小3国語「ありの行列」指導アイデア

教材名:ありの行列(光村図書 三年下)

指導事項:C「読むこと」 オ・カ
言語活動:ウ

執筆/福岡県公立小学校教諭・日髙慎一朗
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・成重純一

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもつ力を育成します。

②言語活動とその特徴

本単元では、「説明的な文章を読み、感想や考えを文章にまとめる」という言語活動を位置付けます。

説明的な文章の教材は、読み手である子供にとって未知の事象、あるいは見慣れた事象に潜む仕組みの不思議さを取り上げていることが多いものです。子供は、その不思議さに興味を抱いたり、書かれていない部分に新たな問いをもったりして読みます。

このような子供の心の動きに沿って展開する言語活動です。ただし、文章を読んで自由に感想を書くだけでは、深まりに欠けた学習となり、めざす資質・能力を育てることはできません。

そこで、「①文章の構造を捉える」「②中心となる内容を短くまとめる」「③感想を文章にまとめる」という三つのステップを踏みます。ステップ①と②の学習の成果に基づいてステップ③を行います。このような展開にすることで、子供が自分の考えを形成し、深めていくことができます。

単元の展開(9時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

①ありの行列の様子を動画や写真などで見て、「なぜありは行列を作るのか」という「問い」をもち、子供の興味・関心から単元を設定し、学習計画を立てる。

【単元】読んで感想をもち、つたえ合おう。

第二次(2~6時)

②③文末表現や接続語、指示語に着目して本文を読み、文章全体の構造をつかむ。
→アイデア1

④⑤⑥ワークシートを活用し、中心となる内容を短くまとめる。
→アイデア2

第三次(7~9時)

⑦⑧学習をふり返り、引き付けられたことやもっと知りたいと思ったこと、考えたことを付箋にまとめ、感想を文章にまとめる。
→アイデア3

⑨自分の考えを発表したり、友達の発表を聞いたりすることで、さまざまな考えに触れ、そのおもしろさを感じ取れるようにする。

アイデア1 文末表現や接続語、指示語に着目して読み、構造を捉える

本教材『ありの行列』は、「目の見えないありがなぜ行列を作るのか」という「問い」に対する「答え」を探っていく説明文です。文章は、問題提起、観察や実験、まとめの「はじめ」「中」「終わり」で構成されており、本単元では「問い」と「答え」とともに「はじめ」「中」「終わり」の文章全体の構成も捉える必要があります。

そのための手だてとして、文末表現や接続語、指示語に着目した読みを展開します。まず、「はじめ」の段落において文末表現に着目して読むことで、「なぜ、ありの行列ができるのでしょうか」という一文が本文全体の「問い」であることに気付かせます。

その後、「中」の段落を読むにあたり、接続語や指示語に着目して文章の構成を捉えていきます。「はじめに」「次に」「これらの」「このように」などの段落の最初の接続語や指示語の指すものを適切に捉えることで、段落相互の関係や「はじめ」「中」「終わり」の文章構成をつかむようにします。

「これらの」と書いてあるから、前の段落のことを示しているんだ。

「このように」だから、今までのことをまとめるのかな。

アイデア2 大事なことを短くまとめるためのワークシートの活用

アイデア1において文章の構造を捉えた後、それぞれの段落においてどのようなことが書かれているのか、詳しく読む必要があります。具体的には、文章を読む視点を「研究の進め方と結果」と「ありが行列を作る仕組み」に整理し、ワークシートにまとめていきます。

文章を読む視点を整理することで、各段落において大事なことはなんなのか、ということが明確になります。それらの視点に沿って読み取ったことをワークシートにまとめ、各段落において何が書かれているのかということを短く整理していきます。

子供はそのワークシートを見返し、文章全体の構成や段落相互の関係をより理解することができます。

▼ワークシート例

イラスト/佐藤道子、横井智美

『教育技術 小三小四』2021年1月号より

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