新年度に保護者との信頼関係を築くために教師が知っておきたいこと
保護者との信頼関係は一朝一夕に築けるものではありません。保護者の願いを誠実に受け止め、日々の学級経営を丁寧に行っていきましょう。
執筆/東京都公立小学校教諭・奥山良太
目次
学級経営と保護者連帯
よりよい学級経営を行う上で、保護者との信頼関係を築いていくことはとても重要です。「この先生なら安心だ」と保護者の方に感じてもらえたらうれしいですね。
信頼関係は一朝一夕に築けるものではありませ ん。保護者の願いを誠実に受け止め、日々の学級経営を丁寧に行うことが大切です。
保護者とのつながりの場
- 保護者会、懇談会
- 授業参観
- 学校行事
- 地域の行事
- 個人面談、家庭訪問
- 学校のホームページ
- 学級通信などのお便り
- 連絡帳や電話での連絡
- 授業のお手伝いやボランティアなど
新年度の保護者会に向けて
新年度の保護者会は、担任と保護者の出会いの場です。信頼関係を築く第一歩となる時間にするためには、どのようなことが大切なのでしょうか。
保護者の方が知りたいと思っていること、担任として伝えたいことを整理して保護者会を行いましょう。
保護者とのつながりの場
保護者とのつながりの場
保護者の「知りたい」
- 学級の様子
- 友達との関係
- 担任の人柄、指導の仕方
- 学習のこと
- 家庭での学習のさせ方
- 1年間の予定
- どんな保護者がいるか
+
担任の「伝えたい」
- どんな子になってほしい
か - 新年度の学級の様子
- 高学年として気をつけたいこと(思春期の不安や
悩みなど) - 家庭にお願いしたいこと(学習、お金、SNS、スマホのことなど)
「参加してよかった」と思える保護者会
学校や担任への期待、信頼が高まります。信頼が得られれば、今後の指導を肯定的に受け止めてもらえるようになります。
新年度の保護者会
事前に、学年で保護者会の内容を確認します。学級によって内容に差が出ないようにすることも大切です。内容が決まったら、当日配付する資料を作成します。参加できない家庭のためにも、読めばわかる資料を作成することを心がけましょう。
教室環境の確認を忘れずに
- 全員の作品が掲示されている
- 子供の文や作品に誤字や脱字がない
- 前向きなコメントが全員にされている
- 床にごみが落ちていない
- 掲示物が破れていたり、落書きがなされていたりしない
- ロッカーの中や上が整理されている
保護者会のときだけきれいにすると、子供たちに「その場限り」と見抜かれてしまいます。大切なことはこのような教室環境をいつも保つことです。
保護者会の流れとポイント
①自己紹介
誠実さと明るさが伝わるように。親しみを持ってもらえるような意外な趣味なども紹介するとよいでしょう。
②学級経営の方針
1年後、どんな子供に育ってほしいか、どんな学級にしていきたいか話します。
③子供たちの様子
新年度、わずかな間に見つけたよいところをたくさん伝えます。学級での写真や「キャリア・パスポート」などの実物を見せるとよいでしょう。
④家庭へのお願い
- 学校のルール(筆箱の中身、持ち物など)
- 宿題や家庭学習への協力(学年×10分、家庭学習の定着を)
- 思春期を迎える高学年で気をつけたいこと(スマホ、SNS、お金に関することなど)
⑤保護者同士をつなぐ
保護者同士のつながりをつくることも大切です。保護者同士がよい関係を築ければ、今後、もし子供たちが学校でトラブルになったときにも前向きに解決していけるでしょう。
保護者の方の自己紹介
- 〇年生になったわが子の様子
- 最近感じたわが子の成長
- わが子のよいところなど
グループトーク
- 宿題はいつやっていますか
- ゲームのルールはつくっていますか
- 自分(保護者の方自身)の楽しみなど
⑥まとめ
保護者の中には、子育てに悩んでいる方もいます。他の方の話を聞いて、不安になる方もいるかもしれません。「子供たち一人一人に合った育て方」があることを伝えます。私たちも、このことを忘れずに学級経営を行いましょう。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2021年4/5月号より