〈学校環境整備〉特別支援学校と普通校の校舎合築で子ども・教師の心が育つ
新潟県最西端、日本海に面し、フォッサマグナやひすいの産地として知られる糸魚川市。市の中心駅である糸魚川駅前に建つ 新潟県糸魚川市立糸魚川小学校と 糸魚川市立ひすいの里総合学校は、小学校と特別支援学校の合築で、設計から約6年をかけ、2014年5月に完成しました。糸魚川小学校の山本修校長とひすいの里総合学校の長谷川和彦教頭に、建設にあたっての工夫や実態、活用の事例などについて話を聞きました。

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築50年超の旧校舎建て替えで、二校を合築
糸魚川小学校は、1872年の学制発布とともに開校し、市内14校ある小学校の中で最も児童数が多い学校です。ことばの教室や発達障害通級指導教室も併設し、地域の拠点校としての役割も担っています。
一方、ひすいの里総合学校は、糸魚川小学校の空き教室6室を利用して、2005年に新潟県立高田特別支援学校ひすいの里分校として開校。新校舎建設に合わせ、住民の希望や市長の判断により、2013年に小中学部が新潟県から糸魚川市に移管され、現在の校名になりました。
当時、両校が使っていた校舎は、築50年を超え、かなり老朽化していました。
「2007年の新潟県中越沖地震などをきっかけに、耐震化されていない旧校舎は建て替えが必要な状態になっていました。トイレも全て和式で、清掃はしていても悪臭が残ったり、教室は暖房のみで冷房はなく、限界にきていました」(山本校長)
2009年8月、糸魚川小学校改築地元検討委員会や改築庁内委員会などが設置され、10月に公募型プロポーザルにより設計チームが確定し、改築に向けた動きがスタートしました。
PTA、地域住民らも校舎づくりの会議に参加
設計に入る前に、監修の長澤悟東洋大学教授(現名誉教授/IEE教育環境研究所所長)を中心に、糸魚川市職員、PTA、学校職員、近隣住民、設計チームら48名で「どんな学校を作るか」というワークショップを開きました。
「子どもたちや教職員だけでなく、地域の方々の声も聞きたかったため、このような機会をつくりました。さまざまな方が参加したことで、それぞれに自分たちの学校だという意識が育ったのではないでしょうか」(山本校長)