地図帳でグリーンランドに謎の山を発見!!【土作先生ミニネタ】
【知っているか知っていないかで大違い! ツッチー先生のミニネタコーナー】第4回
ツッチー先生こと土作彰先生が、地図帳を使って社会科の授業を楽しくする実践ネタを紹介します。地図帳を開かせてグリーンランドのことを紹介しつつ、よく見るとなぜか日本語の山(植村山)があることに気づかせます。
なぜだろう?と子供たちに興味を持たせた上で、その名にまつわるエピソードを紹介していきます。学級の雰囲気を盛り上げつつ、子供たちに地図や人物伝への興味を引き出していく実践ネタです。
目次
グリーンランドに日本の山!?
今回も、地図帳ネタです!
子供たちに地図に興味を持ってもらうのに役立つアクティビティですので、ぜひ試してみてください。
まず、子供たちに地図帳を開いてもらいますが、北アメリカと南アメリカの大陸のページがいいと思います。
すると、このページの右上に大きな島があります(帝国書院『楽しく学ぶ小学生の地図帳』参照)。
「これは世界一大きな島なんだけど、何という島か知ってるかな?」
と言うと、「グリーンランド!」という答えが返ってきます。
「グリーンランドという国はあると思う?」
と聞いてみますが、正確に言うとグリーンランドという『国』はありません。(自治政府はありますが)デンマーク領です。
「デンマーク領の中にグリーンランド島があるんだよ!」
という話をしたあとに、「じゃあ、よく見てごらん」と言って地図を見ると……なんとデンマーク領グリーンランド島の中に漢字で『植村山』と書いてあります!
「植村さん」って誰?
「グリーンランドは行ったことあるかい?」
と聞くと、大抵、「ありませ〜ん」という答えが返ってきます。
「実は、先生も行ったことないんだよ。でも、デンマーク領のグリーンランドの人たちは(日本語の名前の付いた)『植村山』を知っているんだよ!」
(ここで、「植村さ〜ん!?」と、クラスにいなくても振ってみるのもアリです(笑)。)
「植村さんって誰だろうね? 知っている人はいるかい?」
と聞いてみます。
すると、ほとんどの子供たちは知らないのですが、冒険家の植村直己さんのことなんですね。
そこで、その山と植村直己さんにまつわる話を子供たちに伝えます。
植村直己さんは、グリーンランドを犬ぞりで走破しました。
実は、この人は、マッキンリー山(現・デナリ/アメリカ合衆国アラスカ州)というところで下山中に消息を断ち(これを「死亡認定」というのですが)亡くなりました。
この年(1984年)に、デンマーク政府が植村直己さんの業績を讃えて、この山を『植村山(※)』と名付けたと言われています。
図書館などに行くと、伝記も含めて植村直己さんの本がいろいろあります。
そこに犬ぞりの話などが出てきますので、『植村山』の発見を機会に、想いを寄せてみてはいかがでしょうか。
…というネタでした!
※[編集部記]別称ヌナタック・ウエムラ峰。植村直己氏の犬ぞりによる単独グリーンランド縦断の到達地点。1978年当時の名称はヌナタック峰。
私たち大人も意外と知らない北極圏にある世界最大の島、グリーンランドの地理やエピソードに感嘆! 意外性から興味がわき、地図から人物伝へ、さらには植村直己さんの登頂した山々へと、子供たちの興味が循環・発展することも期待できそうですね。
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土作彰(つちさくあきら)●1965年生まれ。奈良県公立小学校教諭。「学級づくり」改革セミナー主宰。『マンガでわかる 学級崩壊予防の極意: 子どもたちが自ら学ぶ学級づくり』(小学館)、『知っているだけで大違い!授業を創る知的ミニネタ45」(黎明書房)他多数。