自己有用感を育む!下級生との異年齢交流活動の具体例

自己有用感が育まれる、下級生との交流活動のポイントを紹介します。

執筆/福岡県公立小学校教諭・甲のぞみ

自己有用感を育む!下級生との交流活動

自己有用感とは

高学年の子供たちにとって、学校の中でのリーダーとして活躍することが、自己有用感を高めることにつながります。

自己有用感とは、「人の役に立った」「友達に喜んでもらえた」など、他者との関係があってこそ生まれるものです。教師は、子供たちが、「自分は誰かの役に立っている」と感じられるような場を、意図的につくり出していくことが大切です。

そのために、下級生との交流活動は、担任だけでなく、学年全体、学校全体で協力しながら進めていきたいものです。

喜んでもらえた!役に立ててうれしい!!

交流活動のポイント

活動内容

次の3点を中心に子供たちと一緒につくっていきましょう。

  1. 子供たちが楽しいと感じられるもの。
  2. 子供たちの能力に応じたもの。
  3. 子供たちが主体的に取り組めるもの。
1年生を招待して、お楽しみ会をしたいです。

時間の確保

活動に応じて、事前学習(計画や準備)と事後学習(振り返り)の時間を確保しましょう。子供たちが自主的に休み時間を使う分にはよいですが、教師の指示で休み時間を使わせると、楽しさや主体性が失われる子供もいます。

教師の役割

教師の役割は、高学年の子供たちが下級生に好ましい影響を与える場や機会を準備し、そうした機会が好ましい影響力で満ちる仕組みをつくることです。

①事前の活動

  • 計画や準備に必要な内容を明確にする。
  • 子供たちに目標を持たせる。

②活動中

  • 全体の流れを見ながらアドバイスをする。
  • 児童の様子を観察し、よかった点を伝えられるようにしておく。

③事後の活動

  • 振り返りの視点を明確にして、次回の交流に生かせるようにしておく。
  • よかった点を具体的に伝える。

また、下級生の担任と連携して、活動が終わった後には、下級生から高学年の子供たちへ、お礼の手紙が届くようにすると、子供たちの達成感や、「喜んでもらえた」という喜びが大きくなります。

交流活動の内容

授業参観

授業時間の一部を利用して、下級生の学習の様子を参観し、よい点やアドバイスを伝えます。下級生にも参観してもらい、感想をもらいましょう。

作文・感想交流会

互いに関わりのある行事などで書いた作文や感想を交流します。5、6年生間での交流では、学校のリーダーやサブリーダーとして、互いの思いを感じることができます。

高学年からも伝えよう!

自分の学級の子供たちの作文や感想に他学年の子供たちへの感想がある場合、書いた子供に了承をとった上で、該当学年の担任にコピーを渡したり内容を伝えたりします。

5年生の〇〇さんが、私たち1年生の劇のことを書いてくれていたそうですよ。紹介しますね。

修学旅行報告会

修学旅行で学んだことを模造紙やパワーポイントでまとめて報告します。小グループに分かれて担当学級で報告したり、学校全体に報告したりします。

仲良しプロジェクト

下学年(1〜3年生)と上学年(4〜6年生)がペアになるように相手を決め、下学年からしたい遊びを提案してもらい、一緒に遊びます。ルールは、相手学級に合わせて、上学年が工夫しましょう。雨の日の体育館使用と組み合わせて、雨の日限定の遊びにすることもできます。

あめのひ なかよし プロジェクト

お楽しみ会への招待

お楽しみ会に下級生を招待します。「招待したい」という案が子供たちから出てきたときには、下級生の担任に了承を得てから計画を立てましょう。

読み聞かせ

少人数グループに分かれて絵本の読み聞かせをします。お話レストランのようにしたり、「低学年のとき、好きだった本」「動物が出てくる本」など、テーマを決めて本を選んだりしても楽しいです。

読み聞かせの様子

普段から下級生を意識した発言を心がけたり、会話の中で、「先生が子供のころ……」「前の6年生が……」と活動のヒントとなることを伝えたりして、子供たちから様々な活動を発信していけるようにしていきましょう。

イラスト/種田瑞子

『教育技術 小五小六』2020年10月号より

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