小3算数「九九表とかけ算のきまり」指導アイデア(9/9時)《九九の範囲を超えるかけ算を考える》
執筆/富山県公立小学校教諭・前田正秀
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、前・富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらいと評価規準
(本時9/9時 単元終末の発展的な学習)
本時のねらい
九九の範囲を超えるかけ算を、九九や十の段のかけ算を活用して考える。
評価規準
かけられる数が10 を超える場合の答えの求め方を、図や式を用いて表し、九九や十の段のかけ算を活用して考えている。(思考・判断・表現)

問題

(6×4に並んだチョコの写真を提示)チョコは、何個ですか。
6×4で24個です。
(10×4に並んだチョコの写真を提示)チョコは、何個ですか。
10 ×4で40個です。
では、これは何個でしょう。(12×4に並んだチョコの写真を提示)
式は12×4だけど…。
九九の範囲を超えているよ。
でも、求められそうだよ。だって、6×4の2倍だから…。
それに、10×4より2×4だけ多いから…。
それでは今日は、12×4 を使って九九を超えるかけ算の答えの求め方を考えていきましょう。
学習のねらい
九九をこえるかけ算の答の求め方を考えよう。
見通し
九九を超えるかけ算も、九九や十の段のかけ算をうまく使えば、答えを求めることができる。〔方法の見通し〕
自力解決の様子
A つまずいている子
12+12+12+12=48
・たし算に戻して考えようとしている。
B 素朴に解いている子
6×4= 24
24+24=48
・12 を6と6に分けて考えている。
「12の段=6の段+6の段」
C ねらい通り解いている子
10×4=40 2×4=8
40+8=48
・12を10と2に分けて考えている。
「12の段=10の段+2の段」
学び合いの計画
学び合いは、互いの考えを理解することから始まります。考えを発表させる際には、一人の子供にすべてを語らせるのではなく、友達の描いた図から、どんな式になるかを想像させたり、友達の書いた式を言葉で説明させたりするとよいでしょう。図と式と言葉を結び付けることで、互いの考えを理解しやすくなります。
みんながどのように考えているかを理解できたら、それぞれの考えに共通する点について話し合います。「それぞれの考えの似ているところはどこですか」と問い、共通する点に目を向けさせます。「どの考えも、分けて計算して後から足している」といったことなどが挙がってくることでしょう。共通していることから本質に目を向けることができたら、「だったら、12 を7と5に分けても計算できる」「8と4でもできる」などと、考えを広げていくことができます。
そのうえで、それぞれの考えのよさやポイントについて考えます。ここでは、先に、12 を6と6に分けた子供たちに、その理由を尋ねましょう。
「真っ二つに分ければいいから、すぐに思い付いた」「かけ算が1回ですむから簡単」といった理由が挙がることでしょう。
そのうえで、12 を10 と2に分ける考えの理由を尋ねます。
半分に分ければ簡単なのに、あえて10 と2に分けたのは、どうしてなのでしょう。これは、全員で考えていきたい内容です。10 といくつに分ける方法には、かけられる数がどんな数でも使えるというよさがあるのです。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
半分に分けて考えれば簡単なのに、どうして○○さんは、10 と2に分けて考えたのでしょう。
きっと、10 の段のかけ算は簡単だからだと思います。10×4の答えは、4に0を付け加えるだけです。40 です。
それに、40+8は一の位に0があるので、24+24 よりもたし算が簡単です。
半分に分ける方法だって計算は簡単だけど、かけられる数が13 や15だと使えません。10といくつに分ける方法は、どんな数でも使えます。

学習のまとめ
12の段は、「6の段+6の段」「10の段+2の段」(*)などに分けて計算できる。
*「7の段+5の段」「8の段+4の段」「9の段+3の段」でも計算できる。

九九を超えるかけ算も、分けて計算して後から足すと、答えを求めることができる。
評価問題
13×4
子供の期待する解答の具体例
13を10と3に分けて、10×4=40 3×4=12 40+12=52
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
13×4 を10×4 と3×4 に分けて考え、計算している。
感想例
九九を超えるかけ算も、分けて計算して後から足せば、答えが求められました。
10といくつに分ければ、かけられる数が14や15のかけ算も簡単に答えが求められそうだと思います。
イラスト/小沢ヨマ、横井智美
『教育技術 小三小四』2021年4/5月号より