小3 国語科「春のくらし」全時間の板書&指導アイデア

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【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科「春のくらし」(光村図書)の全時間の板書例、発問、1人1台端末活用例等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:春のくらし(光村図書・国語 三上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都練馬区立大泉学園小学校校長・加賀田真理
執筆/ 東京都杉並区立八成小学校主任教諭・岡﨑智子

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、春の暮らしにかかわる言葉を集めたりその言葉にまつわる経験を想起して文章を書いたりすることで、児童の語彙を豊かにすることを目指します。集めた言葉や経験を文章化することは、経験を想起し伝えたいことを明確にして書く力を育てることにもつながります。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

「春のくらし」は、季節の言葉を扱う小単元です。同様の小単元は、2年生から6年生までの全学年に設定されています。どの学年も春・夏・秋・冬の季節ごとに年4回設定されていますが、紹介されている語句の種類が学年ごとに異なります。

3年生は、暮らしにかかわる言葉が出てきます。衣食住に関わる言葉や風物詩などに触れ自分の生活経験とつなぎ合わせることで、その季節らしさに気付き、実感を伴って語彙を増やしていくことができる教材です。教科書には、内田麟太郎さんの「みどり」という詩と、春の食に関する語句、「さくらゆ」を飲んだエピソードの文章が例示されています。

住んでいる地域や児童の生活経験によって、一人一人の季節に関わる語彙の量や実感にはかなり差異がある場合があります。生活科等の栽培体験を思い出すなど共通体験を確認しながら、「みどり」の色の違いを感じた体験や、「さくらゆ」を飲んだ体験などをみんなで確認していくことで、あまりそのような体験がない児童にも、視覚、嗅覚、味覚等を通して友達が感じた「春」の追体験をしながら語彙を増やすことを行っていきます。語彙と体感の往還を行うことで、実感を伴った語彙として定着し、言語感覚が豊かになることを目指していきます。

本実践では、まず、自分が春を感じた経験や春に関するイメージを自由に出し合います。その後、出てきた言葉を分類し、食べ物に着目して春の言葉を集めます。そして、見付けた春らしい食べ物とそれを食べたときのエピソードを文章に書き、読み合います。エピソードや生活経験と言葉を結び付けることで、児童の語彙は確かで豊かなものになっていきます。  
今回は、児童にとって関心の高いであろう食べ物に限定して言葉を集めますが、学級の実態に応じて春らしさを感じるもの全般に広げてもよいでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 児童の興味、関心を引き出す

教科書に載っているものを中心に、春らしい食べ物について栄養士さんに紹介してもらいます。事前にインタビュー動画を撮影しておき、それを視聴してもよいでしょう。春を感じる食べ物への興味が高まり、他にもあるのではないかという思いが児童の中に生まれてから、学習の計画を立てたり課題を出したりしていきます。「知りたいな」「やってみたいな」という思いをもつことが主体的な学びの第一歩です。

〈対話的な学び〉 春を感じたエピソードを出し合う

春らしいと感じたことを出し合う際には、言葉だけでなくエピソード(いつ、何をしているときに、感じたこと など)も話すようにします。友達の話を聞いて「わたしも、…」「ぼくも、…」と自分の経験を思い出したり、「見てみたいな」「食べてみたいな」という思いを引き出したりすることで、言葉の理解を確かなものにし、言葉への関心を高めることができます。

〈深い学び〉 生活経験と言葉を結び付ける

本単元は、春を切り口に言葉への興味関心を高め、児童の語彙を豊かにすることを目指しています。語彙を豊かにするとは、言葉の数を多く知ることでなく、自分の経験と結び付けたり他の言葉との関連を考えたりしながら言葉を多面的に捉えていくことです。
一週間の取材期間を設け春らしい食べ物の写真を撮りためることで、実際に見たり食べたりする経験ができるようにします。文章に書いて読み合うことで、経験と言葉を結び付けたり言葉と言葉を関連付けたりしながら言葉を捉えていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)言葉の理解を深める

1時間目、春らしさを感じたことを出し合う中で出てきた言葉の中には、児童にとってなじみのないものもあります。同じ学級の中でも、生活経験によって一人一人知っている言葉が異なります。知らない言葉が出てきたときには、インターネットで画像を検索してみるとよいでしょう。言葉と写真や絵を結び付けることで、新たな言葉を覚えることができます。

