「子供を見る」って何を見る? 目的に合わせた見方6パターン
「子供をよく見てください」「しっかり子供を見て」などと、一度は言われたことがあるのではないでしょうか。でも、実際によく何を見たらよいのか、なんのために見るのか、よく分からないという声をよく聞きます。そこで、ここでは子供を見る目的をはっきりさせ、目的に合わせた見方を紹介します。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・小倉さえ子
目次
パターン1 あるかな? いるかな?
- 全員の学習準備は整っているか
- 欠席児童の確認
など
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全体を見回す
視野を広く、中央に顔を向けます。左(右)から右(左)へと一方向に全体を見回します。
教科書を持っているかなどの持ち物の確認は、時間をかけずに全体を見回します。
「朝の会」を始めるときには、必ず欠席児童の確認をします。どんなに急いでいても、連絡帳で欠席理由を把握します。
連絡帳がない!
①子供を確認
友達やきょうだいが、提出せずに持っていることがないか確認。
②職員室で確認
職員室に欠席連絡が届いていないかを確認します。なければ電話連絡を。
このときには、学年の先生と職員室の先生に声をかけ、教室にいる子供の見守りをお願いしましょう。
「休み時間後」にも、授業開始時には人数確認を。保健室に行った、トイレから戻っていないなど遅刻児童の確認をします。
保健室が理由
ケガや体調不良の場合は、程度を確認します。治療が済み授業が受けられるのか、少しつらいけれどがんばれそうかなど、子供に確認します。
また、養護教諭からの伝言などがないかも確認します。
パターン2 合っているかな? 元気かな?
- 教科書の開いているページの確認
- 健康観察
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全員を見る
一人ひとりに視線を向けて確認していきます。視線はコの字やZ形に流します。
ページが違う!
①指示が伝わっていない
5人以上が違うページを見ていたら、子供たちに指示が通っていない、または分かりにくかった可能性があります。再度、ゆっくりと短い言葉で伝えます。
「20ページを開きます」
②興味がそれている
わき目もふらず、違うページを見ているときは、興味深いページを見付けた証拠。気持ちに寄り添い、正しいページを伝えます。
「その絵、気になるよね。でも、今は20ページだよ」
③みんな違う!
他の子も連動して気になるページに行ってしまったときは、割り切ってみんなで見ましょう。急がば回れです!
「25ページに楽しい絵を見付けたね。みんなで見てみよう。この学習も楽しみだね。では、20ページに戻ります」
顔色が悪い・表情が暗い
本人に「顔が青いけど保健室行かなくて大丈夫?」などの声をかけ、周りの席の子供には「○○ちゃんが、つらそうだったら教えてね」と伝えます。
先生が気にかけてくれた、気付いてくれたことで子供の不安が和らぎます。
パターン3 やっているかな? 机間指導
作業の有無
机間指導でノートやワークシートをさらっと見ます。作業を始めたか、書いている場所は合っているかなどの確認をします。歩調は速めで、全員を見ることができるルートで歩きます。
パターン4 正しく書けたかな? 机間指導
正誤の確認
机間指導でノートやドリルをゆっくり見ます。文字の形が正しいか、計算ドリルの丸付けをしながらなど。少しゆっくりの歩調でも、全員を回るルートで歩きます。
パターン5 いいね、似ているね 机間指導
考え方や意見などの内容確認
机間指導でノートをじっくり見ます。算数の考え方などでは似ているものを分類したり、紹介したい意見をチェックしたりしながら見ていきます。同時に、学習が深まるように指名順を組み立てていきます。
算数の考え方で似ているものに、「★1」「★2」などと書き、それ以外は〇を書きます。 道徳や国語などで、全体に発表してほしい文には花丸、それ以外は〇を書きます。
よい意見だけに印を付けると、印が付けられなかった子供の意欲が低下することも。自分の考えが書けたことへの評価として、必ず全員に印を書きましょう。
発表時に「花丸の子(★1の子)、立ちましょう」などとすると、時間の短縮ができます。
パターン6 君を見ているよ!
アイコンタクト
反応がよい子や明るい子には、多く視線を送りがちです。また、自分にとって向きやすい方向があるかもしれません。意識的に、しっかり全員に視線を向けましょう。教師に反抗的な態度の子がいても、笑顔でぐぐっと見つめてアイコンタクトを。
イラスト/佐藤雅枝
『教育技術 小一小二』2021年8/9月号より