小6体育「陸上運動(短距離走・リレー、投の運動)」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・田中喜教
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹、埼玉県教育委員会主任指導主事・河野裕一
目次
授業づくりのポイント
みんなでのりこえよう「1」の壁
陸上運動は、記録に挑戦したり、相手と競走(争)したりする楽しさや喜びを味わうことができる運動です。また、コースや場の工夫をすることで、走ったり、跳んだり、投げたりする様々な運動の基礎を培うことができます。体力や技能の程度にかかわらず、自己の伸びを実感したり、競走(争)に勝ったりできるようにし、積極的に運動に取り組むことができるようにしましょう。
本実践では1秒、1㎝の伸びにこだわってほしいという願いから、単元名を“みんなでのりこえよう「1」の壁”としました。授業の前半を投の運動、後半を短距離走・リレーとすることで、長い期間学習することができるようになります。1時間ごとにねらいに沿った指導と評価を心がけ、育成を目指す資質・能力の定着を図りましょう。
陸上運動は、運動をする場が広範囲にわたる場合があります。単元1時間目に学習の進め方を確認し、安全に気を付けた素早い準備や片付けにより、運動量を確保しましょう。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、子供同士の間隔が近づきすぎないようにしましょう。
単元計画(例)
※1時間の前半を投の運動、後半を短距離走・リレーと組み合わせて行います。
楽しむ① よい動きを身に付けて、陸上運動を楽しもう
単元前半のねらいは、大きく二つあります。一つ目は、投動作の粗形態を身に付けることです。よい動きをしている子供をモデルとして、動きのポイントを共通理解できるようにします。その際、子供に提示するポイントの数は三つ程度としましょう。意識する部分が多くなりすぎてしまうと、動きの定着が図れません。
二つ目は、単元後半のリレーに向け、短距離走で自己に合った走り方を身に付けることです。個々の記録を高めることが、リレーの勝ちにつながるよう意識させましょう。
投の運動
遠くに投げるための動きを身に付けよう
遠くに投げるポイントはどこだろう? 上手な友達の動きを見て、みんなで考えてみよう。
ポイントに応じた課題解決
※時間を決めてローテーションをする。
①めんこ遊び
腕の振りを速くすることをねらいとし、地面に置いためんこが裏返るように投げる。
②バトンスロー
ロープを高い位置に付けてバトンを通して投げる。目標の位置に鈴などがあると目標への到達がわかりやすい。
①素早く腕を振り、最後に手首のスナップがあると、力が伝わるね。どんどん投げて腕をたくさん振ろう。(めんこがない場合は、新聞紙や広告紙などで紙鉄砲を作ってもよい)
②目標とする角度に投げられると、スムーズに飛んでいくね。遠くに飛ばすためには、適切な角度が大切だよ。投げる腕と逆の腕を目標の角度にかかげてみよう。
③お手本となる投げ方とどこが似ているかな。自身の投げるフォームの動画と見比べて見付けてみよう。
③ICT機器
ひじが肩より上がっていてお手本に近くなった。角度が少し低いからバトンスローを意識してみよう
投げる姿勢を個人で確認しよう! ○〇秒後に自動再生されるアプリなども活用できるよ。
①、②は友達との距離が確保された場とします。用具等を共有する場合は、事前事後の消毒を徹底しましょう。③は自動再生を活用し、個人での振り返りを行いましょう。
短距離走・リレー
自分に合うピッチとストライドを身に付けよう
マーカーコーンラン
マーカーコーンランは、踏んでも安全なマーカーコーンをコース上に置くことで、自己に合ったストライド(一歩の長さ)を意識して走ることをねらいとします。口伴奏や太鼓、アプリなどでリズム(ピッチ)と合わせて行うと効果的です
30m程のコースにマーカーコーンを五つ程度置こう!
自分に合う走りになるとおへそや肩の高さが上下しないスムーズな走りになるよ!コースによって幅を変えてストライドを伸ばしていこう!
8秒間走
8秒間走は8秒間でゴールを目指して走り切る教材です。40mから1mごと(50cmごと)にラインを引いたり、印を付けたりして自己に合った距離に挑戦できるようにしましょう。
よい動きをしている子供の走りから、ピッチとストライドを意識したスムーズな走り方に気が付けるようにします。1時間に1人2回程度挑戦できるようにしましょう。
マーカーコーンランで身に付いた走りができているね!リラックスして、最後まで走り切れているよ。
隣合うコースは使用せず、間隔を空けて行いましょう。また、同じコースを走る子供同士の距離も十分確保しましょう。
楽しむ② 運動の行い方を工夫して、もっと楽しもう
イラスト/畠山きょうこ、横井智美
『教育技術 小五小六』2020年9月号より