(2)出し合った言葉を分類、整理する

1時間目に春らしさを感じる言葉を出し合う際に出てきた言葉を教師がカード化し、児童の端末に送ります。一人一台端末を活用することで、児童一人一人が、カードを動かしながら言葉の分類を行うことができます。デジタル教科書の思考ツール機能や各自治体で導入されている学習支援ソフト(本原稿では、ロイロノートスクールを想定)の機能を活用するとよいでしょう。

(3)生活の中で見つけた春らしい食べ物を記録する

1時間目の終わりに、「今日から一週間、春らしい食べ物を見つけて写真に撮ってみよう」という課題を出します。春らしい食べ物を意識して生活することで、日常生活の中に潜んでいる春らしさを見つつけることができます。家庭によっては、買い物に行ったときに話題にしたり、購入して調理して味わったりしてもらえるように促します。
また、学校の給食は季節を意識して作られていることが多いです。献立や食材への注目を促したり味わった感想を話題にしたりと、給食の時間を上手に活用することも大切です。
一週間撮りためた写真は、2時間目に文章に書くことを決める際、題材を選ぶ手掛かりになります。

(4)書いた文章を共有する

2時間目には、選んだ写真の横に文章を書きます。実態に応じて文章をキーボード入力してもよいですし、ノートに書いたものを写真に撮ってもよいでしょう。完成したものを端末を通じて共有し読み合うことで、言葉とエピソード、実物とを結び付けて理解することができます。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 春のくらし

【主な学習活動】
・第一次(1時
①「みどり」の詩を音読し、感想を出し合う。
② 春らしいと感じることや春のイメージを出し合う。
端末活用(1)
③ 出された言葉を分類・整理する。〈 端末活用(2)
④ 栄養士さんから春らしい食べ物の話を聞く。
⑤ 自分たちも集めて紹介し合おうという学習の計画をたてる。

・第二次(2時 ※第1時から一週間程度後
① 自分の撮りためた写真の中から、紹介したいものを選ぶ。
端末活用(3)
② 春らしい食べ物を食べたときのことを3文程度の文章に書く。
③ 書いた文章を読み合う。〈 端末活用(4)
④ 単元の学習を振り返る。

全時間の板書例・端末活用例

【1時間目の板書例】

1時間目の板書例

〇スクリーンは、学習活動①~④ に合わせて表示していきます。春らしい食べ物は、④のあとに板書します。その後児童とやり取りしながら学習の見通しをたて、学習計画を板書していきます。

〇春のイメージや春を感じたことの発表を聞きながら、教師がカード化します。その後カードを配信し、一人一人が端末上でカードを操作して分類できるようにしていきます。児童が端末の操作に十分慣れていない場合は配信せず、全体で確認しながら分けるなど、柔軟に対応しましょう。(

〇分類の際に、グループ名を付けることで、言葉の上位語・下位語の関係を確認することもできます。(

【学習活動】第一次 ②言葉カード(画面イメージ)…〈 端末活用(1)〉

言葉カード

【学習活動】第一次 ③言葉カードの分類(画面イメージ)…〈 端末活用(2)〉

言葉カードの分類

【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例

〇第2時の授業を行う前に、集めた写真を端末で提出させるなどして、全員が写真を集めることができているのかを確認しておく必要があります。1枚も持っていない児童がいることも想定されますので、教師が給食の時間に撮っておいた写真を配信できるようにするなどの準備もしておきましょう。

〇本時の活動の流れを児童とやり取りしながら確認し板書しておくことで、見通しをもって学習に取り組むことができるようになります。

〇児童に文章を書かせる前に、教科書の例文を見て、何文目にどのような内容が書かれているのかを全体で確認しましょう。

〇児童の実態に応じて、共通の題材(例:給食の、たけのこごはん)を用いて全体で文章を考える経験をしてから、個人の活動にする方法も考えられます。

(例)火曜日に、給食でたけのこご飯を食べました。たけのこをかんでみたら口の中に味がひろがりました。これが春の味なんだなぁと思いました。

共通体験をもとに作った例文は、どうしても自分で書き出すことが出来ない児童への助けとなります。

〇書き終えた児童から、端末を介して作品を提出します。出された作品を共有できるようにしておくと効率よく読み合うことができます。

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