですが、これらをときに手放したり見直したりすることで、これまでよりちょっとだけ身軽に生きられるようになったりします。もし自分の考え方によって辛くなってしまった時には、これまで当たり前と思っていた考え方を手放すのも気持ちが軽くなる方法の一つです。

■おすすめの本:認知バイアス辞典

最後に、アイペンシル先生に質問です。

「憂鬱な気持ちで職員室に入るメリットはありますか?」

憂鬱な気持ちで毎日を過ごすことによいことはないと思います。「なぜこの人たちは挨拶しないのだろう」ではなく、「どうしたらこの人たちは挨拶をするのだろう」と考えて日々を過ごしてみてください。

子供たちも、そんなアイペンシル先生のことがもっと好きになると思います。これからもアイペンシル先生の日々が、ますます輝いたものになりますよう密かに応援しております。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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