小3社会「市の様子の移り変わり」指導アイデア(交通の変化を中心に)
執筆/埼玉県公立小学校主幹教諭・渡部健
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、埼玉県公立小学校校長・清水健治
目次
目標
交通や公共施設、土地利用や人口、生活の道具などの時期による違いに着目して、聞き取り調査をしたり地図などの資料で調べたりして、年表などにまとめ、それらの変化を考え、市や人々の生活の様子は、時間の経過に伴い、移り変わってきたことを理解できるようにするとともに、これからの市の発展について考えようとする態度を養う。

学習の流れ(16時間扱い)
問題をつくる(2時間)
○ これまでの学習をふり返り、市の特色を整理する。
○ 写真の場所や時期を予想する活動を通して、学習問題をつくる。
学習問題
蕨市は、どのようにして今のすがたに変わっていったのだろう。

追究する(10時間)
○ 蕨駅が開設された時期の駅前通りや市の様子、市の人口、土地利用について調べる。
○ 国道17号線が開通した時期の市の様子、当時の市の人口、土地利用の様子について調べる。
○ 道具とくらしの様子の移り変わりについて調べる。

まとめる・生かす(4時間)
○ 時期による市の様子や生活の様子の変化を年表にまとめ、学習問題の結論を考える。
○ これからの蕨市の発展について考え、表現する。
導入の工夫
市内の古い写真を提示し、撮影された場所や時期を予想する活動を通して、交通の変化について興味・関心を高めるようにします。
問題をつくる(1・2 / 16時間)
昔と今の地域の写真を見比べながら、蕨市や身近な地域の交通の変化について話し合い、学習問題をつくります。
第2時
※第1時では、これまでの市についての学習をふり返り、市の特色を整理するとともに、市内には、市民のくらしに役立つさまざまな交通・施設などが設けられてきたことを想起させます。
写真は、蕨市で撮られたものです。
いつ頃に、どこで撮られた写真か、予想して表に入れてみよう。
グループで、予想とそう考えた理由を話し合ってみよう。
①の写真は、駅が木でできているから、すごく昔だと思う。
③の写真は、機まつりをしているみたいだから、50年くらい前じゃないかな。
埋まっていないところには、どんな写真が入るんだろう?
もっと知りたいことや不思議に思ったことを出し合って、学習問題をつくりましょう。
学習問題
蕨市は、どのようにして今のすがたに変わっていったのだろう。
まとめる(13・14 / 16時間)
調べたことを、整理し、時期による市の様子や生活の様子の変化をまとめていきます。
まとめ方の工夫
年表を用いて時期ごとの交通の移り変わりの様子と、人口、土地利用の変化を関連付けて考え、市の様子や人々の生活の様子をまとめます。
※第13時では、交通の移り変わりについての年表を作る。
※第14時では、年表にさらに人口・土地利用の様子、生活の様子などを付け加え、学習問題の結論を出す。
学習問題の結論
蕨市は、駅ができてから、少しずつ住む人が増え、家が増えたりさまざまな施設ができたりして、便利で暮らしやすい今の姿になった。
単元づくりのポイント
人々の生活の様子の移り変わりを理解させるためには、通史的に交通の変化を捉えさせるのではなく、土地利用や人口、公共施設の建設、生活の道具の変化などと関連付けて、指導することが大切です。
本単元例では、市の移り変わりを見ていく際、交通を切り口としつつも、駅ができたことによる駅前通りの様子の変化や国道17号線の開通による旧道の変化などに着目させ、人々の生活の変化と関連付けながら考えさせていくことが重要です。学習したことを基に、市の将来について考え、表現する活動を単元の終末に位置付けるようにしましょう。
イラスト/横井智美、佐藤雅枝
『教育技術 小三小四』2020年3月号より