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「人権教育」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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すべての人は個人として尊重され、生命・自由そして幸福を追求する権利をもっています。しかし今なお、この基本的人権が十分に守られているとはいえない状況もあります。人権を尊重する精神の涵養を目的とした人権教育が求められています。

執筆/沖縄国際大学准教授・照屋翔大

みんなの教育用語

子どもの人権をめぐる状況

法務省と文部科学省が毎年刊行している『人権教育・啓発白書』には、日本国内において発生している個別の人権課題をめぐる状況が記載されています。「子ども」が対象となる事案としては、いじめ、暴行・虐待、体罰などが取り上げられています。

2019年、いじめについては、「いじめ防止対策推進法」(2013年施行/2020年改正法施行)が定める重大事態の発生件数が過去最多の723件、2020年、警察による児童虐待の検挙数が2,133件です。また、体罰やいわゆる「指導死」と呼ばれる教師による言葉の暴力に起因する事件も繰り返し起こっています。

加えて、Society5.0と呼ばれる情報通信技術の進展、新型コロナウイルス感染症の流行、セクシュアルマイノリティをめぐる差別意識など、人権をめぐる課題はより多様に、また複雑になっています。

これまでにも子どもの人権擁護に向けた指導や啓発活動は行われてきましたが、このような時勢の変化に合わせて、人権課題への対応を検討する必要があります。

人権教育推進の基本的な考え方

人権教育の推進にあたっては、全体計画や年間の指導計画を策定し、それぞれの学校における教育目標全体の中での位置づけを明確にしながら進めていくことが重要です。それぞれの学校は、人権にかかわる概念や人権教育が目指すものについて明確にし、教職員はこれを十分に理解したうえで、組織的・計画的に取り組むということです。

また、人権をめぐる課題には、その地域性の影響が反映されやすい事柄(たとえば、同和問題や民族的多様性をめぐる課題)もあることから、生涯学習の観点に立ち、学校教育と社会教育とを相互に連携させながら進めるという視点が大事です。

文部科学省は、ホームページにおいて「人権教育に関する特色ある実践事例」をまとめ、公表しています。それによると、多くの学校では道徳、学級活動、総合的な学習の時間を活用しながら人権教育を実施しています。人権課題の具体例について児童生徒にとって身近な場面や当事者の声をもとに考え、議論する授業、いわば思考力・判断力・表現力を大事にした授業の実践事例は、多くの学校にとって参考になります。

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