インパクト&説得力に感服!第2回自学ノートコン「もじ丸賞」2Dの限界に挑んだ受賞作紹介【動画】
森センの「自学がグーンと上手になる大作戦」⑤
自学の達人”森セン”こと森川正樹先生が、究極の自学ノートを完成させるコツを伝授する本シリーズ。今回は、2022年の「もじ丸賞」受賞作品からインパクトと説得力ある表現のポイントを紹介します。みなさんの創造力を刺激するヒントが満載です。
指導/自学ノートコンテスト審査員長・森川正樹
目次
まるで博物館展示!
究極の2D表現で圧巻!!
第2回自学ノートコンテスト「もじ丸賞」に輝いたのは、6年生の「ドッカン!花火の大研究」という作品です。見事としか言いようのない、素敵な自学でした!
一言でいうと、見事な博物館展示のような作品と言えるでしょう。
まるで博物館を巡っているかのような自学です。
自学では調べたことを見開きのノートにまとめていきますが、この作品では、ただ調べたことを再現するのではなく、さまざまな見せ方でまとめている点が見事でした。
今回は、そんな自学を紹介します。
最初の衝撃はコレだ!
花火についてまとめられた自学です。
まず、こちら(下の写真)を見てください。この広い紙面は、どんどんめくって開けるようになっています。
「見開き2ページでまとめていくのが自学の基本」と私は言っていますが、どんどん面積を広げて情報量たっぷりに書いています。
さらに、左上の端の部分には衝撃的なことが書いてあります!
自学に取り組んだ日付と時間が「15:45〜24:16(食事30分)」と書いてあります。
ということは、その日のうちに全部やったのでしょうか!? 8時間くらいかけてこの自学を作り出したということになります。
すごいですね!!
取り組んだ日時を書くのも、おもしろいアイデアです。
構成の魅力を解剖
花火の世界に誘う「問いかけ」
その日時の下には、「始めに」と、書いてあります。
始めに
夏といえば、花火。手持ちや打ち上げなどがあります。ですが、花火の内部って知っていますか? おそらく、「知らない」と言う人が多いと思います。そこで、今回は打ち上げ花火の仕組みを紹介します。
ここから、花火の世界に誘っていきます。
きちんと問いかけがあって、それに答えていく形でやっています。
文字・イラスト・写真のバランス
もう一度、紙面全体を見てください。
バランスがいいですね!
文字情報が多い。さらに、花火の内部についてのイラストもあります。紙面右下には、実際の写真も載っています。
このように、文字・イラスト・写真などがバランスよく載っています。
花火の秘密・衝撃的な事実を開示
さまざまな花火の秘密をまとめた、おもしろい情報がたくさんあります。
花火の種類に『ぼたん』というのがある。『型物』にはハートやスマイルがあり、日本でしかやらないという情報なども(写真左側)。
また、紙面の真ん中には爆発の仕組みがあり(写真右側)、
導火線を伝って、中の所に火が伝わり、外の方に火が行き“ドカーン”と爆発します。たまに、これがうまく爆発せず、黒い玉のまま落ちて来ることがあるかも!?
と、あります。うまく爆発しなかったら、黒い玉のまま落ちて来ることがあるんですね!?
「実際に落ちて来ました」
とも書いてあります。……怖っ!
その右には、
「本当に降って来てビックリしたよねぇ!! 3年生の時だね(母)」
との、お母さんのコメントが!
すごく軽く書いてありますが、怖い経験をしていますね。
こんなパーソナルなエピソードを間にちょっと忍ばせている、というのも、なかなかおもしろい演出だなぁと思います。
「ギミック」で2Dの限界に挑戦!
これだけでもおもしろいのですが、まだ仕掛けがあり、実際に花火が打ち上がる様子をギミック(からくり)で再現しているページがあります。
引っ張ると花火が打ち上がっていくんです!
折り紙で作った花火が花開くギミックで、打ち上げの工程から、打ち上がった様子もこのようなアクションで再現されている……。
「やってみたい! 実際この自学を手に取ってみたい!」
と、すごく思いました(審査は、送っていただいたカラープリントで見ています)。
花火の中身だけを紹介するのではなく、実際に打ち上がる感じが、クスッと笑えるし、素敵だし、ワクワクしますよね。
そして、最後のギミックがこれです。
なんと実物大の写真をドン!と載せてあるんです。
これ、やっぱり、実物大の持つインパクトです! 説得力がすごいですね!!
「一尺=30cmです」と書いてあります。
このように、実際に打ち上げられる玉の実物大が掲載されていることで、まるで手に取れるかのようです。
ノートを使ってでできる限界に挑戦していて、「実際の大きさのインパクト」がとても上手に使われています。
素敵な作品をどんどん参考にしよう!
……すごいでしょう!?
みなさんの自学の参考になる要素が特に詰まった「森セン賞」&「もじ丸賞」の2つの作品を紹介しました。
この友達2人の作品を見て、「これはいいな」と取り入れられるところがたくさんありますよね。
たとえば、調べてまとめていくにしても、実物の写真を載せてみるとか、工作で再現してみるとか、そういうものを付け足していくだけで、自学のインパクトや説得力が違ってきます。
今回、ご紹介させていただいた12ページにわたる自学作品、制作にすごく時間がかかったのですね!
それを1日で作ったのは驚きでした。分けて作っても全然問題ないと思いますが、「1日で一気に攻めた」のでしょうね! そんなことを感じました。
まさに花火のように努力が打ち上がって実った、そんな自学でした。
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森川正樹(もりかわまさき) 兵庫教育大学大学院言語系教育分野(国語)修了。教師塾「あまから」、読書会「月の道」を主宰。国語科の実践に力を注ぐ。令和2年版学校図書国語教科書編集委員。著者に『小学生の究極の自学ノート図鑑』(小学館)『熱中授業をつくる! 子どもの思考をゆさぶる授業づくりの技術』(学陽書房)など。
「森川正樹の”教師の笑顔向上”ブログ」で、日々の教育関連情報を発信中。
自学の実例がいっぱい! 見てまねて、自学を磨こう!
『小学生の究極の自学ノート図鑑』
(森川正樹著/小学館)
ほぼ実物大・カラーで再現された自学ノートの実例を39作品収録。とじ込み別冊の解説編には、自学指導の達人ならではの指導ポイントも満載。