授業力を高めたい!⑦ 夏休みの過ごし方|樋口綾香のすてきやん通信
Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 研究の仕方が分からなかったり一人では不安だったりする先生に向けて、授業力を高めるための手段や考え方についてお伝えするシリーズをお届けしています。
今回は、「夏休みの過ごし方」について考えます。夏休みの過ごし方が、授業力にどのように関わってくるのでしょうか。
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
目次
教員の夏休み
同僚の先生に、夏休みの過ごし方を聞いてみました。
A先生(2年目・男性)
- 実家へ帰って墓参りをする。
- 友達と花火をする。
- 運動会のダンスを考える。
- 研修(対面)に参加する。
- 指導案を書く。
- 教育書を読む。
B先生(17年目・男性)
- 100キロ走る。
- 運動会のダンスを考える。
- 我が子の夏休みの宿題をみる。
- 体力づくりをする。
- 教育書を読む。
- 1学期の振り返りをする。
- 指導案を書く。
C先生(3年目・男性)
- 友達と遊ぶ。旅行へ行く。
- 運動(趣味のテニス)をする。
- 教育書を読む。
- 1学期の振り返りをする。
- 研修(オンライン・対面)に参加する。
- 指導案を書く。
- 2学期の授業準備をする。
D先生(11年目・女性)
- 実家に帰って、地元の友達と遊ぶ。
- 旅行に行く。
- 趣味に時間を使う(買い物・アニメ・映画)。
- 研修(対面)に参加する。
- 教育書や漫画を読む。
- 2学期の授業準備をする。
突然尋ねたのですが、みなさん快く教えてくれました。4人の先生の夏休みの過ごし方を見て、どんなことに気づきましたか? そうです。共通点がありそうですね。
まずは、「家族や友達との時間を過ごす」という共通点があります。夏休みなどの長期休暇には、旅行や里帰りなどをゆっくり楽しむことができますね。
そして、2つ目の共通点として、「教育書を読む」「研修に参加する」「指導案を書く」「1学期の振り返りをする」「2学期の授業準備をする」など、授業に関わることが挙げられます。
これらは、授業力向上に欠かせないと私は考えています。
授業力を高める夏休みの過ごし方
4人の先生の共通点を参考にしてみませんか。
①教育書を読む。
普段から教育書を読んでいる先生は、夏休みだからといって、何も特別なことはないかもしれません。しかし、私のような、必要に迫られて教育書を読むタイプの先生には、夏休みの読書は大変おすすめです。
そこで、時間はあっても、「どんな本を読めばいいかわからない」という先生へ、アドバイスです。
ー「本屋さんへ行ってください」。
私の住んでいる大阪で教育書が多く置かれている書店としては、清風堂書店、ジュンク堂書店、紀伊国屋書店などがあります。もちろん他の書店でも、大きめの店へ行けば教育書の棚があります。
私は、国語の研究を始めた1年目に、どんな本を読めばいいかわからず、先輩に相談したところ、
「本屋へ行って、国語の棚の端から端まで買い」
と言われました(笑)。さすがに端から端までは買えませんでしたが、実際に書店へ行き本を開いて、自分が興味をもった本を購入しました。
今は、Amazonや楽天などのネットショッピングで、中身を見ずに本を買うことも可能です。でも、自分で中身を確かめてから選ぶと、「思っていたのと内容が違う」という誤解を避けられます。あのときの先輩の言葉は、「自分で見て、自分で選んでおいで」ということだったのでしょう。今でも、書店で実際に本を見ながら選ぶことを大切にしています。
②研修に参加する
みなさんは、夏休みに研修に参加する予定はありますか。私は2022年の夏は、
7月24日(日)関西国語授業研究会
8月28日(日)国語授業熱の会 —2022夏—
には発表者として参加し、他の研修にも参加予定です。
きっと、学校や市町村の教育委員会の研修もあるでしょう。しかし、おすすめしたいのは、
「時間とお金を惜しまずに、参加したい研修を自分から見つける」
ということです。
一方的に与えられた機会ではなく、自分で探し、見つけた機会にすることで、より意欲をもって研修に参加することができるからです。
きっかけがどんなものであっても謙虚に学ぶことができるという人もいます。しかし、私にとっては「時間とお金をかけているのだから、ちょっとでも多くを学ぶぞ!」と追い込んで研修に参加するほうが、自分らしいのです。普段は人見知りなのですが、そういう場では知らない人に話しかけたりもします。
研修を探す方法は、次の4つがおすすめです。
皆さんの心が動く研修に出合えますように。
③1学期の振り返りと2学期の準備
みなさんは、もう1学期の振り返りをしましたか? 私は、次の5つの観点で、振り返りをしました。ぜひ、みなさんも考えてみてください。
- 学級経営で大事にしたのはどんなこと?
- 子供たちどうしのつながりをつくるために行ったのはどんなこと?
- それらは、十分に達成できたか?
- 個別の支援が必要な子供に、どんな支援や手立てを講じたか?
- 心に残っている授業は、どんな授業か? どうして心に残っているのか?
私は、1学期の自分自身の振る舞いや学級経営の意識がどうであったかということを振り返るようにしています。
子供たち一人ひとりを大切にしたいと思えば思うほど、教室という環境が居心地のよいものでなければならないと感じます。生活面での居心地のよさと学習面での居心地のよさを両立させるには、学級経営力と授業力が必要です。
夏休みに自身の振る舞いや意識を振り返り、2学期には、足りていないと感じる部分に焦点を当て、力を入れて取り組んでみるのはいかがでしょうか。
心と体をリフレッシュして、2学期に向けて充実した夏休みにしましょう!
樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。
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